オッドアイの剣聖はスラム街出身の野良ですが
オッドアイの野良の人間がスラム街でウォルフォードにスカウトされます。
噴水公園で革の鞄を抱えた白と黒のブチのキャットピープルの子供が、冒険者から追われていた。ブチのキャットピープルの子供が革の鞄を屋根の上に投げた。
屋根の上にいたオレンジの髪の女の子が革の鞄を受け取ると屋根づたいに逃げた。逃げ足が速くて冒険者があきらめた。
オレンジの髪の女の子が路地裏でブチのキャットピープルの子供と革の鞄の中の物を分けた。
「オッドアイ、今日はこれでやめようぜ。まだ冒険者が探しているはずだ。墓場のほうへ逃げよう」
ブチが言うと仲間のオッドアイがうなずいた。
オッドアイと呼ばれたオレンジの女の子の右目はサファイア色のブルーで、左目がアメジスト色のパープルだった。
オッドアイはキャットピープルに多い突然変異だ。オレンジの髪の女の子は見た目は人間と変わらなかったが、実は丸い尾があるキャットピープルだった。
キャットピープルは人間ではありえない俊敏な身体能力がある。スラム街の野良のキャットピープルの子供はその俊敏さで泥棒を仕事にしている。
人間では追いつくことができない。犬系の獣人がやっと追いつけるくらいだ。
親が貧困で育児を放棄したため、オッドアイは赤ん坊のころにスラム街に捨てられた。キャットピープルは多くの子供を産む。
貧困層の住む南のスラム街にはそのような境遇の野良のキャットピープルが多かった。中には野垂れ死にするものいる。
生き延びたキャットピープルの子供はグループをつくって助け合う。
住んでいる場所の隣にある墓場のお供え物はキャットピープルの子供たちの貴重な食料だ。キャットピープルの子供たちは毎日を生き延びるのが精一杯だった。
学校に行くこともなく、ただ生き延びて大人になる。キャットピープルが10歳ぐらいになると人間の大人と同じ体格に成長する。
南の繁華街で働くか、冒険者になることが出来ればあがりだ。
オッドアイは10歳の時、噴水の前でダンスを踊ってお金を稼いでいた。見た目に美しい女性に成長しており、目を引くため投げ銭が多かった。
それを見つけた南の繁華街にあるレストランバーのオーナーがダンサーとして雇った。オッドアイは大きなレストランバーのショータイムのステージでダンスをして客を楽しませていた。
オッドアイは繁華街でも知られる人気のダンサーになった。
人気を聞きつけて来る客の中にウォルフォード伯爵がいた。ウォルフォード伯爵は南の繁華街が好きでよく遊んだ。
「ウォルフォード城で働かないか?」
ウォルフォード伯爵はオッドアイのことを気に入って城に来ないかと誘った。スラム街から城で働くようになるのは大出世だ。
オッドアイはウォルフォード伯爵の護衛として働くようになった。城に来た日にウォルフォード伯爵からハーディンと名乗れと言われた。
城の中では剣術や武術をマスターした。見ためは人間だったがキャットピープルのために俊敏さで他を圧倒していた。
11歳になると城の中でハーディンに勝てるものはなく、12歳になると城どころかウォルフォードの軍でもハーディンに勝てるものはいなくなった。
ハーディンはベルコン共和国をはじめ周辺諸国の大将を次々と倒していく。そのころウォルフォード伯爵から褒美として浄化の鎧を与えらえた。
浄化の鎧はレアアイテムで魔法攻撃が一切効かない。ハーディンは天下無双の剣士となり剣聖ハーディンと呼ばれるようになり、15歳でウォルフォード軍の将軍になった。
ウォルフォード伯爵の側近で、いつもそばにいるため愛人だという噂になった。
20歳を超えるころにウォルフォード伯爵の弟である総務庁長官のロールトバールが南の繁華街の再開発とスラム街の一掃を立案する。ロールトバールは潔癖症だった。
「首都ルシファナのゴミを一掃せよ」
ロールトバールが命じると街のゴミだけではなく、野良のキャットピープルの子供も次々と捕獲されていく。
捕獲された野良猫は養子にされる場合もあるが、一定期間を過ぎて養子になれなかった場合は姿を消した。
「南の繁華街を再開発するのに、野良のキャットピープルをゴミ扱いするのは耐えられません」
ハーディンが思いつめた顔でウォルフォード伯爵に相談した。
「南の繁華街もスラム街も野良も無くする必要はない。野良は街の一部だし、野良は俺たちの一部だ」
ウォルフォード伯爵が言うと、ハーディンの目から涙が溢れた。
「人間には良いところも悪いところもある。街にも良いところと悪いところがある。国の中でもそうだ。全部俺たちの一部なのだ」
ウォルフォード伯爵はそう言うと、嗚咽するハーディンを抱き寄せてあやすようにした。
「繁華街が全部なくなってみろ、窮屈でたまらん。俺に任せろ」
ウォルフォード伯爵にハーディンは惹かれた。
暗闇伯爵と言われ、皆から嫌われるウォルフォード伯爵は悪だと言われる。潔癖症のロールトバールから見たら、野良だった私もゴミで悪だ。
「ウォルフォード伯爵と私は一緒だ」
ハーディンは思った。
ウォルフォード伯爵は南のエリアは現状のままで良いといって、それを受け入れないロールトバールを城に幽閉した。
この件でウォルフォード伯爵に異議をとなえたものは全て、暗闇伯爵によって魔法のアイテムに変えられてく。
ある日、ウォルフォード伯爵のもとに文化庁の長官が来て南街区を浄化する話をする。
「ウォルフォード伯爵のお気に入りの繁華街をもっと手を加えて綺麗にしたいですな。そしてスラム街は観光客に見せたくないですね」
「繁華街は薄汚れているところが楽しいのに」
ウォルフォード伯爵は残念そうな顔をした。
「スラム街を観光客にも見せたくないのはなぜだ?」
ウォルフォード伯爵が文化庁の長官に聞いた。
「街の美観を損ねますからね。あそこに住んでいる奴らは親も捨てた野良ですから。要らなくなったゴミと一緒です。ゴミは片付けないといけない」
文化庁の長官が言った時、部屋の隅に護衛のため立っていたハーディンは体の中が沸騰するのを感じる。
気が付くと文化庁の長官に足払いをして倒し、膝間づかせていた。
「貴様! なにをする!」
文化庁の長官が怒鳴った。
「おまえこそゴミくずだろう」
ハーディンが言い返して刀を抜いた。
「やめろ! ハーディン!」
ウォルフォード伯爵が大声を出した。
「こいつはゴミでも屑でもない」
ウォルフォード伯爵が言った。
「そうだろう。早くこいつをどうにかしてくれ!」
文化庁の長官がウォルフォードを見て笑った。
「だが、つまらんやつだ」
そう言って、ウォルフォード伯爵が文化庁長官の頭の上で手のひらをかざした。手のひらから暗黒の球体が出ると文化庁長官が吸い込まれていく。
文化庁長官がいなくなったあとの床にはシルバーの魔法の指輪が落ちていた。
「ハーディン。野良はゴミなんかじゃない。人間だ」
それを聞いたハーディンはウォルフォード伯爵の胸の中で泣いた。
ハーディンは闘技場のVIP席にいた。時の魔女と氷の狼が勝利して場内に歓声が上がった。
「あのウルフは髪の色と唇の色こそ違うが私が仕留めたはずだ。なぜ生きている?」
VIP席のハーディンと客席にいるタリルと目があった。
「質屋のタリルか?」
タリルの顔を見たハーディンはいずれ必ずタリルが自分に立ち向かってくるだろうと感じた。
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