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親に捨てられた狼の獣人は幼馴染

親に捨てられた幼馴染の狼の獣人マリアナとタリルのお話し

  狼の獣人の女性であるマリアナを小さいころから育てたのもジャンだった。


 ノディス家の中でタリルのことをタリル様と呼ばずに呼び捨てするのはマリアナだけだ。


 マリアナはノディス家の従者の立場であるが、ジャンが自分の子供と変わらない愛情を注いで育てた。


 子供だったマリアナを置いて行ったのは親だった。


 冒険者が剣やロッドを質に入れるのはよくあるが、自分の子供を質に入れるなどという仕組みはない。


 マリアナの親はカジノで膨らんだ借金を返済できないので、家財のすべてを質にいれた。


「金を返すあては?」


「次の冒険で全額返せる」


 1回のクエストで50万ゴールドだなんて難易度もかなり高いはずだとジャンは危惧した。


 そのとき、アクアマリンの色の目をした狼の耳の獣人の女の子が親の後ろに隠れているのが見えた。


「その子をどうする?」


「預けるあてもない」


 狼の獣人の夫婦はそろってパーティーに入るのだという。


「帰ってくるまでその子を預かりましょうか?」


 おそらく、この子はどこかで途中で捨てられてしまうだろうと思ってジャンが提案する。


「それはありがたい。相談だが追加で5ゴールド貸してくれないか?」


 狼の獣人の夫婦は5ゴールド余分に貸してくれないかと言った。


「あきれたやつらだ」


 途中で子供を売られても困るのでジャンは5ゴールドと装備を返した。質流れして売ってもいくらにもならない粗末な装備だった。


「その子の名前は?」


「マリアナよ」


 母親がマリアナだと教えた。


「こちらへおいで」


 ジャンがマリアナに手招きをしたが狼の獣人の女の子は怖がって母の後ろに隠れた。


 ジャンがチャームと呼ばれる干し肉をスタッフに行って持ってこさせる。


 干し肉のチャームを持ってジャンが手招きするとマリアナが食べ物につられてジャンの元に来た。


「しばらくお父さんとお母さんは旅に出るよ。今回はお仕事が危険で一緒に行けないんだ」


 マリアナの父が言うとマリアナは干し肉を食べながら小さくうなずいた。


「かならず戻ってきなさいよ」


 ジャンが送り出すと、両親は一度だけ振り返って出口のドアを閉めた。


 その後1か月経過したがマリアナの両親は帰らなかった。


 マリアナの両親の家財一式は質屋ノディスのものとなったが、マリアナをどこかへやるわけにもいかない。


 なによりもマリアナはジャンに懐いていた。ジャンは妻子を病気で失っていたので、懐いているマリアナを可愛がっていたのだ。


 ジャンはマリアナをノディス家で育てようと決めた。


 学校にはマリアナ・エーフレイアという名前で通った。


 マリアナの両親が記入した台帳には、エレナ・エーフレイアのサインがあった。


 ジャンはいつか帰って来るよと言い続けていたが、マリアナが学校を卒業してもどちらも迎に来ることはなかった。


 マリアナがジャンの家族になってから1年後にタリルがジャンの家に来た。父のノーザンノディスと母のリナノディスが行方不明になったためだ。


 ノーザンノディスはジャンの弟で商人ギルドのダノリクムの一員だった。


 タリルが行方不明の原因をジャンに聞いても怖い顔をしてジャンは黙るので、それ以上の詳細なことはタリルも聞けないでいた。


 年齢が近いこともあってマリアナとタリルはすぐ仲良くなって遊び始めた。

 タリルは友達と呼べるものはいなかったが、マリアナはタリルと対等に遊んでくれる。


 獣人は人間よりも体が丈夫で成長が早い。


 タリルが来て1年目の5歳のころマリアナは6歳で大分タリルよりもずいぶんと大きかった。

 タリルが尻尾をつかむのをマリアナは嫌がった。

 タリルがしつこくするので爪を隠して平手打ちしたらタリルが気絶した。


「このままだと必ず噛み殺すとかの事故を起こすだろう」


 ジャンが狼系の獣人の知り合いに相談したところ、獣人は尻を触られるより尾を触られるのを嫌がると知った。


「報酬をはずむから家庭教師になって欲しい」


 ジャンは狼系の夫妻にマリアナの世話をお願いすると狼系の夫妻は快く引き受けた。


 マリアナは狼系の獣人夫妻の家に6歳から11歳までの5年間預けられた。10歳にはほぼ成人の体躯になっていた。


 マリアナは狼系の夫妻に獣人として人間と暮らすための感情の抑制の方法や人間世界との付き合い方、基本的な闘い方を学んだ。


 11歳でノディス家に戻ったマリアナは一人前の大人の風貌になっていた。


 10歳のまだ子供のタリルはマリアナが帰るなり、懐かしさのあまり抱きついてきたが、大人のマリアナは面食らって赤面した。


「あっ。 しっぽを触るのをやめろ!」


 相変わらずタリルが尻尾をなでてくる。マリアナは平手打ちするのをこらえた。


「どうして?」


 子供のタリルはなんの悪気もないあどけない顔をした。


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