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水浴びするアマゾネスとダークエルフを襲え

タリルのパーティーとアマゾネスのミアレイ、ダークエルフのグアンダスとの戦闘シーンになります。

 早朝、日の出前に5人のパーティーが湖畔のウォルフォードの別荘の前の丘に到着した。別荘から離れた小高い丘から湖畔を見張ると、日の出とともにアマゾネスのミアレイとダークエルフのグアンダスが湖畔に現れて水浴びをはじめる。


 湖の水面に朝日が反射してキラキラと輝く。アマゾネスの褐色の鍛え抜かれた肌の上で、球になった水滴がキラキラと光輝いた。


 ダークエルフの張りのある灰色の体は発水コーティングされたようで、大きな胸の膨らみの間の渓谷を高速で水が流れ落ちていく。


 レギーは4人に「自分は隠れるぞ」と目くばせをしてガローザのローブで姿を消した。


 アマゾネスとダークエルフの目の前に4人のパーティーが姿を現す。それに気が付いたアマゾネスが湖の中から出て体を揺らすと球になった水滴が褐色の肌から空中へ飛び散って消えた。


 ミアレイは浜辺に置かれていた赤いビキニをつけてから、腰に茶色の布を巻いた。ダークエルフが続いて湖から出てきて黒い着衣をつけ始める。


 アマゾネスが戦士用の手斧を両手に持つと嬉しそうに近づいてくる。


「なんだい? 私がミアレイだって知って、裸を覗いたのかい? ただじゃ済まないよ」


 ミアレイが手斧を交互に振って回転させると爆炎魔法で先制攻撃してきた。渦を巻いた火炎が飛んで来るのを見ると、碧眼の魔女のリュアラが砂丘の杖を振って砂の城壁を建ててブロックする。


 計画通りに好戦的なアマゾネスが一人で攻撃してきた。砂の城壁に炎が直撃して爆風が吹く。狼の獣人の白い髪とエルフのエメラルド色の髪が爆風で大きくなびいた。


 砂の城壁に2つの窓が出現したのでタリルは爆雷の杖、狼の獣人のマリアナは雷帝の剣を窓から出してミアレイに雷の魔法で攻撃を始めた。


 砂の壁の向こう側が透けて見えるエルフのセレアは光の弓に5本の矢をつがえて空に向かって発射すると、光の筋がカーブを描いてミアレイのほうへ進んでいった。


 タリルの居る穴から空気の弾丸が連射されてミアレイの下腹部にあたる。


「あぁ、かゆいわぁ」


 ミアレイが下腹部を少しさすって笑った。


 マリアナのいる穴から発射された雷の筋がミアレイに届きそうになると2本の手斧で防いではじき返す。ミアレイは百戦錬磨の猛者だ。その間にもタリルの空気の連弾は地味にミアレイのボディを直撃し続ける。


 ミアレイは痒い程度のダメージしかない空気の弾丸を無視した。上空にカーブする光の矢と雷を防ごうとして両手の手斧で防御の態勢を取る。


 2本の手斧は雷の筋とエルフのセレアの打ち込んだ4本の光の矢をはじいたが、すり抜けた1本の光の矢が防ぎきれずにミアレイの体に直撃した。


「いったいなぁ」


 ミアレイがぶち切れて「ダリア!」と詠唱すると炎の巨大な花が現れて砂の城壁を直撃した。砂の城壁は半壊したがすぐにリュアラが砂丘の杖で修復して元通りになる。


「ダリア! ダリア!」


 炎の花をミアレイは連射し続ける間にも空気のマシンガンと雷のと光の矢がミアレイを襲った。そのうちのいくつかがミアレイにヒットして体力を削った。


「手を出すなよ、グアンダス。こいつらは俺の獲物だ。」


 先端が装飾された長槍のようなロッドを地面に立てて、ダークエルフが手を出さずに退屈そうに見守った。装飾された黒服を着ていたが、露出が激しいので先ほどの水浴びをしていた時の灰色の裸とたいして見た目は変わらない。


 4人のパーティーの闘い方をじっと観察しているようだった。


 ボディブローのようにコンボの攻撃が効いて、徐々にミアレイも動きが鈍くなって来るのが見て取れた。ボディーへの空気砲が時間の経過とともに効いてきて体のキレを奪った。


 ミアレイが息を切らせて苦しくなって口を開けた。辛そうな顔をした瞬間に砂の城壁の影から右手にマーリスの剣、左手に爆雷の杖を持ったタリルが飛び出して来る。


「ほう、剣とロッドの二刀流だと?」


 グアンダスが珍しいものを見たというような声をだした。


「おおおおおおおおおおおおお」


 雄たけびをあげてフライングブーツを履いたタリルが空中を駆けて上がる。ミアレイに向かって高速で走ってくるタリルを見て、慌ててミアレイが魔法の炎を繰り出す。


「ダリア!」


 空中を駆けてくるタリルに向かって炎の花が飛んでいく。タリルは剣と杖と交差させると左手の杖を前に出した。


「ジャンノザート」


 タリルが魔法を詠唱すると炎の花が砕け散った。


 ミアレイは砕け散った炎のダリアの花びらの中から二刀流の少年が飛び出してくるのを見た。


 少年の胸当てから黒い煙の帯が出ており、それにつながって周囲には無数の煙の盾が出現し、ダリアの形を描くようにして炎の花びらを防いでいた。


「相手の魔法の形に合わせた自動防御だと?」


 ミアレイの炎の魔法はダリアの形に変形した自動防御に完封された。


 少年は空中を蹴ってミアレイに向かって走ってくる。左手の杖から無詠唱で空気の弾丸が連射され続ける。


 ミアレイは手斧をXの形にクロスして防御の体制を取った。疲れたミアレイの両手の手斧に怒涛のように連射された空気の弾丸がぶつかる。そして上方に腕を吹き飛ばした。


 脇が上がったミアレイの横でマーリスの剣を持ったタリルの体が水平に回転すると、ミアレイがひざまずいて前に倒れ込んで地面にうつぶせになった。


 口から泡を吹いており、ミアレイの眼球は白くなった。


「ふっ、口ほどにもない」


 グアンダスが仲間の死を悲しむことも無く吐き捨てると蒸発の魔法陣を詠唱した。


「カリエンテ!」


 グアンダスの周囲に古代文字の描かれた円形のブルーの魔法陣が出現した。蒸発の魔法陣に入ると誰でも瞬間で蒸発し消えてなくなる。グアンダスはさらに詠唱を続けた。


「タリル! 急いでこっちへ来い!」


 リュアラが叫ぶとタリルが必死の形相で砂の城壁を走って飛び越えると中へ転がり込んだ。リュアラが杖を下に振ると地面がばっくりと割れて開いてタリルとマリアナとセレアがその間に落ちた。


「カリエンテス!」


 その瞬間グアンダスが詠唱した。リュアラが砂丘の杖を上部に振ると地面が閉じて分厚い砂の天井ができてシェルターをつくる。


 蒸発の魔法が砂のシェルターの屋根に直撃するとズドンと大きな音がして大地が揺れた。間一髪でタリルは逃げ切り、蒸発の魔法をしのいだ。


 一撃で周りの草花や樹木すべてが蒸発して荒野のようになって、焦げた匂いがした。


「ふぅ」


 碧眼の魔女のリュアラが安堵のため息をついた。


「攻撃に転じるよ!」


 地面がせりあがって階段状のピラミッドのように地面が盛り上がった。横穴が一つ空くとそこから雷と光の矢と空気砲のマシンガンが吹きだして、グアンダスを集中砲火する。

 向かってくる光の矢と雷を見て、グアンダスは円形の呪文の盾を作ってはじき返した。


「カリエンテス!」


 魔法陣の盾を左手にして防ぎながらグアンダスが詠唱すると一定の間隔で砂のピラミッドを蒸発の魔法が襲う。

 着弾の瞬間だけリュアラが穴を閉じて籠る。消耗戦が続いた。


「貴様らの攻撃パターンは先ほど見せてもらったよ。こちらから行くぞ」


 ダークエルフが笑った。円形をしたブルーの魔法陣の盾を体の前方に浮かせたまま、ダークエルフが前進してくる。


 砂のピラミッドに再び穴が開くと中からタリルとマリアナが左右に飛び出す。セレアは中央の穴から光の矢を連射し続けて魔法の盾に光の筋が命中した。


 グアンダスが衝撃で少し後退した。


 右のマリアナの雷帝の剣から雷の筋が飛び出すとグアンダスをとらえる。左から火の玉のミサイルがグアンダスの右わきに命中する。


 一度前進したが、再び後退するグアンダス。魔法陣の中心から後ろに後退して魔法陣から片足がはみ出しかけた時、別荘のほうから銀色の鎧を着たオレンジの髪の剣聖ハーディンが近づくのが見えた。


「ちっ! もう来あがったか。あと少しだったのに。撤退だよ!」


 碧眼の魔女が叫んだ。


「私が時間稼ぎする!」


 マリアナがハーディンに向かって走った。


「やめろ! 撤退だ!」


 リュアラが大声で怒鳴った瞬間に、その大声でびっくりしたチャピがタリルの革の袋から飛び出した。白い妖精が上空に飛んで逃げるのが見える。


 グアンダスが「あれはなんだ?」とチャピに気を取られて隙ができた瞬間をタリルが見逃さなかった。


「ジャンノザート!」


 タリルが叫んでグアンダスの円形の呪文の盾に命中させると反動で魔法陣からグアンダスの両足がはみ出した。


 その時、グアンダスの背後の空中から黒革の手袋が出現して後ろから首を羽交い絞めにした。


 声も出ないグアンダスが後方に倒れるとグアンダスの背中にレギーの姿が現れる。


「うおああああああああああ」


 レギーが顔中に涙を流しながら首を左右に振って、ぎりぎりと腕を首に巻いて締めあげた。グアンダスは声も出ない。ムーンストーン色の白い目を見開いた。


「お父さん、お母さん、ララ」


 レギーが言い終えるころにグアンタスの腕がぐったりと地面に落ちた。


「うおああああああああああああ」


 涙を流しながらレギーは締め付ける。手ごたえはなくなっていたが、腕を外さずしばらく締め付けた。


 それと同時に狼の獣人マリアナとハーディンが交戦状態に入っていた。ヒドラのかぎ爪の左手と雷帝の剣の右手がが交互にハーディンを襲う。


 ハーディンは顔色一つ変えずに剣で防御する。ヒドラのかぎ爪の裏拳が顔面をとらえかけたが、ハーディンがくぐってかわす。逃げ遅れたオレンジの髪の毛が数本空中に飛んだ。


 裏拳を交わした直後にハーディンは前蹴りでマリアナを突き飛ばす。


 あおむけに倒れたマリアナの上にハーディンがまたがって、剣を胸に突き刺すのが見えた。


 あっという間の出来事だった。


 狼の獣人のアクアマリンの目が大きく開いて空を見るとマリアナは息絶えた。


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