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阿呆達の旅路と司書  作者: 野山橘/ヤマノ
2/17

2.スキル

 とっぷりと陽が沈み、2つのモーントが同じくらい高くに昇った頃。朧ろげな月明りが秋の夜長と広大な平原を青紫に照らす深夜0時。


 周囲の草地に比べ、白石で舗装された道路は月光を跳ね返すように青く輝いている。この石には蓄光性があるので、むしろ陽の光を放出しているとでも言うべきだろう。


 そんな一本道の傍らには、寒々しい月明りとは別の、温かいオレンジ色の光源が灯っている。金属製のフレームにガラスが張られたカンテラの中で、海洋動物の脂を燃料にした炎が揺らめいているのだ。灯りは深緑の幌馬車の梁から吊るされおり、光に惹かれた虫たちがグルグルとその周りを飛び回っている。


 カンテラの遮音性は高く、外に炎が燃える音は漏れてこない。

 だが、その代わりに甲高い風切音や獣の唸り声、そして、それらの合間に金属が硬い物に当たる音がどこからともなく聞こえてくる。


 戦闘音の聞こえてくる場所は、高い草が円形に倒れた空き地となっている。中の様子は薄暗がりでよく見えないが、時折、白刃の閃きとそれを躱して素早く動き回る大きな影が見える。



「…ったく、レッドレッグはこれだから嫌なんだ。動きが読みにくすぎる。」



 ブツブツと文句を垂れながら直剣を低く構えているのはカズヤである。


 彼に相対するは、黒っぽい体毛を全身に生やした4足の獣。丸々とした黒褐色の体にアンバランスなひょろ長い脚だけが赤色の毛並みをしており、そこだけ血染めのようにも見える。その姿にちなんで、“レッドレッグ”と呼ばれている魔獣である。



「カズヤくーん、食べられないように気を付けてくださいよー!」



 幌馬車の搬入口から首を出し、カズヤに声援を送っているのはシエルラだ。彼女の白い髪は夜闇の中でもよく目立ち、敷石の白さのように蓄光しているようにも見える。


 ちなみに、レッドレッグを含むバウンサー目の魔獣は、昆虫食性の一種を除き、他全ての種が植食性である。仮にカズヤがレッドレッグに負けたとしても食い殺されることはない。


 では、なぜカズヤがレッドレッグと戦っているのかというと、それは彼らの分泌する特殊な物質が目当てだからである。

 レッドレッグの脚に生えた赤い体毛は中空構造になっており、その中には金属を腐食させる腐食酸が封入されているのだ。この腐食酸は鍛冶工房などで金属に透かし彫りなどの細かい装飾を施す際に重宝される物質であり、レッドレッグ自体が比較的希少であることもあって高値で取引される。


 故郷を追われて安定した職を失ったカズヤは、いつまで続くか分からない旅の道中で、今後如何にして路銀を稼ぐかを考えていた。

 冒険者として各地の協会支部で仕事をすることもできるが、定住するわけではないので、必ずしも割のいい依頼に巡り合える保証もない。街に訪れた際にいつもいい依頼が発注されているとも限らないし、土地の者達に比べて顔が知られていない分、信用もされにくいことだろう。

 日雇い労働もこれと同様で、常にアテにし続けるのは危険だろう。


 そこでカズヤは、逆に各地を転々とすることを利用すればいいという結論に至ったのである。

 具体的には、様々な地域の市場で蒐集した特産品や、狩猟した地域固有の魔獣の素材・採取した植物や鉱物などをストックしておき、適切なタイミングで売るということを考え付いたのである。

 とある地域ではありふれた存在でも、他の地域に渡れば希少価値が高かったり、存在すらも知られていなかったりする。幸いにも、カズヤは花級冒険者資格を持っており、魔物や植物の生息域に関しては造詣が深い。その知識は希少品の見極めにきっと役立つことだろう。

 とまあ、そんなわけでカズヤは銅級冒険者・花級冒険者・行商人として3足のわらじを履く決心を付けたのであった。


 眼前のレッドレッグはそのための大事な蒐集品の1つ。総数が少ないとはいえ、レッドレッグ自体は他の地域でも狩猟できる。だが、グランドーラント王国で狩猟できるレッドレッグの腐食酸は特に高品質とされ、どこへ持っていっても高値で売買される。

 国を出ようというタイミングで偶々この個体に遭遇したので、元手の足しに出来ればと思い立ち、狩猟することにしたのだった。



「あっ、危ない!」



 シエルラが悲鳴を上げる。


 先ほどまで逃げるばかりだったレッドレッグが、反転してカズヤの顔に当たる軌道で前足を振るったのである。

 平時は温厚で臆病な草食動物であるが、身に危険を感じた際にはその長い脚を使って素早く動き回り、外敵を翻弄するのである。そもそも、外敵に遭遇してもその俊足を逃げ足として使うことが多い魔物である。


 しかし、まるでその動きを読んでいたかのように大きく上半身を捩って回避したカズヤは、カウンターとばかりにレッドレッグのふさふさとした巨大な尻尾を根元から断ち切った。回転を利用した鮮やかな剣筋だった。


 その様子を見て、シエルラは胸をほっと撫で下ろした。だが、撫で下ろす手が大きな胸に引っかかっている。

 一方、シエルラの覗く幌の隙間から引き気味に戦闘の様子を見ていたブドウは、糸のように細い左目をほんの少し開き、包帯で巻かれて1本指になった右手を顎に当てた。



「でも、尻尾がなくなっただけじゃあ、まだ…。カズヤくーん、脚を狙ってみてはどうですか?」



 ふわふわと巨大で長い尻尾を切り落とされたものの、レッドレッグは未だに健在である。むしろ、傷を負わされた分だけカズヤに対する敵意が増しているようにも見える。


 蛇の唸り声のような鋭い擦過音を上げたレッドレッグは、おもむろに体を小さく屈めると、爆発するような勢いで脚を伸ばした。4本の長い脚が発条(ばね)の如く、丸い身体を打ち出す。慣れているカズヤでも残像を見るのがやっとの加速だ。


 カズヤ目掛けてぶっ飛んだレッドレッグの身体は、カズヤの少し右を通り過ぎると、そのまま草地の中へと突っ込んで行った。



「…逃げられましたか?」



 ガサガサと揺れ動く草を目で追いつつ、ブドウがぼそりと呟いた。



「いや。」



 短くそれを否定したカズヤは、レッドレッグが突っ込んで行った草の中へと自身の身を入れた。レッドレッグが通った痕は、草がトンネルのようにかき分けられており、ところどころに血や獣の毛が引っかかっている。


 そして、先行していた草の波が止まったところまでトンネルを潜り抜けたカズヤは、そこで横たわる黒い塊を発見した。手足や頸椎が折れているようで、死に体だ。

 直剣で瀕死のレッドレッグの心臓を貫いたカズヤは、手早くその胴体にロープを巻き付けると、それを引き摺りながら馬車の傍へと戻っていった。



「レッドレッグは脚が速くて旋回性能も高い魔物です。でも、その旋回性能は大きな尻尾に依存しているので、尻尾が無くなったら思ったとおりの動きが出来なくなるんですよ。」



 レッドレッグの死体を運び終えたカズヤは、それを低い草の上に横たえると、吊るしていたカンテラを取ってきた。そしてその後、どこからともなく水の入った大樽を取り出した。明らかに懐から取り出せるようなサイズではない物体が突然出てきたので、シエルラとブドウは目を真ん丸にした。



「カズヤくん、それ、どこから出したんですか…?」


「たぶんこのレッドレッグは、僕の後ろに回り込んでこようとしたんでしょうね。あそこの土だけ強く抉れてますし、ここで反転しようとしたんじゃないかな。でも、自分に尻尾がないことを忘れてたもんですから、その勢いのまんま転んじゃったってわけです。レッドレッグの瞬間最高速度は80㎞/hにもなるって聞きますけど、その運動エネルギーで頸椎を折ってますね。僕が止めを刺さなくても死んでたと思います。」



 淡々と解説しながら、これまたどこからともなく樽用の蛇口を取り出したカズヤ。彼はそれを樽に刺すと、さらにどこからともなく取り出したボウルに水を注ぎ込んだ。



「あの、ですから、カズヤくん。それってどこから出して…。」


「ちょっと解体作業に入りますから、血とかが苦手な人は引っ込んでてください。見たい人は勝手に見ててくれてもいいですけど。」


「あ、見ます。」



 荷台から降りてきたシエルラは、にょろにょろとカズヤの背後に這ってきた。ブドウもそれに続こうとしたように見えたが、自身の事情を思い出したらしく、先ほどまでシエルラが居た位置に入れ替わるだけに留まった。



「…シエルラさん、髪が邪魔なんですけど。近いです。」


「あ、ごめんなさい。夜は見えにくいので…。メガネ取ってきますね。」



 余談だが、竜の亜人は夜目が効かないのである。


 それはさておき、足に巻いたベルトから解体用ナイフを抜いたカズヤは、刃が腐食酸でダメにならないように、予め入手しておいたコツボバウンサーの脂肪をハケで塗りつけた。

 コツボバウンサーはレッドレッグと同じバウンサー目の魔獣であり、レッドレッグのものほど強力ではないものの金属を脆くしてしまう腐食酸を分泌する。レッドレッグも同様だが、これらの種は自身が腐食酸の影響を受けないように反応性の低い一種の飽和脂肪酸を体表に分泌することで身体を守っているのだ。


 切れ味の鋭いナイフはクリームのような脂肪に覆われており、その切れ味を落とすことはない。カズヤはサクサクとレッドレッグの毛皮を剥ぎ、赤い足の部分だけ分離するとそれをどこかへと仕舞ってしまった。どうやら虚空に消えていったように見えたが。



「カズヤくん?」


「腐食酸の抽出は後日、時間があるときで大丈夫でしょう。今は、できるだけ素早く解体して、痕跡を残さないようにしないとね。」



 当然、シエルラは先ほどの焼き直しのようにそれにツッコミを入れた。しかし、カズヤは先ほどの焼き直しのようにそれをスルーして解説を挟んだ。


 そんなやり取りが何度か続いた後、とうとうカズヤが折れた。彼はため息を吐くと、作業の手を止めてシエルラの方を振り向いた。



「アイテムストレージって知ってます?」


「アイテムストレージ…。ああ、なるほど!」



 シエルラはその言葉を聞き、先ほどの不可解な現象群を完全に理解したらしい。



「レア持ちなんですね、カズヤくん。すごいです!!」


「重宝してますよ。」



 称賛の言葉に、カズヤは少し得意気な顔をした。


 一方、話に付いて行けていない様子の者が1人。

 ブドウが何かを言いたげに口をムズムズさせている。



「あれ、ブドウちゃん。もしかして、アイテムストレージのことご存じありません? レアスキルの中でもいちばん有名なものだと思うんですけど。」



 シエルラの言うとおり、アイテムストレージの存在は広く知れ渡っている。これは発生率の低いレアスキルの中でも比較的高頻度で発生するスキルであり、なおかつ使い勝手が非常に良いものである。生まれてくる子がこのスキルを持って生まれてくるように、と親が毛糸で鞄を編む風習が各国に存在しているほどだ。


 しかし、ブドウはそんな有名な名前を聞いた上で、怪訝な顔を解かなかった。

 そして、信じられない言葉を吐いた。



「……………れあ、すきる? とはなんですか?」


「……えっ?」



 解体作業を再開していたカズヤの手元を見ていたシエルラは、ブドウの言葉を聞いて固まった後、ぽかんと口を開けながらブドウの顔をまじまじと見た。カズヤは顔こそ上げなかったものの、動揺を隠せずにナイフ捌きを滑らせてしまった。スペアリブを分けていた刃先が滑り、肋骨の表面を薄く削り取った。



「……ど、どうされたのですか、お2人とも。」



 カズヤとシエルラが異様な様子になったことに不安を覚えたのか、久方ぶりに馬車を降りてきたブドウ。



「な、なんというか非常識だなぁって。いや、間違えた。ちょっと一瞬、貴女がなんて言ったのか理解できなくて。」



 何時もの調子で毒を吐く、というよりも単純に言葉選びを間違えたカズヤは、額に指を当てながら唸った。



「えーと、レアスキルってのは、その名の通り珍しいスキルのことですよ。…さ、さすがにスキルのことは知ってますよね?」


「…………………その。」


「……マジか。ブドウさん、貴女、何星人なんです?」



 およそこの星に生まれた人間には考え難いことだが、なんとブドウは生物としての大前提中の大前提、ともすれば食事や呼吸よりも重要かつ初歩的な概念のことを知らないらしい。




 読者諸君におかれましてはわざわざ説明するまでもないことだとは思うが、念のためにスキルという概念について触れておく。


 例えば人間には、生まれ持った才能があり、才能によって生じた差を埋めるための努力がある。知識量は学習の質と量によって左右され、筋肉は鍛錬によって増減する。体格差すらも知恵でカバーしうる。


 だが同時に、どうしても覆せない差というものが存在している。それがスキルという原理だ。


 スキルとは、古代の神による祝福であり、人々に新たな格差を生み出した呪いでもある。

 生きとし生けるもの全て、動物も植物も、人間のような高等生物からアーキアのような単細胞生物に至るまで、全ての魔物はスキルという理によって支配されている。


 スキルとは、ある意味で生まれ持った能力である。だが、それは“ただの才能”で差を埋められるものでもなければ、努力で伸ばせるものでもないのだ。


 スキルという概念を定義するならば、『個人が出生の時点から所有している能力ないしは才能であり、個人が特定の条件下において、当人の本来の能力以上の成績を発揮させることができる力』といったところだろうか。

 先述した特定の条件というのは、主に“武器”“魔法”“製作”の3種類、そしてそれ以外の様々な生活場面における“その他”に分類される。それぞれの細かな仕様は長くなってしまうので機会があれば別途で説明させてもらう。


 これらのスキルが発動された時、魔物は魔物本来の身体能力や魔素胞容量(魔法を撃つ際に必要とされる魔素のタンクの容量)といった制限を超えたパフォーマンスを発揮することが出来る。


 例えば、カズヤは直剣スキルという武器スキルを所持している。これはカズヤが武器として直剣を装備している際、本人の剣術の力量では本来不可能なはずの動作を行うことができるようになるというものである。

 先ほど、レッドレッグの尾を切断した時のことを思い出していただけると良いだろう。身体能力が特別に優れているわけではないカズヤは、レッドレッグが飛び掛かってきたのに気づき、体を必要以上に大きく捻ることで回避した。普通ならばそのまま態勢を崩してしまっていたかもしれない。だが、カズヤが直剣を手に持っていたことで直剣スキルが発動し、明らかに困難な体勢から鮮やかな剣技を繰り出すことを可能としたのであった。



「ブドウさんはなんか引っかかってたみたいですけど、これで説明が付いたんじゃないですか? たぶん、無様な回避姿勢のわりに転ぶこともなく剣技が出たからびっくりしたんでしょう。無理な動きをしてるように見えた割に、筋肉を傷めた風にも見えなかったでしょうし。」



 と、このような感じで講釈を垂れていたカズヤがブドウに話を振った。彼はその場で直剣を抜くと、くるくると3回転しながら鋭い剣閃(すきるのおんけい)を披露した。



「そうでs…、いえ。そんな失礼なことは考えていませんでした。」


「あっそう。」



 話を戻そう。


 例えば、同じ直剣スキル持ちの中でも、直剣をより上手く扱える者と少し劣る者が存在する。スキルが身体能力や体格などの制限を飛び越えるものであることを考慮すると、これはスキルそのものに差異が存在していることの根拠となるのだ。

 この事象は、先述した4種類のスキル区分において起こりうることであり、一部の例外を除けばすべてのスキルにおいて当てはまるのである。


 同一スキルの持つ能力間に差があることで生じた問題としては、同じスキルだからといって同一視することが出来ないということである。

 例えば、スキルの差異が明示されていない同一の鍛冶系スキルを持った2人の職人のうち、どちらかに武器制作の依頼をしなければならない時。腕前の根拠として、より依頼料の高い方に委託した結果、そちらの職人はもう1人よりもスキルの精度が低く、求めていた基準の品物が納品されなかったというような事が起こりうる。


 このようなことを防ぐためには、信用できる共通の基準が必要とされる。実際に基準が存在しなかった時代にはそういった詐欺まがいの商売を行う者も多くいたそうだ。


 そこで制定されたのが、このスキルの能力差を数値的に評価し、ランク付けしたものが『スキルランク制度』と呼ばれている全世界共通の基準である。スキルランクは『スキルランク査定委員会』という国際組織によって定められる基準であり、スキルの能力を高い順にSS、S、A、B、C、D、E、F、Gランクとして分類している。



「ちなみに、僕の直剣スキルはBランク相当らしいです。他には炎魔法がCランク、水魔法がEランクって感じですかね。…ブドウさん、大丈夫ですか? 付いてこれてますか?」


「…………なんとか。」



 ここで、話のきっかけとなったレアスキルという存在について話したい。


 つい先ほど、スキルには差異が存在しており、それをランクとして可視化しているという話をした。

 だが、それに当てはまらない例外が存在しているのである。


 スキルによって発生頻度の多寡が存在しているというのは想像しやすいと思う。だが、ただ珍しいだけのスキルとは異なる法則の上で発生する、さらに発生頻度が低い希少なスキルが存在しているのだ。

 血縁関係からある程度発生法則が予測されうる通常のスキルとは異なり、完全にランダムかつ超低確率で出現するスキル。これらに関しては地域によってさまざまな呼称があるが、スキルランク査定委員会では公式的に『レアスキル』と呼んでいる。


 データが少ないために断言はできないが、レアスキル内でも出現頻度に差が生じている傾向があるようだと言われている。

 とはいえ、その中でも特に出現頻度が高いといわれているスキルでも、数万人に1人という確率でしか現れない。カズヤの持つアイテムストレージはどちらかというと出現頻度が高いレアスキルだが、それでも1/45,000,000という頻度でしかお目にかかることの出来ない貴重なスキルである。

 その上、レアスキルの中にはこれまで特定の個人にしか発現しなかったものも存在している。明らかにその個人にしか出現していないことが証明されたものであれば、固有のスキル『ユニークスキル』として制定されるのだ。



「ちなみに、ユニークスキルにはなぜか戦闘スキルが多いみたいですね。だいたいがイカサマみたいな性能なのばっかりなんで、ユニークスキル持ちは殆ど兵器みたいなもんですよ。今のところ、生まれつき“フタエガミ”の連中にしか発現してないみたいなんですけど………大丈夫ですか?」



 と、ここまで説明してきたところで、ブドウからのレスポンスが減ってきたことに気付いたカズヤ。レッドレッグを捌く手を止め、ブドウの顔を見上げると、彼女は頭が痛そうにしていた。



「………すみません、知恵熱が出そうです。」


「続きは今度にしましょうか。」



 どうやら、一度に多くの事を言われたために頭がパンクしそうになっていたらしい。


 解体作業に見入っていたシエルラが検温してみたところ、本当に知恵熱が出ていたという話だった。


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