表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第1話 プロローグ

古き戦いが起こってから数十世紀後。その戦いがあった場所には草木が生い茂り、川や海など自然が豊かな場所となっている。その場所に出雲が暮らしている夕凪の国が建国されている。


夕凪の国はその自然豊かな場所から漁業や農業が盛んであり、それと同時に地下資源によって工業なども盛んである。夕凪の国は人口が一億人前後おり、世界で見ても人口が多い大国として扱わている。


夕凪の国は首都である皇都がある都市と、地方に多数ある都市と村で構成されている。村では農業や漁業、工業などいずれかに特化をしている村運営をしている。出雲の暮らす都市は農業が盛んな皇都から一番遠い場所にある地方都市である。


その出雲の暮らす都市の名前は恵庭と言われており、農業と共に綺麗な花が咲き誇り、観光都市としても有名な場所として知られている。出雲はそこで生まれ育ち、暮らしていた。出雲は現在十六歳になったばかりであり、中学校を卒業してから恵庭の自警団として働いていた。出雲は黒髪で耳にかかるまでの長さをし、前髪は眉毛にかかる長さで軽く右側に流している。


「行ってきまーす! 帰りは十八時くらいだと思うよ!」


勢いよく恵庭の中心街にある家から出ると、母親が弁当を忘れてるわよと出雲を止めた。母親は妹である中学校二年生である愛奈に言って出雲に渡してきてと言う。


「えぇ……面倒くさい!」


愛奈はリビングのソファーで寝転がりながら文句を言っていた。愛奈は茶髪の肩にかかる長さをし、前髪の左側にピンを付けて分けている。その顔は多少丸み顔であるが目鼻立ちがハッキリしており、年相応の可愛らしい印象を受ける。その愛奈は現在紺色のセーラー服を着ており、食卓に座っている父親が色々見えるぞと話しかけられていた。


愛奈は母親同様にスタイルが良く身長は百六十センチありながらも、出るところは出ている。そのすらっと伸びた脚や、細いくびれを活かし自身の胸を強調する服を好んで着るほどである。


「見ないでよ! もぅ! 世話の焼けるお兄ちゃんなんだから!」


愛奈はソファーから起きると、出雲の弁当を手に持って家を出た出雲を小走りで追いかける。愛奈が家を出ると、既に出雲の姿が見当たらなかった。出雲の職場は都市部の外縁部にある出張所であるのでそこまで行けば会えるのだが、それでは自身が学校に遅刻をしてしまう。愛奈はどうしようか少し歩いた先で悩んでいると、商店街の方から出雲らしき声が聞こえてきた。


「そうなんですよ! 今日もこれから仕事で!」


出雲が商店街の入り口にあるコロッケ屋のおばさんと話していた。出雲は離しているとおばさんからコロッケを一個もらって食べていた。愛奈はゆっくり歩きながら出雲の背後に回ると、おばさんと目配せをして黙っててもらった。


「何食べているのよ!」


愛奈がそう叫びながら出雲に膝カックンをして出雲を転ばせた。出雲は一瞬何が起きたか理解が出来ていなかったが、転んだ目線の先に愛奈の顔が見えたので、愛奈がしたのだと理解をした。


「愛奈!? 何でここにいるの!?」


出雲が地面に横たわりながら話しかけると、愛奈がお弁当忘れたでしょうと屈みながら出雲に言った。


「あっ! 本当だ! 手に持ってない!?」


出雲は毎日母親の手作り弁当を手に持って駐屯所に向かっているのにも関わらず、今回に限って手に持っていることに気がついていなかった。出雲は愛奈の手を掴んで起き上がると、コロッケを食べきって愛奈から弁当を受け取る。弁当を受け取った出雲は愛奈にありがとうと言うと、行ってくると愛奈に言う。愛奈は気を付けてよねと文句を言うと、出雲は愛奈の頭部を撫でて気を付けると笑顔で言った。


「じゃ行ってくる! 愛奈も学校頑張ってな!」


出雲そう言って走り出すと、愛奈は馬鹿お兄ちゃんと叫んでいた。その出雲と愛奈の様子を商店街の人達は微笑ましい顔で見ていた。出雲と愛奈の仲の良さは近所でも有名である。出雲は生まれた時からこの地域で育っているので、近隣の人達や商店街で働いている人達とは面識がある。


出雲が成長をし愛奈が生まれると、愛奈と共に商店街で遊んだり少し歩いた先にある川や海でよく遊んでいた。出雲は妹思いの兄として有名であり、二人は近所で有名な兄妹として暮らしていた。


「もう! 馬鹿お兄ちゃん!」


愛奈が駐屯所に急ぐ出雲に馬鹿お兄ちゃんと叫ぶと、出雲は右手を上に上げてまたなと返した。愛奈は出雲の姿が見えなくなると、家に戻っていく。愛奈が家に戻ると父親とは母親に届けたよと言う。


「相変わらず忙しいわね。 もっと落ち着けばいいのに」


母親がそう愛奈に言うと、愛奈はもうすぐ試験があるからねと母親に返した。


「あ、もうすぐなのね! 試験のために出雲は頑張ってきてたもんね」


母親と出雲が言う試験とは、国の騎士として採用してもらえる試験である。この騎士になるための試験は数年に一度しか行われず、合格者がいなければ開催していたとしても採用者はいない、厳しい試験である。その狭き門の騎士になるための試験が、明日五年ぶりに開催される。その試験はテレビカメラを通じて初めて国中に中継をされると募集用紙に書いてある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ