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午後の紅茶にくちづけを  作者: ちょこみんと
ダージリン・セカンドフラッシュ
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日が長くなった。

数週間前までは今の同じ時間にはもういなくなっていた太陽がまだ名残惜しそうに部室の窓から覗いていた。

しかし部室隣の給湯室で部員分のティーセットを片すのには暗すぎたが、かすかに残った視界と慣れで丁寧に片していった。


「って、ねぇ真美子聞いてる?」

「えっ!?あ、は、はいっ!?」


カチャカチャと陶器のティーセットが当たる音と水道の音だけを聞いていた真美子だったがいきなり給湯室に現れた陽菜乃が声をかけてきて、驚きのあまりビクッと肩を震わせて勢い任せの返事をした。

濡れたティーカップとそれを拭くフキンをギュッと握りしめて陽菜乃の方に目をやりなんでしょうか?と首を傾げる。

あまりに驚く真美子に逆に驚いた陽菜乃は脅かしたならごめんと軽く謝りながら給湯室に入って真美子の隣に歩みよる。

そのせいで入口から入っていたなけなしの太陽光が減ってさらに薄暗くなりそれほど目の良くない真美子からは陽菜乃の影とかろうじて表情が確認できた。


「でさ、話聞いてた?」

「え、あ…申し訳ありません…、聞いておりませんでした…」

「いや、そんなに構えなくていいって。学期末の生徒総会のことなんだけどさ」

「せ、生徒総会…?あぁ、そういえばもうすぐですね」

「うん。資料作りは(ひじり)が終わらせてくれてて、今度1回集まって軽く打ち合わせしよう」


陽菜乃は真美子の手にしていたフキンをスっと取ると真美子のかわりにまだ濡れているティーセットをごしごしと吹き上げる。

早さの代わりに丁寧さがかけている手つきに陽菜乃らしさを感じた。


「まぁ、柏木さんが?いつもありがたいですわ」

「だよね。真美子からもお礼言っときなよ」

「えぇ」


生徒会の後輩が資料作りを終わらせていると報告を受けると感謝と申し訳なさ半分の気持ちで無意識に真美子は頭を下げて陽菜乃の吹き上げたティーセットを数時間前もそうであったように食器棚にしまう。

その動作の間に沈黙が流れても2人には気まづさもなく直ぐに終わってしまった。


「ねぇ、真美子」


パタンとティーセットを収納した食器棚の扉を閉じた真美子に陽菜乃が目を合わせずに名前を呼んだ。

はい?とこちらも声だけで返事すると、隣から少し何かを探るような声がした。


「…怒った?」


やっと真美子に目を向けた陽菜乃のその一言で何が言いたいのか理解すると真美子はしばらく黙った。


「…ちょっと」


薄暗さの中の逆光であまりよく見えない陽菜乃の顔がどうなってるか見てみたくて目を向けると、真っ直ぐに自分を見ていたので思わず目を逸らして小声で答えるもなぜだかその声色は拗ねてるように真美子は感じた。

その声色を加味してか陽菜乃は悔やむような息を漏らすと素直にごめんなさいと頭を下げて謝罪した。

子供のように素直すぎる陽菜乃の謝罪に面食らうもどう声をかけるべきか悩んでいるとゆっくりと陽菜乃は頭を上げた。


「あ、のっ…」

「ごめん…真美子…」


目を伏せてまた謝罪の言葉を口にする陽菜乃の様子を見るに相当後悔しているのだろうか、真美子はそんな素直すぎる陽菜乃がなんだか愛らしくも思えた。


「…私、上手く言葉で言えませんけど…」

「うん…」


そこまできちんと謝罪をされると先程まで心の隅に残っていたくすんだ感情は無くなっていて、また新しく生まれた名前も分からない感情を伝えようと探り探りで言葉を紡ぐ。

陽菜乃は大人しく相槌をうっていた。


「…紫之宮さんが…、昨日の事を話すのは別に構いませんでしたが…。まさか、あんな風にお話されるとは思っていませんでしたわ…」

「…うん」

「それに、紅音さんにもあんなこと言われて…。私、本当にショックでした…」

「ごめん…」


そう言ってい真美子だったが話すにつれて不安げに両手の指先を何度も絡めて目を伏せていく。

陽菜乃は真美子の口から出てくる言葉をしっかりと受け止めて頷き相槌をうつ。


「…どうしてあんな風に言ったんですか…?」


真美子は絡めていた指を解いて自分のスカーフをきゅっと握って気にかかっていたことを問いかける。

すると陽菜乃は少し考えるように黙ってから言いづらそうにゆっくりと口を開いて続けた。


「…真美子…私ね…」

「…はい」

「…ちょっと…意地悪したくなっちゃって」


ごめんねと伏せていた目を上げて小さく微笑んだ陽菜乃はシワがよったスカーフを握る真美子の手を解いてやると腰に手を回してゆっくりと抱き寄せる。

抱き寄せられた真美子は少し背の低い陽菜乃に体を預けるも、意地悪という単語と今の状態に何事かと少しみがまえる。

しかし陽菜乃は背中を優しく撫でて少し照れたように続けた。


「あの…」

「私、確かに真美子と大橋さんはお似合いとは言ったけどさ…まさか本当に恋人になるなんて思ってもなかった」

「あぁ、もうっ!!違いますから!!」


フリをしているだけの太一を恋人と言われる真美子はやめてと言うように頬を膨らませて怒りを露わにするも抱き寄せてきた陽菜乃の顔の近さに思わず口を閉じる。


「だからちょっと意地悪してみたくなったの」

「…え?」

「だって、彼の彼女になっちゃったら真美子…好き勝手にやられちゃうかもしれないでしょ?」

「好き勝手…?あっ」


腰に回されていた陽菜乃の手がゆったりと腰を撫でて右手で真美子の顔に少し乱暴に手を添えるとその勢いに押された真美子は狭い給湯室の壁に背中からぶつかり行き場を失う。

逃げ場の無くなった真美子は陽菜乃の肩を押して距離を取ろうとするがスカート越しの両足の隙間に膝を入れられて身動きが取れなくなった。


「紫之宮さん…?あのっ」

「耐えられないのよね…そんなことされるの」

「そんなことって…、紫之宮さん何か勘違いされてます」

「勘違い?してないよ」


陽菜乃は小さく笑うと隙間に入れていた膝を真美子のきわどい所までゆっくりと上げる。

だんだんと暗くなって何も見えなくなってきた給湯室で陽菜乃にされるがままになっている真美子は陽菜乃の発言と内ももに布越しの膝の存在に徐々に恐怖を感じる。


「…ふふ、そんな顔しないでよ。私いじめてるみたいじゃない」


不安げな表情をする真美子の頬をクスッと笑い親指で撫でる。

何がしたいのか分からない陽菜乃に声をふるわせて答える。


「だって…紫之宮さん…怖いです」

「でしょ?」

「…ぇ」


添えた手で頬を撫でた陽菜乃が目の前で蛇に睨まれた蛙のように大人しく身構えていた真美子から、その発言を待ってたというように笑ってとすっと離れる。

目の前から黒い存在が居なくなると、感じていた恐怖から解放されて安心したのか真美子の壁に預けていた体はズルズルと腰を抜かして下に落ちていく。

それを見た陽菜乃は大丈夫かと腰を抜かした真美子に手を回した。

先程からの不可解な行動をとる陽菜乃に真美子は不安げな視線を送りつつもその手に頼る。


「…ね?私でこんなになるんだから、彼相手だと真美子どうなるか分からないでしょ?」


自分の腕に体重を預ける真美子にそう笑って言うと給湯室から出て少し歩かせてカウチソファーに座らせる。

そう言われるも真美子は未だによく陽菜乃が伝えたい事が理解出来ずにただ自分の身を守るように隣に座る陽菜乃と1人分の距離をとって身構える。


「怖かった?」

「…はい」

「…でしょ?私がああやって追い込んだだけでも何も出来なくなるんだから、万が一彼に同じ事されたらって考えると…私、心配なの」

「…そ、そんなこと…」


真美子から作られた距離を詰めないまま陽菜乃が真美子を真っ直ぐ目を見てそう伝えると真美子は何も言えなくなりゆっくりと目を逸らした。


「…嫌いになった?」


自分から距離をとったままの真美子に苦笑いを浮かべながらも少し悲しげに問いかける。

真美子はその問いかけに頷きも首を振ることをせずに何も言わずに顔を伏せた。


「ごめん、真美子」

「…なってません…」

「え?」

「答えになってませんから…!!」


これ以上は追求できないと思った陽菜乃はもう一度謝ると真美子がやっと言葉を発した。

真美子の少し張った声は静かな部室に大きく響いた。


「答えになってませんから…それ…。私は…どうして彼の事話す時にあんな棘のある言い方するのかを聞いたんです…、でも、…私が大橋様になにかされるか心配だから意地悪したなんて…私には理解できません…」


陽菜乃の方は一切見ずに途切れ途切れに話し出す。

小さく肩を震わせて時折目元に手をもって行く様子を見ればまた涙してるのかと陽菜乃は罪悪感を感じて下唇を噛む。


「…私、何か紫之宮さんにしてしまったんでしょうか…?だからそんな意地悪言うんですか…?」

「ち、違うよ!!」

「じゃあなんなんですかっ!?」


震えた声を張ってやっと真美子がこっちを見た時には既に頬にはいくつか涙の通った筋が出来ていて陽菜乃は言葉を失う。

珍しく感情的になった自分に驚きと情けなさを感じた真美子が辛そうに目を閉じるとまた一筋できる。


「…私、紫之宮さんのこと…とても信用してます…だから、その紫之宮さんがおっしゃるのなら…大橋様の事も信用出来ると思って…男性恐怖症も克服できそうな機会だとおもったから…そうしただけですのに…」

「真美子、ごめん、私」

「もう、謝罪は結構です!!」


数時間ぶりにグズグズしながらどこにぶつけていいのか分からない怒りと苛立ちを顕にしながらすすり泣いていた。

陽菜乃は目の前でなく少女を慰めるように背中に手を回そうとしたが、拒否されそうで伸ばした手を引っ込めて握りしめた。


「…違うの、違うのよ…真美子。私、別にあなたを泣かせたいわけじゃないの…」

「…もう、なんなんですか?それなら…あなたは、私をどうしたいんです…?」


必死に真美子に弁解する言葉をかけるが真美子は流れる涙もそのままに陽菜乃を見つめる。

ずっと見てきたその綺麗な瞳からは、今まで向けられたことの無いような疑念と不安と嫌悪感の混じったような感情がみてとれて陽菜乃は悲しくなるほどに申し訳なく思った。

そして覚悟を決めたように真っ直ぐに真美子を見て続けた。


「私、真美子が本当に大切なのよ」

「…え?」

「大切なのよ…何よりも。だから…真美子が誰かになにかされるなんて…考えただけでも嫌なの…。ましてや男になんて…」

「…紫之宮さん?」

「だから…、私がそう言った手前…2人を応援するべきなんだろうけど…私、耐えられそうにないかも…」

「…あの…」


そこまで言われるといつの間にか涙が引いていた真美子は首を傾げて何度か瞬きをする。

陽菜乃は正直な気持ちを伝えながらだんだんと目を下に逸らして頬を染める。


「ごめん…ちょっとだけ…妬いてた…かも」


そういうと陽菜乃は柄にもないことを口にしてしまったので恥ずかしそうに手で顔を隠す。

打ち明けられた真美子はえっと…と何度か瞬きをしてから落ち着きなく目を泳がせると目の前で頭を抱える陽菜乃になんと声をかけていいのか分からなかった。


「…ごめん…。これじゃ答えにならないか…」


何も言わない真美子に自嘲気味に笑う陽菜乃はもう一度謝って出ていこうと立ち上がる。

ちょうど日暮れの時間だから帰るには良い時間帯で良かったと、小さな安心を得たところで右手を掴まれて引き止められる。

思わず右手に目をやると真美子が不安げに陽菜乃の右手を掴んで引き止めていたが視線は逸らしたままだった。


「…まだ、…行かないでください…」

「え?」

「紫之宮さん…他に言うことありませんか?」


ギュッと握る力を強めた真美子はやっと陽菜乃と目を合わせる。

何か言いたげなその目に陽菜乃は心の中まで透かされてるようで不安になった。


「…な、何?」

「…私は…まだ言いたいことあります…」


この状況下で自分に何をどう言わせたいのか色々な事を考える陽菜乃は、それを黙ってじっとみてる真美子を不安げに見つめ返しては首を傾げる。

すると真美子は陽菜乃の手を握りしめてはバッと同じように立ち上がり目の前の陽菜乃を見つめた。


「…私は、嫌われた訳ではないんですよね…?」


手を握ったまま不安がっていた陽菜乃に問いかける。

そんなこと聞かれると思ってもなかった陽菜乃はえっと一瞬驚くも直ぐに頷いて違うからと強く否定する。


「そんなわけない!!私が真美子の事嫌いになるわけないじゃん!!」

「…そうですか…」

「そうだよ!!…言ったでしょ…私は真美子が大切なの…本当に」


思わず大きな声を出して否定した陽菜乃は真美子の手を握る手に力が入る。

その力強さに真美子は少し痛がるもどこか嬉しそうに微笑んだ。


「…そうですか。よかったです…」

「真美子…?」

「私…紫之宮さんにこんなに想われていたんですね…」

「…えっ?」

「ヤキモチまで妬いて…ふふっ、可愛らしいところもあるんですのね」

「真美子?何言って─」


怒って泣いていたと思えば次は嬉しそうに微笑み出した真美子に戸惑いを感じた陽菜乃に真美子はいきなり抱きつく。

ここ数分間の出来事でめちゃくちゃにされた感情のまま真美子を少しふらつきながらも抱き受ける。

耳元では嬉しそうに微笑んだ声が漏れて聞こえた。


「よかった…」

「真美子、あの私」

「私…男性も確かに怖いです…それでも…、紫之宮さんに嫌われるほうがよっぽど怖いんです…」

「真美子…」

「でも、よかった…私、紫之宮さんに大切に思われてますのね」

「当たり前でしょ!!私だってずっと言ってるよね?…私は何があっても真美子の()()って」

「えぇ…。そうですよね…。ありがとうございます」


自分の胸の中で嬉しそうにすすり泣く真美子の発言を聞くと安心して陽菜乃は真美子の背中に手を回して強く抱きしめ返した。


「ごめんね、真美子…大好きよ」

「私こそ…嬉しいです」


安心からか泣き止んだ真美子を抱きしめているからか、陽菜乃もすこし涙ぐむ。

しばらく抱き合った2人がやっと離れるとお互いに潤んでいる目を見合わせて可笑しそうに微笑みあった。


「やだ、私もう帰りませんと…」

「じゃあ、一緒に帰ろ?」


徐々に暗くなってきた部室に気づくとぱっと腕時計をみて時間を確認すると、母親と決めた門限に長針が迫ってきていた。

すると陽菜乃がさわやかに微笑んで真美子に手を伸ばす。

はい、と微笑んだ真美子はその手を優しく握ってそのまま帰ろうとするも入口の前で立ち止まり思い出したように自分の目元に手を持っていき焦った様子で陽菜乃に問いかける。


「あの、私まだ目が赤いですか?」

「…まぁ、赤いと言えば赤いけど…泣いたのかなとは思う」

「…いけませんわ…どうしましょう…」

「大丈夫、真美子が可愛いのには変わりないよ?」

「そ、そんなことないですからっ!!…お母様に色々と聞かれてしまいますわ…はぁ…今から憂鬱です…」


母親のことを考えるといい気がせずにため息をつきながらドアノブに繋いでない方の手をかけるも陽菜乃にちょっとと声をかけられるのでそちらに顔を向けるとニコリと笑っている陽菜乃の顔があった。


「なんでしょっ、!?」


笑っている陽菜乃に首を傾げると笑顔の陽菜乃の顔が近づいてきて唇に少し乾燥してカサついたものが一瞬だけ触れた。

さすがの真美子も今何をされているのかは理解出来たが驚きのあまり何も出来なかった。

やっと陽菜乃が離れていくと徐々に自分の顔が赤くなっていき、口に手をやり声を絞り出そうとするが先に陽菜乃が声をかける。


「これで、泣いた口実できたね」

「…え?」

「無理やり友達に唇奪われて嫌だった、とか言ったら?」

「そ、そんな…」


唇を抑える真美子に自嘲気味に笑う陽菜乃はね?と念押すとドアを開けるが真美子は歩きだそうとしなかった。

さすがにやり過ぎたかなと謝る陽菜乃に真美子は俯いたまま唇を抑えて首を横に振った。


「…酷いですよ…紫之宮さん…。私にそんな事言わせたいんですか…?」

「ごめん…」


ふるふると小さく震える真美子はもうっと陽菜乃の肩を数回叩いては涙声で続ける。


「私、紫之宮さんに…キス…されても…嫌じゃないですから…!!」

「…え?」

「だから…そんな事言えません…けど」


赤面している顔を見せまいと下を向いたままそう言う真美子はだけど、とゆっくりと顔を上げると少しの躊躇いの後にぽかんとしている陽菜乃に次はこちらから唇を重ねた。

勢いと不慣れさから陽菜乃の唇の真ん中よりか右にずれた所にほんの一瞬だけ重ねられた。

直ぐに離れた唇に驚きながら自分からしてきたのに目の前で恥ずかしがる少女をぽかんと眺めていると恥ずかしそうにまた俯いた。

陽菜乃は2回も重なった唇に手をやると徐々に照れと気恥しさから顔の熱が上がっていくのを感じた。

するとまた真美子は2回重ねた口を開く。


「嫌だから…ではなくて…、嬉し涙…って事にならしてあげます…」

「嬉し…涙…?」


目を逸らして真っ赤になっている真美子に首を傾げて同じことを口にするが理解出来ずに目をぱちくりさせる。


「…もぅ、ばかぁ!!」


なかなか恥ずかしいことを言ったのにイマイチ理解をしてくれない陽菜乃に思わず、普段なら言わないような罵倒の言葉を口にして顔を両手で隠して陽菜乃を置いて部室から出ていった。

繋いでいた手を解かれて逃げるように出ていった真美子の背中を目では追うが、足はついて行かず遠のいていく白い制服を見送った。

濃ゆい時間が終わってしまうと、何事も無かったかのような静寂が訪れる。

その静けさの中で陽菜乃は手の甲で顔を抑えるとドアにもたれて、バクバクと音を立てて動く心臓を抑える。

自分からしかけたのにまさか何倍にもして返されるなんて思ってもない不意打ちにあった陽菜乃はしばらく立っても落ち着かないくらい熱を持った顔をブンブンと振って同じように部室から出ていった。


「…馬鹿はどっちだ…馬鹿…」


一人しかいない廊下では陽菜乃の言葉は直ぐに消えてなくなった。









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