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狂気の発現
あなたは、誰もが崇高な存在として認めるほどの輝かしい人だった。人々のために、昼でも夜でも粉骨砕身していた。そのような人の隣に居られるのは、とても誇らしいことでした。
あなたのような人を選んだのだから、ある程度の覚悟はしていました。しかし、あなたは他の人に対して一切興味を示しませんでしたね。夜はいつも家に居てくれた。
どうしたのですか?そんなにこちらを見て息が詰まるような表情をして。もしや、そろそろ時間なのですか?
私は一足先に行って参ります。思うが儘に、自由に過ごせ。それがあなたの最後の頼みでしたね。悔しいですが、いずれはあなたも来てくれる。そう思えば元気が出ます。
あなたを見つけた時にはすぐに駆け寄ってこう言いましょう。未練がましいだなんて思わずに素直に聞き入れてくださいね。
「――す」
第一声はこれに決まっています。
私の思いは消えはしない。