03_「汝、転生者なのか?」
今回は超短いです。
「そろそろ元気を出すのだ、ええと……ティアよ」
「誰がティアだ。帝夜だ、て・い・や!」
俺は男として大切なものを失った。白髪のロリっ子悪魔・沙羅が言うには、俺の息子が立ち上がることは永遠にないらしい。
「ちくしょう……、こんなことになるのを知っていたら――異世界転生なんてしなかったのに!」
幹に背を預けて地面に座っている俺は、右手を思いっきり地面にたたきつけた。
手がじんじんと痛い。
「汝、転生者なのか?」
空中をぶらぶらと浮いて彷徨っていた沙羅は、黒い翼を消して俺の前に降り立ち、目を点にして顔を近づけてくる。
普段の俺ならば、全裸でロリな少女が近づいてくれば喜ぶかもしれないが、今はそんな元気すら残っていない。ショックが大きすぎたのだ。
「もしかすれば、その愚息を元に戻すことができるかもしれないのだ」
「マジかよっ!?」
「急に立ち上がるでない!? 驚くであろうが!」
ビクッと体を震わせた沙羅。
俺の息子がまた、元気になってくれるとでも言うのか!
「どうやって戻すんだ」
「……急に元気になりおって、現金な奴なのだ」
男の尊厳を取り戻せるのだ、そりゃあ誰だって活力を取り戻すさ。
「そうだの、まずは汝の転生した時の状況を教えてほしいのだ」
「それが関係してくるのか」
沙羅は真面目な顔になり、ゆっくりと頷く。
「かなり重要なのだ、その話次第で、今後が決まると言ってもいいくらいなのだ」
転生時の状態か。
「わかった」
とりあえず沙羅を俺の隣に座るように言う。
すると彼女は何を思ったのか、あろうことか胡坐をかいている俺の上に座り込んできたのだ。
俺が絶句していると。
「ん? 何か問題でもあると?」
はた目から見れば、全裸の男の上に、全裸の美少女が座っているのだ。もしここが日本ならば色々とアウトだろう。……いや、ここは異世界だから何も問題ないのか?
「安心するのだ、我が輩は汝に襲われるほどやわではないのだ」
「そうかよ」
まあいい。
「じゃあ話すか。あれはちょうど一カ月前くらいの出来事だったな。あの日、――」
読んでくれてありがとうございます。
次回、主人公の回想です。長くなるかもしれません。