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初めましての交流会


さて今日は、なんと私が鳳来学園の初等部に入る一週間ほど前なのだ。


そして交流会なるものがあり、それに新入生は参加しなければいけない。


まあしかし、色んな子がいるなぁ。

見るからに上流階級の子もいれば、それに反して庶民出の子もいる。


まあそりゃそうだ、どこまでも実力主義だもの。

お金を積めば入れるわけではないし、学力か魔力か剣術がしっかりとしていれば入れるのだ。


私は勿論剣術で入学を決めている。

魔力は少ししかないし、学力も微妙なところだ。


誰だ今、脳筋って言ったやつ。


「あの…もしかして三ヶ森さん、ですか?」


後ろから可愛らしい声が聞こえる。


「ええ、そうですが。」


答えながら声の方を見ると、そこには顔の整った可愛らしい女の子がいた。


髪は空色だが、透き通って艶があり輝いている。瞳も空色で、目鼻立ちがはっきりしている。


「あの、海里さんとうちの兄が仲良しで…海里さんからよく話を聞いていたので、お会いしてみたくて。」


女の子はふにゃ〜とふわふわとした柔らかい笑顔を浮かべる。これこそが天使か、可愛すぎる。

下手すると海ちゃんより可愛い。


「あ、自己紹介が遅れました、私は天龍寺(てんりゅうじ) 円香(まどか)と申します。」


悪役令嬢だぁあああああ!!!


ゲームでは、もっときつめな印象を受けるのに、小さい頃はこんなにもふわふわした可愛い子なのか。


まさかここで出会うことになるとは思わなかった。


「あ、の?どうかしました?」

「…えっ!?いや何でもないわ、ごめんなさい。」


ぼーっとしている私を、心配そうに天龍寺さんは覗き込む。そこで私はハッとして声を上げた。


「三ヶ森 綾子です、よろしくお願いします。」


私がそう自己紹介すると、天龍寺さんはにこやかに笑みを浮かべる。それから少し照れるような表情をしてモジモジとする。


「あ、あの、もしよろしければ、私と、お友達になって、頂けないでしょうか。」


こちらを伺うようにちらりと見ながら彼女は言う。


どうしよう可愛すぎるし、ここで断る義理も実際無いわけだけれど、そうすると未来ではこの子の取り巻き確定だわ。


「なぜ私と?」


私がそう問いかけると彼女は少し眉を下げる。


「話に聞いてた以外にも、何度か見かけることがあって…ずっと仲良くなりたいなぁって思っていたんです。それに、私…友達いなくて。」


彼女はそう言うと更に俯いてしまう。


仲良くなりたいと思ってくれていたのは素直に嬉しいけど、友達がいないなんて絶対嘘だろう。

彼女の取り巻きの多さはライバルの中で随一なのだから。


「貴方の周りには人が集まるでしょう?」

「いえ、あの、流石にあんなに上辺で寄って来られてもわかるというか。」


彼女は少し周りを見渡してから声を落として言う。

こんな若い時からそれを感じ取るって中々に大変だ。

私は取り巻きとか無いからわからないけど、なんていうか…かなりめんどくさそう。


「わかってます、ダメ…ですよね。」

「そんなことないわ、これからよろしくね。」


私がニコリと笑いかけながら手を差し出すと、彼女は目を輝かせながらこちらを見た。

そこまで嬉しそうにされると、こっちも嬉しくなってくる。


「い、いえ、こちらこそ!よろしくお願い致します!!」


彼女はパッと私の手を取りぶんぶんと振る。


「あの、なんとお呼びすれば…私のことは円香とお呼びください。」

「好きに呼んでくれて構わないわ。」


私が提案すると、首を縦にコクコクと振る。

それから少しだけ考える動作をしてから、一大決心をしたかのように「よしっ!」と声をあげた。


「綾ちゃんとお呼び致します。いつも海里さんがそうお呼びしておりましたので。」


彼女はあまりタメ口に耐性がないようで、若干敬語になりながら話す。


「円香、また来週からよろしくね。」

「こちらこそ、仲良くして下さいね。」


天使で可愛らしい、しかし将来は悪役令嬢な友達をゲットしました!


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