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闇組織「影楼」


「闇組織…?なにそれ。」


中等部に上がってひと月が経つ頃の昼休み。

雫が唐突に話に持ち出した。


聞いたことのない存在に、私は疑問しか感じなかった。


「あたしも良く知らないんだけど、そんなものがあるらしいんだ。闇組織"影楼(かげろう)"…虧月楼や盈月楼もかなり手を焼いてるって話だ。」


雫が私の疑問に応えてわかる限りで説明してくれる。

闇組織だなんて、どんな恐ろしいものなんだろう。


もしかして、以前お兄様の様子がおかしかったのも、闇組織に手を焼いているから?


「それって詳しくは何をする組織なの?人身売買とか…そういう感じ?」


イルマくんが雫に問いかける。

たしかに、闇組織と聞くとそういったことをしているイメージだ。


「…影楼はそういった反社会勢力とはまた違う…。力のある家元を潰して、封印された一族を復活させることが目的なんだ。」


雫に代わり雨香くんが話し始める。


「何それ、あたしも知らないんだけど。」


雫が何で教えてくれないんだ、というように口を尖らせた。


「雫はどうやってその組織について知ったの?」

「偶然聞いてさ…華京院の分家が影楼にやられたって。」


雫の暗い声音に私は聞いてしまったことを後悔した。


「綾子は三ヶ森の分家でしょ?だから、何か知らないかと思ってさ…。」

「ごめん、私は何も知らないんだ。」


影楼だなんて組織、名前すら聞いたことがない。

私が子供だから聞かされたことがないのだろうか。


「封印された一族…おれ、前に本で読んだことある…。」


イルマくんが頭をフル回転させて記憶を呼び起こす。


「歴史としては有名な話だよね、事細かには知らないけどね。」


私の言葉に雫と雨香がコクリと頷いた。


それは、五摂家と封印された一族の話だ。

五摂家とは日本において…また世界に対しても力を持つ5つの家元のことである。

「三ヶ森」「天龍寺」「華京院」「遊水(ゆみず)」「緋ノ谷(ひのがや)」が五摂家だ。


封印された一族について語り継がれる話はこうだ。

昔、五摂家にはもう一つ家元があり六摂家とされていた。しかし、ある一族は均衡を乱し自分たちが世の中を支配しようと禁忌に手を出し、悪行の限りを尽くした。見兼ねた他の家元はは一族を封印し、以降五摂家となった。

各々の家の当主は封印の刻を魂に受け継ぎ、封印が解かれることのないように守っている。刻を刻んだ魂が5つ破壊されると封印が解ける。


これが五摂家と封印された一族の話である。

しかし、この話は五摂家に権力があることを可視化する作り話だと言われている。


まあ「緋ノ谷」に関しては8年程前に没落してしまい今は五摂家ではないのだが。

それにしても、何故あんなに栄えていた「緋ノ谷」が没落してしまったのだろう。よくよく考えてみると謎だ。


それにしても、五摂家や封印された一族なんてゲームの中にはない設定だ。緋ノ谷なんて聞いたこともないし、遊水家もそこまで力のある家だとはされていなかった。


乙女ゲームとは諸々の細かな点が異なる。

高等部になった時、その違いが一体どのように私に影響を及ぼすのか…私はそれが怖くも感じていた。


「まあ、ボクも雫も…それから綾子も気をつけないといけないね。」

「そうと決まれば、今日も放課後に鍛錬するでしょ?」


雨香の言葉にイルマが一つ提案をした。


「勿論ですとも!」


私が答えると、先程の重苦しい雰囲気が少し和らいだ。


もし狙われたとしても強くなって返り討ちにしてやれば良いんだから。

それに封印された一族なんてただの作り話だもの、怖がる必要なんかないわ。


それから私たちは一度も闇組織についての話をせずに昼休みを終えたのだった。


影楼は物語の中でかなりキーとなる組織です。


よろしければ感想や評価などしてくださると嬉しいです!

明日から更新を19:00に繰り上げます。

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