北条出現
今日も一日が終わる。
明日こそは幻の10人目が来てくれるだろうと信じて俺は寝ることにした。
朝。
俺の家と学校は歩いて30分ほどと距離に恵まれている。
いつもの道を歩いていると昨日俺の席に座っていた子が目の前に歩いているではないか。
この子も学校に近いのだろう、ここは声をかけるしかない。
友達を作る前に先に彼女を作ってしまおうと俺は考えたのだ。
「おはよう」
渾身の笑みをこめておはようという。
「おはよう、えっと波風君か」
だが俺は少し考える。
この先なんて言えばいいんだ。
漫画とかならばこのおはようとかで相手は惚れる、だが俺にはそんな能力はない、もう少し考えてから行動するべきだったか。
「ん?どうかしたの?」
そうだ、前に天気の話をクラスの誰かに言われた気がする俺もその言葉を使わせてもらおう。
「いや、とってもいい天気だと思ってさ」
「曇りだけどね」
・・・・
どうやら俺は選択肢をミスったようだ。
「波風君って以外に天然なんだね」
笑いながらそう言われた。
その時俺は恋に落ちた。
笑顔それは武器なのだと感じた時であった。
「んじゃ、私お昼ごはん買うためにコンビニによっていくから先に行っといて」
「ああ、わかったよ。じゃあまたあとで」
朝から気分が良い、もう手紙などどうでもいいほどだ。
まさか朝からあんな笑顔を見れるとはな。
クラスに入ると案の定あの子は来ていない、そう思えば名前をまだ知らなかったな。
えっと、高橋 渚さんかいい名前だ。
俺は決めた。
まずこの子を落とすと。
1時間目のチャイムが鳴る、1時間目の授業は英語か。
英語は個人的に好きな方だ、逆に数学は大嫌いだがな。
I'm falling in love with you.
私はあなたに恋をしているか。
今の俺にぴったりだな。
今の俺はまさしく恋する男だからな。
1時間目が終わりに近づく。
その時ドアが開いた見慣れない顔だもしかすると幻の10人目なのかもしれない。
「すんません、今日までインフルエンザで休んでいた北条です」
「分かった、早く座りなさい」
幻の10人目の名前は北条らしい、そして何やらもてそうなオーラを漂わせている。
俺と同等かそれ以上だろう。
休み時間俺は、北条に話しかけようと思った。
だが意外な敵が現れた、それは女子たちである。
「北条君って前何組?」
「北条君いけめんだね!」
「北条くんって彼女いるの?」
俺は悟った。
これがもてるということなのだと。