第一話 脇役 藤峰公太郎
初投稿となります。
続きはぼちぼちあげていく予定なので、よろしくお願いします
大人ってさ、「自分は自分の主人公」なんていうけど。
本当にそうか。
俺は自分を脇役だと思ってるぜ?
だって、主人公みたいに話の中心にいるなんてありえねぇだろ。そんなの数人だよ。そりゃ、この世に一人か二人なんて言わないけどさ。
それでも、みんながみんな主人公ってことはないだろ。
少なくとも俺は脇役だよ。
主人公なんてまっぴらごめんだ。
主人公の方が良いって奴もいるかもしれないけどさ。
でも、脇役だって主人公くらい大変でやりがいある役割だと俺は思う。
結局そんなものは自分次第なんだってな。
第一話 脇役 藤峰公太郎
「ん~ やっと終わった~」
私立北原高校の二年一組。
俺、藤峰公太郎の後ろの座席に座る藤原真人は、伸びをしながらそう言った。
こいつとは一年のとき、というか入学したとき席が前後だったこともあり、意気投合した。
お互いスポーツするタイプではなく、インドア派。少しばかりオタク趣味(俺はどっぷりハマっているけど)というところで、話をする話題には困らなかった。
「やっぱり、連休明けっていうのはだるいなぁ」
世はゴールデンウィーク明け。休日の気分が抜けていなかった。真人はともかく、俺は休日に何をするわけでもなく、家でゴロゴロと過ごしたものだった。
「まぁなぁ」
俺の返事に真人もそう返す。
「でも、お前の休日中ずっとバイトしてたじゃん」
「そうなんだけどさぁ、やっぱバイトしてても、久々の学校はやっぱりだるいっていうかね~」
そう。真人はバイトをしていた。バイトというよりは家の手伝いといったところか。
と、いうのも真人の家は喫茶店と花屋をしていた。家の半分は花屋、もう半分が喫茶点といった感じで商売をしていたりする。
その名もF&C。おそらく、フラワーアンドカフェテリアの略だろう。安直だが、個人的には良い名前だと思ってる。
「それより真人、明日までの宿題のプリント、もう終わった?」
「え? あぁうん。昨日のうちに済ませたけど……」
「でかした! 見せてくれ!」
「えぇ!? またぁ?」
「いいだろ? 昨日はアニメ見てたんだよ」
「それは毎日でしょ」
「おいおい。木曜日のアニメは見てねぇよ」
個人的にちょっとおもしろくなさそうだったし。
「それでも、多いよ。もっと絞ればいいのに」
「馬鹿野郎! 貴様それでもアニオタか!」
「ボクは別にアニオタじゃないよ!」
今更アニオタ否定しなくてもいいのに。
そろそろアニメとかも人権を得てきたし。ほら、初○ミクとか今超人気じゃん。
「あ、でも今日そのプリント持ってきてないや。ウチくる? コーヒーでも飲みながら一緒に宿題やろう」
「じゃ、そうするか。あ、でも一回家帰るわ。着替えたいし」
今日は陽が照っていて、暑かった。汗を流すほど暑かったわけではないが、若干シャツの下が汗ばんでいて着替えたい。
それに、うちには一人で真人家にいくとやかましいのが一人いる。
妹だ。
以前、妹を誘わずF&Cに行くと「どうして、誘ってくれなかったの?」といって文句を言ってきた。
俺の妹は真人に惚れてるらしい。
もし、結婚なんかしちゃったら、俺は真人の義兄になるわけだ。
……それはちょっと勘弁してほしいな。
友達としては良い奴だと思ってるけど、クラスメイトが義弟になるのは、ちょっと考えものだ。複雑な気分が拭い去れない。
「オッケー。じゃ、やることもないし、帰りますか」
「そうだな」
そう言って二人してカバンを手に取り立ち上がると、教室のドアが開いた。
「いた。真人!」
「夕陽? どうしたの?」
雨音夕陽
北原高校バスケ部 黄昏三姉妹 都内屈指のスコアラー。
と、バスケ部関係の特徴ばかりあげてしまったが、俺達が通う北原高校のバスケ部は強豪校として有名だった。
中でもこの雨音夕陽は二年生にして北原高校のエースとして活躍していた。
普段から部活で鍛えていることもあって、無駄な肉はなく、健康的な体をしている。教室では、頭の大きなリボンで一つにくくっていてポニーテールになっているのが特徴だ。
強豪校のレギュラーでスコアラーという、目立つポジションにいることもあってか、ファンクラブがある。なんでも、他校の生徒もファンクラブに入ってるとかなんとか。
ん? 俺? もちろん入ってますよ。会員番号000000。つまり、俺が一番最初の会員だ。っていうかその夕陽ファンクラブは俺が作った。だって流行りそうだったし。
だって、夕陽さんかわいいですもん。
ちなみに、この雨音夕陽。真人の幼馴染である。
「どうしたの?」
真人が尋ねると、息を切らしながら夕陽がこちらに近づいてきた。
それも、大股で。
明らかに怒ってますと言った風だ。
ドカドカとかズカズカとかそういう擬態語が聞こえてきそうだ。
いや、ちょっと待って。
こういう行動ははしたないとか思われがちだが、逆にこう親近感みたいなものが、わかない?
なまじ顔やスタイルがいいだけに、こういう一般人がする行動は逆に好印象を回りに与えていると思うんだ。
俺だけかな?
「ちょっとそこに座りなさい!」
「え?」
「いいから!」
「う、うん……」
この強引な感じがちょっとSっぽくていいよね。
Mにはたまらないんじゃないかな?
ちなみに俺はMじゃない。
……
嘘、ちょっとM入ってます。
こういう言葉攻めはたまらんです。はい。
「真人……あんた、今日提出のプリント明日提出のやつと間違えたでしょ?」
「え?」
「ほら、これ!」
そういって、真人に突きつけるようにそのプリントを取り出した。
確かに、夕陽の持っているプリンとは今日俺が写さしてもらう予定のプリントだった。
こういうところ、真人はちょっとおっちょこちょいというかすっとこどっこいというか、天然というか。
まぁ端的にいってミスが多い。
「あ、ホントだ」
「『あ、ホントだ』じゃないわよ、もう。本当に鈍いんだから。はい、これ。先生には明日プリント持っていくように言っといたから」
「ありがとう、夕陽」
「べ、別にいいわよ。だいたい真人ったら、私がいないと何にもできないんだから。そもそもこのプリントなんで持ってきてたのよ」
「いやー。単純に間違えてた。ホント助かったよ」
「ふん。次から気をつけなさいよ。もう。こっちはバイトもあるっていうのに」
「うん。ホント助かった。ありがとう」
「わ、わかればいいのよ」
そんな様子を俺はニヤニヤしながら見ていた。
「なに!? 藤峰くん!」
「え? いや? なんでも?」
クスクス笑いながら、シラを切る俺。
いや、だってねぇ?
単刀直入に言うと……
好きなんでしょう? 真人のことが。
でも、ここで言うとただの嫌がらせになりそうだから言わないけど。
「ど、どうしたの? 夕陽?」
「な、なんでもない! 夕陽は気にしなくていいから! うん、ホント気にしなくていい!」
ほらほら、そういう一言が事実を如実に表すんだって。
「え? う、うん。じゃあ、僕ら帰るから」
「ちょ、ちょっと待って!」
あせったように引き止める夕陽。
「まだ、なんかあんの? 俺らこれから真人んとこで宿題やる予定なんだけど……」
「そう、なら丁度いいわ。私も行く」
「え~」
「何!?」
俺が渋ると、睨みつけるながら凄む夕陽。
「何でもございません!」
いや、マジ怖いわ~。
最近の女の子ってこんなのばっかなの?
マジ怖い。俺、喧嘩してもボコボコにされる自信があるよ。俺、帰宅部だし。
「じゃ、行きましょ」
そういって俺たちは三人で帰路についた。