その十五 宋江、心情を吐露するのこと
魯智深はそこまで話すと一旦言葉を止めた。茶を飲んで一息つく。
「本当なの……それ……?」
楊志がとても信じられないといった風に呟く。
「林冲が嘘をついていなければ、ね」
「林冲が嘘を言うなんてもちろん思ってないけど……それでも高大師がそこまでひどい人間だなんて知らなかったわ……」
楊志は頭を振りかぶってようやくといった調子で話し始める。
宋江もまた、唖然としてその話を聞いていた。
確かに高俅という人物は水滸伝において林冲と因縁が深い、いわゆる悪役的な人物だった。だが原典で彼が行ったことはここまで凄惨で悪辣で不可解なものではなかった。
「それで、その後は……?」
楊志が急かすように尋ねると魯智深は再び口を開いた。
「林冲が滄州に流罪にされることが決まり、出発する当日になって、ようやくあたしは林冲の妹さんと一緒に林冲と会えたの。そこで林冲にお願いされて引き続き妹さんを大相国寺で預かる事になったんだけど、出発してから数日後に林冲に追っ手が差し向けられたっていう噂が流れてきたの」
ごくり、と宋江は生唾を飲み込んだ。
「あたしも迷ったのだけれど、林藍にすごく強く言われて、林冲を追いかけてね……まあ、なんとかぎりぎり助けることができたんだけど……あたしは林冲を警護してとりあえずこの滄州まで来たわけ。たまたまその時、柴進に会えて、多少は被害が及ばないようにできたし、もう追っ手も一度きりだったから今度は林冲に言われてあたしは林藍を迎えに開封府へと戻ったわ。それがちょうど四月の終わりごろの話かしら」
(だいたい、僕が清と生活し始めたころの話か……)
宋江は宋清の顔を思い浮かべながら、自分の過去と照らし合わせた。
「でも林藍は死んでたの、自殺っていう話だった」
そこではっと気づいた様子で楊志が口を開く。
「ひょっとして林冲が持ってた髪は……」
「ええ、林藍の遺髪よ。あたしが帰ったときにはもう遺体は荼毘に付されてて、それだけ留守を預かってた寺の連中から受け取ってきたの」
「どうして自殺なんて……」
宋江は納得がいかなくて尋ねると魯智深も少し眉根を寄せた。
「彼女の私宛の遺書、見る?」
魯智深は懐から小さな手紙を取り出した。
「いいんですか?」
「ええ」
宋江は楊志と共に、その手紙を覗き込んだ。手紙には寺に匿ってくれた感謝と、それにも関わらず死を選んでしまったことの謝罪から始まり、姉や婚約者であった陸謙の最後を聞いて自分と高俅の弟との諍いがその原因に少なからず関わってしまっていることや、自分がいることで寺や周りの人が被るいやがらせに耐えられないということが書いてあった。
「いやがらせ?」
「毎日おしかけてたらしいのよ。高俅の手先らしき連中が。例によって証拠は無いけどね。寺のものを破壊したり、夜中まで騒ぎ立てたりして、とにかく無茶苦茶やったらしいの。挙句の果てに寺に放火までして……うちの住職は気にするなって言ってくれたらしいけど、下手をすれば死人が出かねなかったし、耐えられなかったんでしょうね。優しい子だったから」
「いやがらせなんてものじゃないわね、それは……」
楊志が渋面を作って唇をかんだ。
「彼女を守りきれなかったあたしに林冲が怒るのも当然なのよ。林冲が滄州からここに向かうまでずっとあの子はあの子で林藍のもとに帰ってくれと言ってたのだから……でも、あたしは林冲を心配するあまり、それを無視してしまった」
懺悔をするかのように魯智深は弱々しい声でつぶやいた。宋江は何も言えず、押し黙るしかなかった。
「……あなた、わざと林冲を怒らせたでしょ」
「あら、どうしてそんな必要が?」
「怒ってほしかったからでしょ、決まってるじゃない」
簡潔に楊志が言い返すと魯智深は何も言わず、微苦笑を口の端に浮かべた。
「まあ何にせよ、あたしからの話はこんなところね。これが林冲が滄州に囚われていた理由、そしてさっきの諍いの理由よ」
楊志の疑問には答えることなく魯智深は話を切った。そのまましばらく誰も動かないまま時が過ぎていく。そよ風に揺られた葉の音が耳に響くほどの静謐が部屋を訪れた。
「あの……林冲さん、あのままで大丈夫でしょうか」
その沈黙に耐えかねたこともあり、宋江はおずおずと切り出した。
「一人にしてくれって言うくらいだから今は放っておいたほうがいいと思うけど……そんなに心配なら見に行ったら?」
魯智深は再び自分の杯に茶を注ぎながら言った。
そこの言葉に宋江が迷っていると楊志ががたりと立ち上がった。
「宋江、私もついていくわ。一緒に行きましょう」
「は、はい……」
言いだしっぺのはずが、その楊志の言葉に引っ張られるように宋江は立ち上がった。
「気持ちはありがたいんだけど楊志、あたしあなたと少し話がしたいの。いいかしら」
だがそれを留めるように魯智深が楊志に声をかける。
「私と?」
楊志は怪訝な顔をしながらも不承不承といった調子で椅子に座りなおした。
「宋江は行っていいわよ。ここからは女の子同士の秘密だから」
へらへらといつもどおりの軽薄な笑みを浮かべながら魯智深は手を振るようにして宋江を彼の自室から追い出した。
来室を告げると林冲はあっさり中に入れてくれた。もう、大分気分は落ち着いたらしく、先ほどみたように寝台の上に座っている。だが表情は朝とは比べ物にならないほど陰鬱なものになっていた。
「宋江か……」
「あの、話、聞きました。魯智深さんから……」
「ああ」
林冲は寝台に座ったまま、静かにうなずいた。
「君にはまた礼を言わなくてはな、聞いたならわかると思うが、私はまた考えなしに動いて、友を一人失うところだったよ」
「……魯智深さんは多分、わざとあなたが怒るように言ったんじゃないかと思いますけど」
魯智深ははっきりとは認めなかったが宋江も楊志と同じように思っていた。やろうと思えばもっとずっと穏やかに話を進めることができたはずなのだ。
「……かもしれんな」
林冲は視線を真下に下ろしながら静かに肯定した。
「とはいえ、許されることではない」
「魯知深さんなら謝れば許してくれると思います」
間髪いれずに宋江が言うと、そうだな、と林冲は頷いた。
「そう言えば、ついぞ、聞き損ねていたが、君と魯智深はどういう関係なんだ? というか君は何者なんだ?」
そう問われて宋江は自分と楊志の関係、すなわち黄泥岡の事件から河に落ちて魯智深に拾われるまでの経緯をかいつまんで話した。
「なんと、まあ……波乱万丈とはきみのためにあるような言葉だな」
「どっちかというと塞翁が馬かな、とも思ってますけど」
少しだけ頬を緩めて宋江ははにかんだ。
「前向きだな、君は。少しうらやましくもある」
ぽつりと林冲はこぼすように言い、少しだけ笑った。その笑顔に少しだけ宋江はほっとする。なんであれ多少、心に余裕が出てきたということなのだろう。
「これから君はどうするつもりだ?」
「わかりません……済州に帰れれば一番いいんですけど、楊志さんのことを考えるとどうしたらいいか……」
「そうか、そういえば無実の罪で追われているのだったな」
「逆に林冲さんはどうするつもりですか?」
宋江が問うと林冲はゆっくりと頭を振った。
「さあな、それこそわからない、が……君らの力になれるかもしれないという思いもある」
「え?」
「それは楊志がいる時に話をしようか。それはそうと、宋江、体の方は問題ないか?」
「え? ええ、特に怪我とかもしてませんけど」
「いや、そういうことではなくだな……」
「?」
林冲はなんと言うべきか、少し迷っているようだった。だが、林冲がその口を開く前に、遠慮がちに扉が開かれた。昼食ができたことを知らせる屋敷の使用人だった。
動けない林冲のために部屋の中に卓が置かれる。しばらくして、そこに魯智深と楊志もやってきた。林冲が魯智深に頭を下げると、魯智深もまた、軽く笑って林冲の肩を叩いた。二人の間のことはそれであっさりと解決したようだった。
暗い通路を宋江は走っていた。いや、通路などという仰々しいものではない。ただの暗い場所だ。走る先に彼が見える。
妙な気分だった。彼が立つ場所は宋江から十メートルと離れていない、だというのにいつまで経っても彼においつくことはない。一瞬気をそらしたり、ふと他の事を考えるたびにまるで映像を巻き戻したかのように自分の体が元のスタート地点に戻ってまうのだ。
(なんだこれ?)
そう思っても体は自分の意思を離れて手足を振り続ける。もう長いこと走っているはずなのに疲れていないのがなんだか妙だった。
(というか僕はどうして走っているんだろう?)
その宋江の疑問がトリガーであったかのようにぶん、と映像が変る。どんなに走っても追いつかなかったはずの彼、陸富の体がいきなり目の前に現れた今までとは逆に早送りされたように一気に距離がつまる。
当然の帰結として宋江と陸富の体は激突し、あの時と同じように階段を転がっていった。いや、あの時よりも少し長くて全てのものがゆっくりと動いていく。
やがて階段を落ちていくために、がこがこと小刻みに振動していた自分と陸富の体が止まった。
「だ、大丈夫ですか、陸富さん……」
どこかそうでないことがわかっていながらも宋江の口は勝手に動く。
だがそう言って呼びかけた相手は陸富ではなかった。口から糸のように細く赤い血を流し、壊れた人形のような角度で首がねじまがり、うつろな目をしていたのはあのときの陸富と一緒だった。しかし他は何もかもが違った。小柄な体躯に肩まで伸ばした黒髪。そして、額の少し上をぐるりととりかこむような少々大きな髪帯をした少女。それは宋清だった。
宋江は自分の絶叫で目を覚ました。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ!」
激しく動く胸を押さえながら宋江は月明かりに薄くうかびあがる自分の体を凝視した。
「夢……だよね……」
確認するために自分の周りにあるものを無差別に触る。着ている寝巻きに寝台の上にある薄い毛布、それに自分の体。すぐに手が届くものなどそれぐらいだが、それだけでも大分落ち着いてきた。とりあえず、あの悪夢のように自分がいる場所は土の上ではないし、階段も近くに無い。死体も、ない。
(大丈夫……)
第三者が見たら到底大丈夫とはいえない表情を浮かべながら宋江は手を額にあてる。そこで彼は自身の汗の量に少し驚いた。
「宋江、今の……」
冷房などないこの時代、暑さをすこしでも和らげるために、宋江の部屋の扉は開けっ放しになっていた。そこから楊志が顔をのぞかせていた。
「あ、ああ、あ、す、すみません。うるさかったですよね……ちょっと夢見が悪くて……」
自分でも、滑稽だと思うくらいに宋江はうろたえながらいいわけがましくそんなことを言った。
「ここ二、三日、ずっとそんな感じじゃないの?」
そう言ったのは魯智深だった。彼女は楊志の後ろから顔を出すと、そういいながら部屋の中に入ってくる。その問いに正直に答えるのが少し怖くて宋江は逆に問い返した。
「えっと、どうして魯智深さんまで……」
彼女の部屋は楊志や自分とは大分離れていたはずなのだ。
「少し前から気になっていたのよ。あなた、ここに来るまでも何度も夜中にみじろぎしてたし、日中見てても寝不足気味だったから……。だから今日、楊志にお願いして、ちょっと隣の部屋に一緒にいさせてもらったの」
おそらく昼間、自分がいなくなってから魯智深と楊志が話したことはこれだったのだろう。疑問文に疑問文を返した形となってしまったが、魯智深はその自分の疑問にきちんと答えてくれた。もとより彼女の先ほどの言葉は疑問ではなく、ただの確認だったのかもしれない。
魯智深は宋江のいる寝台の端に腰を下ろす。今の彼女は袈裟姿ではなく白い寝巻きを着ていた。月明かりに照らされて魯智深の体が幻想的に浮かび上がる。
「人を殺したのよね」
魯智深の口調は責めるような色は無く、むしろ慮るような口調だった。だが宋江はその問いに正直に答えられないでいた。隠せると思っていたわけではない。言葉に出して、自分の罪を認めるのがこわかった。
「林冲から聞いたわ」
観念したように宋江は少しだけ、首を縦に動かした。
「それが原因で眠れてないの……?」
おずおずと楊志が遠慮がちに尋ねる。こちらもまた白い簡素な寝巻き姿だった。
「だと……思います」
ぽつりと言葉に出して宋江は認めた。認めざるを、得なかった。
人の死に関わるのは初めてではない。この世界に来てから晁蓋とそれに率いられた村人たちが山賊を殺しつくすのも見たし、実際に目にはしていないが晁蓋が黄泥岡で兵士を殺す計画に加わっていたのだから。
ホラー映画や過激な海外の映像などとは比べ物にならない圧倒的なリアルの死。それに自分は触れていた。触れていたつもりだった。しかし、冷静に考えてみればそういう生死の関わる決定的な部分では自分はあくまで傍観者でしかなかった。
しかし、想像以上に自分が実際に死をもたらすという行為はそれまでの経験とは圧倒的なまでに隔たりがあった。
それは思わず抱き上げた陸富の体のあまりに重い感触であるとか、嗅いだ血の匂いだとか、そういう感覚的なものではない。殺人を犯してしまったという心因的なものだった。死んだ相手の名前を知っていたとか一瞬でも親しげに会話を交わしたとか、そういうのもあるだろう。しかし単純に『自分は同族を殺したのだ』という事実が本能で宋江を苛んでいた。
それでもあの夜は無我夢中でわけのわからぬまま、突っ走っていることができた。しかし日を追うごとに宋江の脳はあの瞬間を隙さえあらばリフレインしようとしてくる。
あの時、聞いていたのだ。ごきりと決してしてはいけない音が自分の真下から聞こえてくるのを。
感じていたのだ。必死に抵抗しようともがいていた陸富の四肢を。
見えていたのだ。彼の頭から血が流れていくのを。
わかっていたのだ。それらを全て知りながらなおも恐怖のために彼の体を段差に押し付けて少しでも衝撃が大きくなるように心がけていた自分がいたことを。
「昼は……何かしてるときは大丈夫なんです。ご飯食べたり、誰かと話したりしているときは、でも夜になると……どうしても、思い出しちゃって……忘れようとすればするほど、夢に出てきて……」
魯智深と楊志はじっと宋江の話を聞いていた。
「夢で何度も出てくるんです。陸富さんを殺したところが、でも気づくと自分が殺したのは陸富さんじゃなくて別の人になったりするんです」
自分の両親だったときがあった。楊志だったときがあった。魯智深だったときがあった、呉用だったときがあった。公孫勝を、林冲を。そして今は宋清を。夢の中で何人もの知り合いを宋江は殺し続けていた。
「最初からわかってたはずなんです。僕が殺した人にもきっと家族があって、友人がいて、きっと恋人もいて……でも、それを僕は……僕は……」
家族と食卓を共にすることを、友人と笑いあうことを、恋人と語り合うことを、その一切合財を自分は奪ってしまった。その罪の意識が自分にあんな夢を見せているのだと宋江は思う。だから自分にとって親しい人たちが死んでいくのを見せられているのだ。
「宋江……」
魯智深は宋江の頬をはさむように触ると視線を上にあげさせた。
「罪はね、罰を受ければ消えるわ。でも罪悪感はどうにもならない。それは薄れることはあっても、ずっと消えない。黒い染みのように心に残り続けるの」
その言葉に宋江は思わず視線を魯智深からそらした。
「だから、あなたが感じているその罪悪感はあなたから離すことはできないわ。ずっと一生つきあっていくしかない」
「ちょっと、魯智深!」
その冷たい物言いに楊志が抗議の色をにじませた声を上げるが魯智深はそれを意に介さず、言葉を続けた。
「でもね、それだけを感じるのは間違っているわ、宋江」
言うと魯智深はそっと自分の腕の中に宋江の顔を抱き寄せた。いつものからかうような強引なものではなく、優しげに、そして暖かに宋江の顔に触れていく。
「あなたは林冲や楊志を助けた。それもまた消しようの無い事実なのよ」
幼子をあやすように魯智深は宋江の後頭部を撫でながらゆっくりと語りかける。
「罪悪感は消えない。でも、だからといってあなたの行ったことが全部否定されるわけではない。罪と誇りは数字のように互いを打ち消すのではなく心の中に両方とも積もっていくものなの。だから宋江。これから言う私の言葉も忘れないで」
魯智深は宋江を一旦自分の体から離すと、すっと自分の胸に手を置くと優しげに微笑み、口を開く。
「ありがとう、宋江。皆を助けてくれて」
なんてことはないシンプルな感謝の言葉。だというのに宋江は胸がつまったように何もいえなくなってしまった。ただじんじんと頭と目頭が熱くなっていく。
「宋江……」
いつのまにか近づいていた楊志が交代するように宋江を抱きしめた。
「私は……その、こういうことはよくわからないの……落ち込んでいる人をどうやって慰めたらいいのかとか……」
その代わりというわけではないだろうが、全身を密着させるように宋江を抱きしめる楊志は宋江の背中に回した腕に力を込めた。
「ごめんなさい。あなたは何度も苦しんでる私を助けてくれたのに、私は困っているあなたに何をしたらいいのかもわからない。せいぜいあなたが私にしてくれたように、こうやって抱きしめてあげることくらい」
楊志もまた一旦そこで体を離すと同じように宋江の顔を見て言葉を続ける。
「誓うわ。私、何があってもあなたを見捨てたり、軽蔑したりしない。たとえ他の誰かやあなた自身があなたを見捨てても」
言ってから急に恥ずかしくなったのか、顔を赤くした楊志がそっぽを向いてしまう。
「わ、私から言えるのは、そのせいぜい、このくらいだけど……」
「じゃあ、楊志さん……一発やらせてください」
「あんたは黙ってろ」
わざわざ声まねまでして後ろからとんでもないことを言い出した魯智深に楊志がきっとにらみつける。
そんな二人のやりとりを見て、なんだか宋江はおかしくなって。でも涙はとまらなくて。
「宋江?」
黙ってしまった宋江に楊志が視線を下ろす。
「あの……えぐっ、なんだか二人がそこまでいってくれるのが、ひぐっ、うれしくて、でも、その、やっぱり、陸富さんのことが頭から離れなくて、あぐっ、もう、なんだか、ぐちゃぐちゃでわけわかんなくて……」
嗚咽交じりに宋江は自分の気持ちを吐露した。
「いいのよ、無理に話さなくて」
魯智深が後ろから宋江を抱きしめるように両腕を彼の胸元に回す。
「そうね。うん、きっとそう」
楊志が前から宋江の頭をぎゅっと抱え込んだ。
嫌な夢はもう見なかった。




