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君の目の代わりにモクレンを
※凄く短いです
今日、私は少女に花を送った。名前も住所も知らない少女に。
「これは何?」
目の見えぬ少女が問う。
「モクレンの花だよ」
私はそう言った。
「モクレンって何?」
またも少女が問う。
「この花に意思が宿ると目になるんだよ」
私は少女に、でっち上げの嘘をついた。
「そう。なら私にぴったりね」
嘘だと知らぬ少女は、華やかな花のように笑った。
「ありがとう、名前も知らない貴方」
「どういたしまして、名前も知らないキミ」
いつかこのモクレンが美しい世界を少女に見せてくれることを、私は願う。
END
『君の目の代わりにモクレンを』は如何だったでしょうか?
お題は『花』でした。
この短編を考えたのが春だったので『モクレン』になってます。