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水無高校の一億部

作者: 滝乃狗族

2016年春、俺は高校一年生になった。 一応、特別変わったとこはない普通の男子高校生。 あくまで主観だが。 頭は中の下、運動神経も並、顔もあんまり自身がない。 面倒くさいことは嫌いだ。


 桜が舞う中、新入生は続々と正門を通り、真新しい学校の校内へと向かっていた。 俺もその中に混じり、ゆっくりと青い空を眺めながら校舎内に入っていった。 ホームルームは1のCか。3階の端にあるらしいな。 ドアを開けると席は三十位あり、クラス内の生徒の半分はもうすでに座っていた。 ざっと見回したが中学の頃の知り合いはいなかった。 まあ、別に中学は友達ってやつがあんまりいなかったから別にいい。

 

 席は・・・窓際の後ろから二番目か。 よかった、寝心地がよさそうじゃないか。 すぐに机にひじをつき、寝る体勢に入った。 窓から入る風が気持ちいいなあ。

 

 しばらくすると後ろから肩を叩かれ、聞き覚えのある声がした。 中学一緒だった智樹だ。 こいつと一緒か・・・


「よう一義、起きてるか? 今年は部活入るのか?」


「ん? いつもどおり帰宅部だよ。 俺が面倒臭いのが嫌いなのは知ってんだろ?」


「お前、もっと前向きに人生楽しめよ・・・」


「大きなお世話だ。 中学三年間は帰宅部で通したんだから、高校でも当然そうしてやるよ。」


「なんか言ったか?」


「なんでもねーよ」


 数分後、担任の先生が入ってきた。 担任は結構年取った爺さんだな。 まー、若くてうるさいのよりはマシだな。 とりあえず、クラスの全員が簡単な自己紹介をさせられ、席についた。 自己紹介なんてまるで聞いちゃいなかった。 俺も自己紹介は適当に済ませた。


「次ー。 谷崎ー」

 

「谷崎一義です、よろしく」


「次ー奈々瀬ー」


「はい!」


「・・・」

 

「では、自己紹介も終わったところでこれから毎年恒例の部活動紹介が講堂で始まります。先生の指示に従って講堂に向かいなさい」


 講堂に向かうとそこは新入生であふれかえっていた。 しばらくすると、若い女教師の声がした。


「ではこれより各部活による部の紹介を始めます。 まずはテニス部からです。」


 テニス部、漫画研究部、天文部、新聞部、いろいろパフォーマンスしながら宣伝してるみたいだ。 テニス部は、ラケットでボレーの打ち合い、天文部と新聞部はプロジェクターでなんか映してた。 でも半分も聞いちゃいなかった。 興味なかったわけだし。 また眠くなってきやがった・・・早く終わんねーかな・・・


 しばらくすると180cmくらいのメガネを掛けた男子生徒が突然、壇上でマイク越しに叫んだ。

 

「注――目――――っ」


 キーン・・・耳痛え、運動部か何かよ? どんだけ熱血なんだよ・・・


「この中で一億円ほしいやつぁ手ぇ上げろ」


講堂に集まった生徒全員が静まり返った。 そしてザワめきだした。 何を意味不明なこと叫んでんだこいつ? すると前方にいる男子生徒がすかさず、叫びながら手を上げた。


「当たり前だろ! 一億くれんのかよ?」


それに釣られてか知らんが右の方にいる女子も手を上げた。


「やるアテがあるって言ったら?」


 長身の生徒は、ニヤニヤしていた。 そして講堂内で新入生共の歓声がした。 しばらくすると講堂内の生徒のほとんどが手を上げていた。 釣られてあげたやつがほとんどだな。 何かのパフォーマンスだろうか? 質問の意図がまったく分からん。 腕を上げるのもしんどいな。 やはり最後まで手を動かさないことに迷いはない。 しばらくすると荒々しい声で、


「よし、最初に手を上げた二人、それにそこのお前とそっちのお前は俺が行くまで講堂に残れ。 お前ら四人だぞ」


 なんとなく嫌な予感がする。 あいつの指こっちを向いていたような・・・ 気のせいだといいんだが。 すると五十代の禿げた教師が怒鳴りだした。


「さーかーもーとー、またお前は勝手なことを」


「すんません金田先生、もう終わりましたんで堪忍っす」


 やつは背中を丸めて席に戻っていった。 何部だったんだろう・・・ まあ関係ないか。そして最後のバスケ部の宣伝が終わった。


「これを持ちまして構内の部活動紹介は終了です。 他の部も外で部員募集しているのでよく選んで決めてくださいね」


 構内にいる生徒は立ち上がって一斉に出口に向かっていた。 部活はどれにしようかという話し声が耳に入ってくる。 さて、やっと終わったか。 俺が他の生徒にまぎれて講堂を出ようとしたとき、いきなり襟をつかまれて引き戻された。


「げ、坂本っ」


 よく見ると、俺の他にも三人やつの後ろにいる。 坂本はニコッとしながら俺の首に腕を廻した。

 

「講堂に残れって言ったよなー。 聞こえなかったなんて言わせねーぜ」


「え、あれマジだったんですか? えっと、坂本先輩・・・」


「あたぼーよ。 まー今日のところは勘弁しといてやる。 とりあえず自己紹介しとくぜ。 俺は2のAの坂本洋太、将研部の副部長だ。 とりあえずお前ら、ほら、クラスと名前」


「1のE、僕は町田輝っす」


「1のD、三谷良子です。 よろしく!」


「1のC、森川しおり・・・」


 最後の声小さくて聞き取りづらいなあ。 しかし、ここで俺の名前とクラス言のはなんとなく危険な気がする。 下手したら俺の高校生活が・・・


「えっと、1のF、聖徳太一」


「おいっクラスはEまでしかねーよ。 嘘ついてもすぐ調べはつくからなー」


「ちぇ、1のC、谷崎一義・・・」


「よし、町田、森川、三谷に谷崎か。 じゃー本題に入るぞ。 お前ら1億円で高校生活の二年間を売らねえか?」




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