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電車の夢

作者: ある

汗びっしょりで目が覚めた。夢の中、私は電車に乗っている。薄暗い車両には私と、遠く離れた場所におじいさんが乗っているだけで、車内はがらんとしている。あと2、3駅で乗り換えのはず、とあらかじめ用意しておいた目的地までのメモを探すが、どこにも見当たらない。メモを見なければ乗換えの駅名すらわからない状態で、必死にカバンの中を探るが、どこにもない。なぜか分からないけれど、時間どおりに目的地に行かなければ、取り返しのつかないことになるとわかっていたので、私は非常に焦っていた。財布の中に入っていないか、手帳に挟まっていないか、心当たりの場所はすべて探したが見つからない。その時、電車が大きく揺れて通路にうずくまった。持っていたのはカバンと手提げだけだったはずなのに、気がつくと座席や通路に膨大な量の私物が散乱していて、なぜかバイオリンまで通路に転がっていた。腰が抜けてしまったので、這うようにしてそれをかき集めるが、なかなか収拾がつかない。とても一人で持ちきれない荷物だが、私の物であるのは確かなので大慌てで拾い集めた。まもなく次の駅に到着することを車内アナウンスが告げたが、それは聞いたこともない駅名で、そもそも乗り込む電車も間違えていたのではないかと不安になった。やがて電車は駅に着いたが、いつまでもドアの開く気配がない。不思議に思いつつ、人が乗り込んでくる前に何とかしなければと、荷物を集め続けていると、「あなたが早くしないと、皆電車に乗り込めないんだよ。」と遠くからおじいさんの乾いた声がした。顔をあげてドアの外を見ると、霧雨の降るホームで、びっしりと並んだ人たちが私を見ていた。


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