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*廃墟にて
雨ざらしの床に眉を寄せ、散らばる瓦礫を避けつつ2人の青年は歩みを進めていた。
天井を見上げると、星の輝きが目にしみる。
どこかで見た情景のような、それでいて遙か遠い空想を思わせる風景だ。
「おい、待てよ。待てって、白銀!」
「その名で呼ぶんじゃねえよ」
銀髪の青年は、後ろを歩く青年にギロリと睨みをきかせる。
もう何百年も前に廃墟となったであろうその建物は、忘れ去られた遺物を内に秘めている。
「なんだよ。白銀って呼ばれてるじゃん」
「俺がつけたんじゃねぇ、どっかの誰かがつけたんだ。そもそもダチなんだからそんな名前で呼ぶなっつの」
「悪かったよ。おまえ足速いな、依頼主ほっぽらかして行くなよな」
「おまえの足が遅いんじゃないのか?」
「よく言うぜ」
しばらく歩くと、大きな機械の置かれた部屋にたどり着く。
グレーに統一されたソレは、とても動くとは思えないシロモノだ。
「これか?」
白銀と呼ばれた青年は、ボタンやキーがいくつも並べられた機械に手を乗せた。