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五十五話

 アントベルグの街を出て数時間。視界の先にはビットの街が見え始めてきた。


 「はー。疲れた。どんだけ歩かせるの?そんなに遠くないって言ったじゃない」

 コークは怒りの視線をアントンに向ける。


 「おいおい、まだそんなに経ってないだろ。こんなんでバテててよく女王アリを倒せたな」


 「倒したのはグビリコだからね。私はあんたと村人達を巻き込まれないように守ってたの」


 「そうだったのか!それは感謝する。じゃあグビリコはバテててないよな?」


 「いや、俺も疲れた。こんなに歩いてんのに何でお前そんな元気なんだよ」


 「なんだー。グビリコもか。力では負けるだろうが体力では俺の方に分があるみたいだなー!」


 「それでいいよ......」

 反論したかったが、そんな元気も根拠もなかった。

 

 「チーロあんたはどうなの?あんた魔法使うより歩く方がいいって言ってたわよね」


 「僕ももうへとへとだよ。これなら魔法使った方がよかったよ」


 「じゃあ雲出して私もう歩けないから」


 「でも僕もう魔法使う元気ないよ、あと少しだから頑張って歩こ」


 「あーそう」

 

 話す気力もない俺らは無言のまま(アントンを除いて)ひたすら歩き続けた。

 そして街の入り口へとたどり着いた。


 「はぁ。やっと着いた。どんだけ歩かせるんですか」


 「お前ら面白いくらいバテバテじゃないか」

 アントンが笑いながら言った。


 「しかし、アントンお前が言っていたカブトムシはどこにいるんだ?ここに来る途中そいつの気配すら感じなかったぞ」


 「そうだな、おかしいな。街に入ろうとするものに片っ端から襲い掛かるやつと聞いていたんだがな」

 アントンが顎に手を添え考えるそぶりを見せる。


 すると急に俺らの上に巨大な影が現れた。


 「なんだ!急に暗くなったぞ」


 上を見上げると例のカブトムシと思われる巨体がこちらを目がけて空から落ちてきていた。


 「皆、避けろ!」

 俺は必死で呼びかける。


 巨体が地面に落ちると地震が起こり地響きが起こった。

 衝撃で砕けた地面が飛び散る。

 砂埃が舞いあがり前がよく見えない。

 

 「お前らは勇者か?」

 そう言いながら砂埃の中から奴は姿を現した。

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