五十四話
俺たちは村を後にした後、アントベルグの街に戻って来ていた。
アントンのいる城の一室に最初に向かった。
「おう!グビリコ戻ってきたか」
「僕たちもいますよー」
チーロが囁くようにに言った。
「ちゃんとわかってるぞ!チーロとコークだろ。じゃあ戻ってきたところ早速ですまないが出発しようか」
「えーちょっと休ませてくださいよー」
「まあまあ、そんなこと言うなよ。こっちも急いでんだ。な。協力してくれよ」
「はー。しょうがないですね」
チーロはため息交じりに言うと雲を出した。
「そんなもん出さなくていいぞ。ビットの街はここからそんな遠くないから歩いて行くぞ」
「まあそれならいいですよ。もう魔法は疲れるので嫌だったので」
チーロは安堵の表情を浮かべながら言った。
「えー。歩きー?疲れるからヤダー」
今度はコークが不満を漏らす。
「お前ら文句ばっかだな。そんなんじゃこれからやってけないぞ!」
アントンは呆れたように言った。
「そうだぞコーク!」
「は?あんたもさっき文句言ってたでしょ!」
「そうだったっけ?」
チーロがおどける。
「おいお前ら出発前に喧嘩すんなよー」
俺は争い始めている二人をなだめた。
「よし!じゃあ出発だ」
アントンが元気よく言うと俺らは部屋を出た。
城の内部は破壊された内装に装飾品が散乱し、閑散としていた。
これは復旧が大変そうだな。しかし、王族がいなくなってしまった今、どうするのだろうか?
歩くのに困難を極める城を出ると目の前にはとても長い階段。眼下には無傷の街が広がっていた。
階段を降り、街に入るとそこには人が溢れていたが活気を感じられなかった。
街の人々も今の街の状況に困惑しているのだろうか?
人混みに入ると人々は俺に畏れにも似た感情がこもったような視線をぶつけてきた。
俺が女王アリを倒した者だというのは街の人々に知れ渡っているのだろうか?
おいおい、俺は女王アリを倒して街を救ったんだぞ。そんな目で見なくてもいいじゃないか。
そんな風に思っていると
「グビリコ有名人じゃないか!よかったな」
アントンが励ましのつもりなのか元気に言った。
「いい意味での有名人なのか?あまりいい目で見られてる気がしないんだが」
「まあそれはしょうがない。圧倒的な力を持つものに恐れをなすのは人間の心理として自然なもんだ。あんまり気にすんな。女王アリを倒してくれたことは皆感謝してくれてるはずだ」
「そうならいいんだが......」
もうちょっとちやほやされることを想定していたんだがな。
「まあまあそうこう話しているうちに街の出口に着いたぞ。いざ、ビットの街へ出発だ!」
アントンは元気よく掛け声を上げた。




