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五十三話

 色々あった日も終わりを告げ、翌日を迎えた。


 「グビリコ。これからお前たちはどうするつもりなんだ?」


 「とりあえず村人の皆を村に送り届けようと思ってる」


 「そうかーその後の予定はあるか?」


 「いや、まだないぞ」


 「ならここに戻って来てくれ」


 「いいが、何かあるのか?」


 「ああ、お前にしか頼めない頼みごとがあるんだ」


 「頼み事?なんだ」


 「この街の近くにあるビットの街周辺に人に決闘を仕掛けて回ってるカブトムシがいるんだ。そいつがいるせいでビットとの交流が途切れちまってな、俺含め街の商人が困ってるんだ。だからそいつを討伐して欲しい。ギルドのクエストにもなってるから報酬も弾むぜ」

 アントンは最後にニヤッとしながら言った。


 「いいぜ、頼まれてやるよ。じゃとりあえず村人たちを送ってくるから待っててくれ。

  チーロ、コーク行くぞ。準備はいいか?」


 「ばっちりです!」

 「ばっちりよ」


 「よし!村人の皆さーん。村に帰りますよー」


 「あんた達、私らを村まで送ってくれるのか?」

 村のおじいさんが驚いた様子で問いかける


 「ああそうだ」


 「なにからなにまで済まないな」


 「とんでもないですよー。僕達村に残ってたおばあさんに約束したんですよ。ちゃんと皆さんを連れ帰るって」

 チーロが胸を張って言った。


 「そうか、頼もしい若者たちだな。じゃあ村まで連れてってもらおうか」

 おじいさんは軽く笑いながら言った。


ーーーーーー


 それから俺たちは村人と共に城を出、チーロの雲で村まで向かっていた。


 「そういえば、何で村人の皆さんはアリにつかまったのにあのおばあさんだけは村に残ってたんですか?」

 チーロが俺も思っていた疑問を村人にぶつける。


 「ああ、あの婆さんは私たちの恩人だからな皆で彼女だけは連れていかれないように守ったんだ」


 「恩人?」


 「ああそうだ、あの婆さんはあの村を作り上げた創設者でね。回復魔法の使い手として人々に道具のように扱われることに辟易していた私たちを村に招き入れてくれたんだ」


 「そっか、良い話ですね」

 チーロが感動しているのか涙目になっている。


 「そろそろ着くわよ」

 コークがそんな話も素知らぬ様子で淡々と言った。


 雲から下を覗くと家の窓からこちらを覗くおばあさんの姿が目に入った。


 それから皆で地に降りるとおばあさんが家から飛び出してきた。


 「皆!まさか帰って来てくれるなんて」

 おばあさんは涙交じりに言った。


 「宣言通りみんな連れ帰ってきましたよ。どうですか?僕ら凄いでしょ!」

 チーロが元気よく言った。

 今はそんなこと言う空気じゃないだろ。おばあさんの様子見ろよ。


 「ああ凄いねー。あんた達本当に皆を連れて帰って来てくれるなんて。本当にありがとう」

 おばあさんはうれし涙を浮かべながら笑顔で言った。

 あの時のぶっきらぼうな感じとは全然雰囲気が違った。

 

 しばらくの間村人達とおばあさんは喜びを分かち合っていた。


 「じゃあ皆の邪魔をしちゃ悪いから俺たちは行くよ。やらなきゃいけないこともあるし」

 急ぎすぎかもしれないが俺達は村を出る用意を終わらせていた。


 「ええもう行っちゃうのかい?何かお礼とかさせてくれよ」


 「でも俺達にはやらなきゃいけないことがあるので、このへんで行かせてもらいます」

 

 「そうかい、じゃあちょっと待ってておくれ」

 そう言うとおばあさんは家の中に入っていった。


 おばあさんが駆け足で戻ってきた。

 「お礼になるか分かんないがこれを持って行ってくれ」

 そう言うとおばあさんは俺たちに草のようなものが中に入った袋を渡してくれた。


 「これは何ですか?」

 チーロが不思議そうに聞いた。


 「お守りだよ。あんた達これからも冒険するんだろ。何の役にも立たないかもしれないが私からのせめてもの気持ちだと思って持って行ってくれないか」


 「ありがとうございます!うれしいです。大事にしますね!」

 

 「お守り、ありがとうございます。じゃあ俺たちは行きます。皆さんもどうかご無事でいてください」

 

 俺たちは村人たちの暖かい目に見送られながら村を後にした。

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