五十二話
俺たちは隊長の案内のもと、アントベルグの街に戻ってきていた。
「戻ったぞー!」
俺は蜜の入った箱を高く掲げながらおっさんのいる部屋へと入った。
「おおー!本当に手に入れたのか?」
村のおじいさんが目を丸くしながら訪ねてきた。
「もちろんだ!まあ一筋縄ではいかなかったがな」
「そうか、詳細は後で聞こう。早く蜜をあの兄ちゃんに早く飲ませてやってくれ」
おじいさんはおっさんの方を指さす。
おっさんは俺らが発つ前に比べてかなり衰弱していた。
褐色に輝いていた肌は青白くなり、意思の強さを感じた眉は下がり、目の下には巨大な隈が出来ていた。
こんな数時間でこんなになってしまうとは。
「おい、おっさん大丈夫か?」
俺は眠るおっさんを軽く揺さぶり起こす。
「うう......」
おっさんはゆっくりと瞼を持ち上げた。
「おお、お前か...」
力なく声を上げる。
「おい、蜜を手に入れてきたぞ。飲め」
そう言うと俺はおっさんに蜜を飲ませた。
おっさんは苦しそうにしながらも少しずつ蜜を飲んだ。
すると、おっさんの体はみるみると元の様相を取り戻していった。
「おお!力が湧いてくる!」
そう言いながらおっさんは勢いよく飛び上がった。
「おい、いきなり跳ねるなよ。びっくりするじゃねーか」
「悪かったな。だが、あまりにも力が沸き上がってくるもんだからつい」
「まあ、よかった。病気が治ったみたいで」
「お前らには感謝してもしきれない。俺はもう死ぬもんだと思ってた。それを......」
「俺らもおっさんには助けられたからな。お互い様だ」
「そうだな。それと関係ないが一つだけ言っておきたい。俺はおっさんじゃない。まだ25だ。それに名前はアントンだ覚えておけ」
その貫禄に髭面じゃあ25には見えねーよ。俺は心で突っ込みを入れる。
「アントン覚えておくぜ。あと、俺はグビリコだ覚えておけ」
「僕はチーロです」
「私はコークよ」
「グビリコ...変な名前だな。それとチーロにコークか覚えておこう」
「おい、一言余計だぞ。一応命の恩人だぞ」
「すまんすまん。つい口が滑ってしまった」
大きく口を開いて笑いながらおっさんは言った。




