五十一話
「そうか、約束してくれるか。頼もしいな。隊長、この者たちに蜜をやってやってくれ」
「はい、女王様」
隊長が静かに場を後にした。
「今までと話は変わるんだがあんたらがグレートゴキブリについて知っていることが何かあれば教えてくれないか?同じ虫同士情報はあるんじゃないのか?」
「済まないが奴について知っていることはほとんどない。ただ言えるのは奴は人間をひどく憎んでいること。そしてそれが何かは分からないが目的のために我々虫族を利用していることだけだ」
「そうか、貴重な情報感謝する」
それから沈黙のまましばらくして隊長が戻ってきた。
「女王様蜜を持ってまいりました」
「彼らに渡せ」
「はい」
「これが我々の特製の蜜だ。無駄にするなよ」
そう言うと俺に丁寧に蜜を渡してきた。
蜜は木製の箱に収められていた。
「開けてみろ」
隊長の言う通りにそっと箱を開ける。周囲には甘い香りが漂う。
中には黄金色に輝くトロッとした液体が入っていた。
「少しすくって舐めてみろ」
「え?大丈夫なのか。足りなくならないか?」
「大丈夫だ。その箱一箱で人間十人分に足る量は入る」
「そうか、じゃあ遠慮なく」
俺は蜜を指ですくって舐める。
すると舌に甘い感覚が伝わるとともに体の傷が癒えていった。
「お前には傷を負わせてしまったからな。蜜を舐めて効果を実感して欲しかったんだ」
「そうなのか、感謝する。しかし、病だけでなく傷まで治すのかこの蜜は」
「ああ、呪い以外なら体の不調全てを治癒することができる」
「凄いなー。こんなすごい物でも解けないなんて呪いを解く方法は何かあるのか?」
「呪いをかけたものを殺す。それだけだ」
「分かった。色々と教えてくれて感謝する。じゃあ俺たちは帰るとするよ」
「待て、女王様にしっかり挨拶をしてからにしろ」
俺たちは踵を返しかけたところで反転した
「りょーかい」
「女王様、俺たちに蜜を分け与えてくれて本当に感謝します。この御恩は決して忘れません。そして必ずグレートゴキブリを倒して見せます」
こんな畏まった話し方するの初めてだな。
「そうか、我も女王アリの件感謝する。そしてグレートゴキブリの件約束は守れよ」
女王は微笑みながら言った。
「もちろん」
「貴様らこれからどこに行くんだ?この森は深くて迷いやすい。隊長に案内をさせよう」
「アントベルグだ」
「そうか、ならそんなに遠くないな。隊長任せたぞ」
「承知しました」
そして俺たちは城を後にした。




