五話
「じゃあいきますよ、グビリコ。」
「ああ」
「魔法を使うときは先ずは使いたい魔法を頭に思い浮かべる」
頭に思い浮かべる?さっきはそんなことしなくても出たぞ。まあ細かいことは気にしなくていいか。
こぶし大の火の玉を想像する。
「次に魔法を出したい体の部位に力を集中させる」
これはさっきと一緒だな。右の掌に力を集中させる。
三秒程経つとゆっくりと炎が姿を現した。熱くない。温かい。不思議だ。
力を抜くとすっと炎は消えた。
「おおー。すごい!できるじゃないですか。流石勇者!普通だったらもっと時間かかりますよ」
「ま、まあな。俺は勇者だからな」
つい得意気になってしまう。
「じゃあ他にもいろんな魔法を出してみましょう!」
「そうだな試してみよう」
どんな魔法がいいだろうか?さっきよりは迫力のある魔法がいいな。
そうだ。村でやった花火みたいなやつをやろう。それも今回は炎、水、電気三つ合わせてやろう。
右手に炎、左手に水、胸元に電気が出現する様を想像する。そして力を込める。
今度は一秒も経たずに出た。
流石は勇者の俺だ。慣れるのが早い。
そして三つが混ざり合い、天高く舞い爆ぜる様子を想像する。
三つが螺旋を描くように回転しあい、光線が天に向かって打ちあがった。
そして鼓膜を揺らす轟音と共に爆ぜた。
おおー美しい。自分で見惚れてしまう。
「す、凄すぎますよ。グビリコ!二回目でこんなすごい魔法を使えるなんて。天才です」
「まあな、言ったろ。俺は勇者だって。こんなの朝飯前よ」
「二人で盛り上がってるとこ悪いんだけど今のどうすんの?ゴキブリ達に私たちの居場所を伝えてるようなもんなんだけど。」
「あ、そうだ。しまった!何やってるんですかーグビリコー」
「す、すまない。つい調子に乗ってしまった。」
二人に責められていると、不気味な羽音が周囲から伝わってきた。
足元の草がその羽から発せられる風で激しく揺られている。
十匹程の巨大ゴキブリが俺らを囲うように空から降ってきた。
「や、やばい囲まれてしまいましたねー。怖いこわーい」
こいつこんな時でも緊張感が無いな。
「なに、能天気なこと言ってんの。囲まれてんのよ!」
「大丈夫だよー。さっきみたいにバーンってグビリコがやってくれるからさー。ね!グビリコ」
え!?俺任せ?こいつ本気で言ってんのか?さっき魔法をまともに使えるようになったばかりだぞ。
そんな俺に運命を任せるのか?
ていうかお前も戦う意思を見せろ!さっき俺を助けてくれただろ。
「確かにそうね。グビリコ。やっちゃって」
お前もかよ!
しょうがない。やってやるか。修行(※三分程度)の成果を見せてやるよ。




