四十九話
重く張り詰めた空気が場を支配している。
「女王様、奴らは我々の街に用があるという人間でございます。奴らの処遇の判断をお願いいたします。」
そう言うと隊長は俺たちの背後へと回り込んできた。
数分の沈黙の後女王は口を開いた。
「貴様らの用件を簡潔に話せ。それから判断をする」
有無を言わさぬような重厚な口調で女王は言った
「俺たちはあなた達が万病を治すことのできる蜜を生産していると聞いてここを訪れました。」
「何故?」
女王は間髪入れずに質問を投げかけてきた。
「俺たちの仲間が病に侵されていてそれを治すために蜜が欲しいんだ」
「我々と人間の蜜を巡る歴史は知っているな?」
女王がそう言うと場の空気が一層重々しくなった。
「ああ」
「それを知っていてよくここに来ることができたな。」
「俺たち人間があんたらに酷いことをしたことについては俺が代表して謝る。だから一人分でいいからどうか蜜を分けてもらえないか?」
「そうか、やってやれ」
なんだ?案外あっさりとくれるのか。
そう思っていると
「グビリコ、危ない!」
チーロが叫ぶ。
後ろを振り返ると
隊長が俺めがけて針を放ってきていた。
俺はなんとかそれを受けとめる。
「危ねー。何するんだ!」
「これが女王様の決定だ」
なんだよ。やれって殺れってことか。
どうする?反撃するか?
しかし、そうすると今までの人間と同じになってしまう。
隊長はチーロとコークにも向かって針を放った。
奴らは魔法で反撃しようとしている。
「チーロ、コーク、止めろ!」
俺は奴らを止めると奴らの前に仁王立ちになり針を二つ腹と胸で受け止めた。
回転する針が俺の体を貫こうとする。俺は全力で力を込め、なんとか針を止めた。
「隊長、女王様、なんでこんなことするんですか!この人たちは僕を助けてくれたんです。悪い人じゃないですよ」
ミーが叫ぶ。
「ミー、お前は黙って見ていろ」
女王がミーを圧倒する。
それからも俺は針を中心とした隊長の攻撃を受け止め続けた。
「どうした人間、反撃はしないのか?」
隊長は挑発するような口調で言った。
「しねーよ。」
「何故だ?」
「俺たちはお前らと戦いに来たんじゃないからだ」
「もうよい、隊長よ攻撃をやめよ」
女王が声を張る。
「承知しました」
俺は疲労からその場に倒れこむ。
「大丈夫ですか!」
「大丈夫!」
チーロとコークが俺の元へと駆け寄る。
「なかなか骨のある人間だ。それに確かに今までの人間とは違うな。よいだろう。貴様らと取引してやろう」
女王は笑みを浮かべながらそう言った。




