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四十七話

 「よし、街の方へ向かうんだ」


 「はい!」

 チーロがそう言うと雲は急降下を始めた。


 地面に降りると街の入り口には木製の巨大な門があった。


 「おい、着いたぞ。ここで合ってるか?」

 子供のミツバチへと語りかける。


 「合ってる」


 「じゃあ、この門を開けてくれ」


 「いいだろう」

 偉そうな口調で言うと奴は巨大な門をゆっくりと開いた。


 街の中には蜂の巣を模したような建造物がいくつもあり、奥の方には周りの建物に比べて数十倍は大きいものが一つあった。しかし、街を構成するのは建造物のみでそこに住まう住民の姿は見えなかった。街というには寂しい程に静かだった。


 「誰もいないじゃないか。どうなってるんだ?」


 「おかしいな。ここで合ってるはずなんだけど。なんで皆いないんだ?」

 困惑しながら奴は言った。

 その困惑が嘘でないことも表情から察することは容易だった。

 

 それからしばらくの沈黙の後


 「あっ!」

 奴は何かを察したように声を上げた。


 「どうした?」


 「お前ら動くな!」


 「おいおいどうしたー?急に」

 そう言った瞬間


 無数の針が俺らを囲うように放たれた。


 「うわっなんだ」

 チーロが驚きの声を上げる。


 「街の皆だ」

 子供のミツバチは小さい声でそう言った。


 ならば俺らが敵意が無いことをまず示さなきゃいけないな。

 俺は地面に剣を置いた。


 「何で剣を置いちゃうんですかー」

 チーロが不平の声を上げる。


 「これでいいんだ。お前も大人しくしてろ。奴らに敵意が無いことを示すんだ」


 「わかりました」


 「俺らは決してお前らを傷つけに来たわけではない。この通り示す。だから警戒を解いてくれないか」


 すると木の陰から人の二倍ほどの大きさはありそうなミツバチが姿を現した。


 「ならば何故、我々の子供をお前らが連れている。人質のつもりか?」

 鼓膜を刺激するような低い声で奴はそう言った。


 「違う。俺らはこいつが迷子になってたところをここまで送り届けたんだ」


 「どうだかな?人間の言うことは信用できん」


 「お前らミツバチに俺ら人間が酷いことをしてきたことは知っている。そのことは謝ろうと思う。そして俺らはそんな奴らみたいに危害を加えに来たわけではないことを信じてほしい」

 

 十秒程度考え込んだ後巨大なミツバチは口を開いた。

 「おい、ミー。お前はこの人間達としばらく一緒にいたんだろ。そいつらのことをどう思う?」

 すると子供のミツバチは話し始めた。

 

 「はい隊長。ぼ、僕はこの人たちはあまり悪い人だとは思いません。」


 「何故だ?」


 「この人たちは僕に積極的に危害を加えようとしたりしないし、僕が迷子だって言ったら実際に街まで送り届けてくれた。それにこの人たちは自分達の仲間を助けるために危険を冒してまでこの森に来たらしいんだ。そんな人達が悪いとは僕は思いません」

 弱弱しい声だが力強い口調でミーは言った。


 「そうか、お前がそこまで言うなら信じよう。しかし、街に入るには武器はおいてもらう。それに何か怪しい動きをしたら容赦なく殺す。という条件付きで街に入れてやろう。それでいいか?」

 重い声で隊長は言った。


 「いいだろう」

 俺も圧に負けないように力強い口調で返答した。


 俺がそう言うと

 「全員!警戒を解け!」

 

 隊長と呼ばれていたミツバチがそう言うと森の中から無数の人の背丈ほどのミツバチたちが現れ、街の中へと入っていった。しかし彼らは怪訝そうな目をこちらに向けながら俺らの横を通り過ぎていった。


 彼らは本当に警戒を解いてくれたのだろうか?

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