四十五話
俺は光が発せられた方向へと構えると水弾を放った。
しかし、手ごたえはなかった。
「チーロ!遠距離戦はこちらが不利だ。光った方へ向かってくれ。近距離戦に持ち込む」
「はい!」
雲は急降下を始める。
その間針がまた放たれるかと身構えるが針はこちらへと向かってこなかった。
相手の姿が見えてきた。こちらを見上げている人の背丈の半分程のミツバチが一匹いた。
一匹なら俺一人で余裕だな。剣を構える。
地面に降りる前に雲から離れ、ハチへと切りかかる。
しかし、うまく躱され空振りに終わった。
「な、何をするんだ!」
奴は声を震わせながら言った。
「それはこっちのセリフだ。お前から攻撃を仕掛けてきたんだろ」
「そ、そんなの当り前だ。お前ら人間は僕らの敵なんだからな。排除しようとするのは当然だ!」
相変わらず声を震わせながら奴は言う
「そんな強気な発言をする割には怯えてるんじゃないのか?さっきから声が震えてるぞ」
俺は挑発するように言った。
「う、うるさい!お前なんて僕が殺そうと思えばすぐ殺せるんだぞ」
「そうなのか、やってみろ」
奴は何も言わずに動かなかった。
「大丈夫ですかー。グビリコー」
「大丈夫ー?」
雲から降りたチーロとコークが俺の元へとやってきた。
「あれがさっきの針を飛ばしてきたハチですか?」
チーロが拍子抜けしたように言った。
「なんか可愛いわね」
コークも全く恐怖を感じていない。
「な、なんだお前ら三人に増えたからって結果は変わらないからな!」
「あのハチ、こっちに怯えてません?」
「そうだな」
「怯えてる相手を攻撃するのはちょっと気が引けますね」
「ああ」
「お前らコソコソ話して作戦でも立ててるのか?そんなことしたって無駄だぞ」
「いや、違いますよ。君が僕たちに怯えてるように見えるからこっちはそのー。攻撃する気が起きないっていうか」
「なんだお前ら、僕たちを殺しに来たんじゃないのか?」
「殺しに?そんなわけないじゃないですか。」
「じゃ、じゃあ何しに来たんだ?」
「僕達ミツバチの皆さんに助けてもらいたくてここに来たんです」
「僕たちに助けてほしくて?どういうことだ」
「僕たちを助けてくれた人が病に侵されてしまっているんですが、それを治すために君たちが作っている蜜が必要でそれを分けてもらいたくて」
「本当にそれだけか?僕たちを殺して蜜を独り占めしようってんじゃないだろうな?」
「そんなわけないじゃないですか。現に君のことを殺そうとせずこうやって対話をしてるじゃないですか」
「そうだな。なら蜜をお前らにやるかは置いといて、特別に街には入れてやる。ただし、条件付きだ」




