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四十四話

 「まずここを出たいんだが、ここはどこだ?」


 「女王アリの城の一室です」

 やけに豪勢な部屋だと思ったらそういうことか。


 「まだ城の中だったのか、部屋の外に蟻はいないのか?」


 「それは大丈夫だと思います。女王アリがやられたと知った途端に皆街から一目散に逃げていきましたから」


 「そうか、それならよかった。じゃあすぐに城を出てチーロのいつもの雲ですぐ森に向かうぞ」


 「わかりましたー」


 それから俺たちはおじさんを村人たちに任せて街を後にした。

 そして今、チーロの雲で森へと向かっている最中だ。


 「怖いですねーハチがいる森に向かわなきゃいけないなんて。刺されちゃったらどうしよう」


 「そん時は俺が治してやるから安心して刺されろ」


 「嫌ですよ。刺されたくないです!」


 「そうか、がんばれ」


 「なんですか棒読みでー。僕は後方支援に回るので戦いはグビリコが頑張ってください」


 「情けないやつね。聞いててこっちが恥ずかしくなってきちゃう」


 「なんだよ。コークまでー。怖くないの?ハチだよ」


 「大丈夫よ。私たち今までアシダカグモや女王アリに勝ったじゃない。まあほとんどグビリコがやったけど」


 「まあまあ、お前らそこらへんにしとけ。これからも三人で協力して困難を乗り越えていく。それでいいだろ」


 「はーい」

 チーロとコークの声がきれいにハモった。


 それからしばらく無言のまま時が過ぎた。


 「意外と遠いですねー。疲れてきましたー」

 チーロの言葉が静寂を破った。


 「確かに遠いな。」


 「そうねー。私も眠くなってきちゃった」


 「こっちは頑張って魔法使ってるのに二人は暢気だなー。森に着いたら一杯働いてもらいますからね」


 「はいはい、分かったわよ」

 コークのあおるようなセリフにチーロは返事をしなかった。


 それから数分後

 眼前には行く手を阻むかのような大きな雲が出現した。


 「うわー。すごい雲だな」


 「突っ切りますよ」

 チーロはぶっきらぼうに言った。


 雲と言えばあのオオカマキリの時のことが思い出される。何も起こらなければいいんだが。


 「うおっ!」

 急に後ろに体が持っていかれそうな重力がかかる。


 「どうしたんだ急に。何かあったのか?」


 「何もないですよ」


 「じゃあなんで」


 「雲の中には嫌な思い出があるので早く抜けたくて」

 

 ああ、お前もあの時のことがトラウマになってるのか


 「それはそうだな。急いで抜けよう」


 それからチーロが急いだ甲斐もあってか何事もないまま雲を抜けた。

 すると眼下いっぱいに広がる森が出現した。


 「おお、これがおじいさんが言ってた森か。物凄いでかさだな」


 「ですねー。この中にハチの街があるんですかね。それっぽいのは見当たらないですけど」


 「まあ、森が見つかったんだからゆっくり探せばいいじゃない」


 「簡単に言うけど僕はずっと魔法使ってたせいでへとへとなんだよ」


 「もし襲われたりしたら私とグビリコが何とかしてあげるから頑張って」


 「わかったよー」


 しかし、本当に広いなー。雲の上から森を見渡す。

 ん?

 何か光ったか?。

 

 「どうしました?」

 

 「いや、森の中で何かが光った気が」


 「えーほんとですか?」

 チーロが森を見る。

 

 「うわっ!危ない!」

 そう言うと、チーロは雲を急に勢いよく前進させた。


 体勢が安定しないなか、雲から下を覗くと最も太い部分は人の腕程あろうかという巨大な針が森の中から打ち上げられてきていた。


 着いて早々戦いか。

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