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四十二話

 何かが切れる音が頭の中に響いた。


 「うぅ.....」

 頭痛がする

 

 「大丈夫ですか!グレートゴキブリ様」


 カマキリの声が煩わしい。


 「うるさい、黙っていろ」


 この感覚は女王アリまで奴にやられたというのか......

 奴の実力は我の想定以上なのかもしれん。

 しかし何故......

 疑問は頭の中から離れなかった。


ーーーーーー

 

 何かフワフワした心地の良いものに包まれている感覚がする。

 地面も柔らかい。

 ベッドか?なんで?

 俺はさっきまで女王アリと戦ってそれで......何とか勝って。

 そのあとの記憶が無い。

 どこなんだここは?

 重い瞼を持ち上げる。


 すると目に飛び込んできたのは四つの目玉だった。


 「うわっ!」


 思わず驚きの声を上げてしまう。


 「うわっ。とはひどいじゃないですか。僕達グビリコが目覚めるまでずっとここで見守ってあげてたんですよ」

 

 「そうよ!ほんとひどいわ」


 「だからってあんなに間近で顔を見られてたら誰だって驚くだろ!」


 「まあ、そんなことよりあそこにいる人たちにお礼をしてきたらどう?あんたのこと看病してくれてたんだよ」

 

 まあそんなことより?こっちは病み上がりだぞ。

 しかし、俺の看病をしてくれていたのならば礼をしないなんて非礼は働けないな。

 俺は病み上がりの重い体を起こしてコークの指さす方にいる人たちの方へと向かった。


 「すいません。あなた達が俺の看病をしてくれたんですか。本当にありがとうございます。こんな見ず知らずの汚らしい男を」


 「何言ってんだ。お礼を言いたいのはこっちの方だよ」

 背筋が伸び、髪も黒くツヤのある若々しいおじいさんが言った。


 「?」


 「どうしたそんなぽかんとした顔をして。あんたが救ってくれたんじゃないか私たちのことを」


 「俺が?」


 「なんだ覚えてないのか?」


 「すいません。女王アリとの戦い以降のことはあんま覚えてなくて」


 「その女王アリから私たちのことを救ってくれたんじゃないか。私たちは奴の病を治すために無理やり働かされていたんだよ」


 やっとピンときた。俺も勘が悪いな。


 「ああ、あの村の方たちですか」


 「そうだよ」


 「いえ、こちらがお礼を言われることなんてありませんよ。困っている人がいたら助けるのは当然ですから」


 「そうかそうか、よくできた兄ちゃんだ。」


 「いえ、そんなことないですよ」

 そう言いつつも、気分が良くなってしまう。


 「そうだ、兄ちゃん。起きたばっかのとこ悪いんだが一つお願いしていいか?」


 「いいですよ。何でも言ってください」

 

 「あそこのもう一人の兄ちゃんなんだが、あんたが治してやってくれないか?あんたも回復魔法が使えるんだろ。私たちの魔法じゃどうにも難しそうでね」

 おじいさんが指さしながらそういう。


 指さす方を見ると。そこにはベッドに横たわるおっさんの姿があった。

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