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三十九話

 握られた拳に炎を込める。


 「熱いのー」

 奴はそう言いながらも握る拳の圧力を強める。


 「全然そうは見えねーな。これならどうだ?」

 次は電気を放つ。


 「痛いのー」

 そう言いながらさらに力を強める。


 「ならこれはどうだ!」

 もう片腕で剣を振るう。

 奴の腹を目がけて。

 剣が腹にめり込む。

 風船が割れるかのようにガスが噴出し、辺りに異臭がたちこめる。


 「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

 奴は聞くに堪えない悲鳴を上げる。

 「貴様!やりやがったな我の病巣を」


 「だから何だ?何度でもやってやるよ!」

 奴の腹目がけて何度も剣を打ち付けた。

 

 奴がのたうち回る。


 奴は急に静止した。

 「よくも。絶対に許さないぞ」

 

 奴は口から唾のようなものを吐いた。


 俺は簡単に躱す。


 唾は床へと落ちた。

 そして周囲を溶かしながら床に穴をあけた。


 やべーな。

 酸か。

 当たったらひとたまりもねーな。

 だが、回避は俺の得意技。

 あの程度なら相手にならねーぞ。


 「何よそ見している」

 女王アリは足を振るうと床を破壊し、破片をこちらへと放った。

 

 これも俺には当たらないんだなあ。

 

 「チッ。これならどうだ」

 唾を吐くと同時に瓦礫を飛ばしてきた。

 

 これも余裕だ。

 

 奴は早くも息が上がっている。

 

 「チッさすがにこれじゃあ効かぬか。これはどうだ?」

 奴は大きく息を吸うと思い切り息を吐いた。

 吐かれた息は毒々しい色をしている。

 

 あれは吸ったらヤバイ。

 見ればわかる。

 奴らも吸ったらやばいな。


 「おい、コーク、チーロ。あれはやばい!村人の人たちを連れてここを出ろ!」


 「はい!」

 元気に返事をすると奴らは村人たちを部屋の外に誘導し始めた。


 「グビリコ絶対に勝ってくださいね」

 そう言うとチーロは扉を閉めた。


 奴との一騎打ちが始まった。

 しかしどうしよう。

 ガスが充満していて奴に近づくことすらできない。

 

 「仲間思いなことだな勇者よ。しかし無駄なことだ」

 奴は不気味な微小を浮かべる。


 「よくそんな余裕かませるな。その体、病気なんだろ?」


 「だから何だ?お前ごときこの体でも十分だ」


 「さっきあんなにもがいてたくせにな」


 「言ってろ」

 奴の背後に紫色の液体の球が浮かび始めた。

 「これで死ね勇者よ」

 

 球が俺めがけて放たれた。

 こんなの余裕だっての。

 俺は華麗に避ける。


 「これで終わりか?勢いだけだな」


 「そんな余裕ぶって大丈夫か?後ろを見てみよ」


 振り返ると避けたはずの球が俺めがけて追跡してきている。

 

 当たるまで追跡するタイプのやつか。

 俺のいた世界では人間のアニメでよく見た奴だな。

 こういう時は剣で切っちまえばいいんだよ。


 追跡してくる球を俺は全て切り捨てた。


 「ほう、これの対処法まで知っているのか。思ったよりはやるようじゃないか」


 「俺は安心したよあんたが思ったほどじゃなくてな。大分病気に苦しめられてるようだな」

 

 奴はギロリと俺を睨みつけた。

 

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