三十八話
チーロの雲に乗り元いたフロアへと戻る。
床が完全に抜けてなくなってるじゃないか。
いくつか上階へ向かう階段が見える。
「どれ登ればいいですかねー?」
「普通に考えてあれだろ」
俺は一番大きく、装飾が施されている階段を指さす。
「そうですか。じゃグビリコを信じます」
棒読みでチーロが言う。
なんだその言い方。
階段を上ると十メートルはあろうかという大きく荘厳な扉が現れた。
「うわーすごい大きいですねー。本当にここで合ってそうですね」
なんでまだ信じてないかのような言い方なんだ。
「どう見てもここだろ!女王いるって言ってるような扉だろ!」
「怒んないでくださいよー。わざとですよー。すいません」
わざとだと?
余計に腹が立つ。
「じゃあ開けるぞ」
大きな扉を力いっぱい押し開ける。
眩しい!
そこには煌々と輝く装飾品を身に着けた巨大な蟻の姿、そしてその周りには連れ去られた村人と思われる人々があった。
あれが女王アリか、兵隊長の1.5倍はありそうな大きさだぞ。
体色は何故だか光沢があるというより黒ずんでると形容すべき色を纏っていた。
「おお、待っていたぞ兵隊長。早く生贄を.....。なんだ勇者か。奴はどうした?倒したのか?」
「そうだ。そしてお前もそうなる」
「よいな、いい威勢だ」
女王アリは嬉しそうにに笑い声をあげる。
「なんだか余裕そうだな」
「そう見えるか。もうよい下がれ」
そう言うと村人たちを下がらせる。
村人たちは逃げるようにこちらへと向かってくる。
女王アリも。
一歩一歩を床にめり込ませながら。
「お前は我を討ち取りに来たのか?勇者よ」
「そうだ」
「だが、生憎我は今病に侵されていてな体調が万全でない。貴様らと戦いたくはない。取引をしないか?」
「取引?」
「そうだ。お前らとそこの村人は見逃す。その代わり貴様らはこの街にはもう関わるな。良い案だろ?貴様らも命を危険にはさらしたくないであろう」
「ふざけるな!」
そう言うと俺は拳に炎を纏い奴の腹を目がけて振りかぶった。
「だと思ったよ」
冷たく言うと。
奴は俺の拳を受け止めた。




