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三十三話

 白い蟻を倒してからは敵に遭遇することなく無事に進めていた。

 前方の天井から白い光が下りている。


 「あ、あそこ出口じゃないですか?やっと着くぞー」

 チーロが無邪気にはしゃぐ。


 「なら静かにしろ。城の中はここ以上に警戒が強いだろうからな」


 「あ、すいません」


 「ここからは音を出さないように進まないとね」

 コークが念を押してくる。


 俺らは慎重に進み、いよいよ明かりの元へとたどり着いた。


 「天井高いですね。どうやって上ります?」


 「お前の雲」

 「あんたの雲」


 俺とコークの声が重なる。


 「そういえばそうですね。忘れてました。」

 チーロは雲を出すと俺らは乗り込んだ。


 今までにないくらい慎重な動きで雲は上昇していく。

 

 「いきなり三人で飛び出すのは危険だからさ。グビリコ少しだけ覗いてみてよ」


 「まあいいがお前らいつも俺任せだなー」


 「じゃっお願いね」


 俺は雲の上で立ち上がり天井の穴から少しだけ顔を出す。

 うわっ!?

 俺は驚きで腰を抜かしてしまった。

 覗いてすぐに蟻と目が合った。

 穴を見張っている奴がいたのだ。

 

 「チーロ急降下だ!敵に見つかった」


 「えっ!?はい」


 いつもの荒い操縦で通路の下へと降りて行った。


 俺らは敵から見つからないようしばらく明かりから離れ、息を潜めていた。


 「ねー全然敵来る気配無いけど。本当に見つかったの?勘違いだったんじゃないの?」


 「そ、そんなわけは.....ないと思うんだが」

 あまりに敵に動きが無さ過ぎて不安になる。

 しかし、あの大きな複眼は目に焼き付いている。

 それは間違いない。


 「もう一回確認してみます?」


 「そうね。確認してみましょ。グビリコ頼んだわよ」


 「しょうがないな」


 もう一度雲に乗り天井の穴から顔を出す。

 目の前に映るのは

 蟻の大きな複眼であった。

 やっぱりさっきのは見間違いじゃなかったんだ。 

 しかし、何故だろう?

 こいつは無反応だ。


 「おーい生きてますかー?」

 恐る恐る小声で話しかけてみる。


 「あ、何?俺にいてってんの?生きてるよ」


 「え、じゃあなんで何もしてこないんだ?俺は侵入者だぞ」


 「ああ侵入者?いいよ通って。俺城の警護とか面倒くさいことしたくないからさ。」

 なんだこいつ?

 本気なのか罠なのか?


 「何その顔?俺の事疑ってんの?罠だと思ってんの?違う違う。俺は今さぼってるだけだから。早く通って。他の奴に見られたら俺の責任になるから」

 なんだこいつ


 「わかった」

 疑いつつも、とりあえず従ってみよう。


 「おいお前ら大丈夫だ。チーロ上昇だ」


 雲が上昇する。


 「うわぁ!?」

 チーロとコークが悲鳴を上げる。


 「おい静かにしろ!」

 俺はつい強い口調で言ってしまった。


 「いや、静かにしろっているじゃないですか。蟻が」


 「はぁ、何回も説明させんなよ。俺は今サボり中だから。お前らと戦う気はないの。他の奴に見られたら面倒だから早く行って」


 「はぁ?何言ってんのこいつ」


 「信じられないかもしれないが、そうらしい。他の奴に見つからないように急いで進むぞ」


 「こいつが言ってること信じるんですか?今はそうするのがベストだ。行くぞ」


 「で、でもー」


 「今はそうするしかないんだよ。走れ。怖ければ後ろを振り向くな!全て俺に任せろ」

 

 俺らは不安を抱えつつも蟻にはふさわしく無い程に荘厳な造りの通路を駆けていく。

 本当に後ろから奇襲はないのか?

 気になって後ろを振り向く。

 そこには鼻提灯を作りながら眠りこける先程の蟻の姿があった。

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