二十九話
「女王様。おからだの調子はいかがでしょうか?」
「少しは良くなってきたぞ。だがまだまだだ。」
「おい!人間ども手を抜くな。死ぬ気で治療しろ!」
兵隊長は攫われた村人たちに怒号を浴びせる。
「や、やってます。だから何もしないでくれ」
村人の一人が怯えながら言う。
「口答えせずに。さっさとやれ!殺されてーのか?」
「おいおい兵隊長。そんなピリピリするな。我の調子のことはよい、それより何か報告があってここに来たのであろう」
「は、はい。人間のスパイから我々のことを嗅ぎまわろうとしていた怪しい者とそれを支援していたものがいたと。報告がございました。支援者は今日の生贄としてとらえたものの怪しい者は取り逃がしてしまったとのことです」
「そうか。怪しい者とは勇者であろう。」
「勇者?ですか」
「そうだ。グレートゴキブリ様から連絡があった。先日アシダカグモを倒したらしい。まああんな足手まといを倒されたところでどうってことない。それにオオカマキリに深手の傷を負わされたらしい。オソるるに足らん。放っておけ」
「はい、しかし捜索はさせていただきます。もし奴らが街の秩序を乱すようなことをすればそれはそれで厄介です」
「そうか、そう思うなら好きにせい。我は引き続き体を休める」
「承知しました。働きアリどもに捜索をさせていただきます。私は引き続き部下の兵隊蟻達と共に城の警護をさせていただきます。では、失礼します」
「待て、生贄はすぐに連れてこい。今日はもう腹が減った」
「承知しました」




