二十七話
「そんなに言うなら勝手にしろ。ただこっちに来い」
おっさんは俺の手を引いて路地裏をさらに進んでいった。
強引なおっさんだな
「おいおいどこに連れてこうってんだ?」
「いいから黙ってついてこい」
おっさんは妙に周囲を気にしながら進んで行く。
路地裏の行き止まりまでたどり着いた。
「ここだ。ここから行け」
ここ?何もないぞ。
「おじさん何言ってんですか?ここって何もないですよ」
「待ってろ」
そう言うとおっさんは石造りの行き止まりの壁を横にずらし始めた。
すると地下へとつながる階段が現れた。
「うわー凄い!」
チーロがはしゃぐ。
「静かにしろ!誰かに見られたらどうするんだ?」
「す、すいません。でも何でそんなに周りを気にするんですか?蟻がいるわけでもないのに」
「ああ、確かに蟻はいないが。誰かに見られたらまずいんだよ」
「だから何で?」
「内通者だ。」
「内通者?」
「そうだ。身内から生贄を出さない代わりに蟻の見方をする奴らがいるんだ。そいつらに見られたら俺らが次の生贄にされる。」
「なら内通者にだけばれないようにすればいいんじゃないですか?」
「誰が内通者かわからないんだよ。奴らは普通の市民に溶け込んでる。お前らは街中で蟻のことを話題に出した。間違いなく奴らに目をつけられてる。俺もやばいかもしれない」
「そ、そうなんですね。すいませんでした」
「そうだ。だから奴らに見つからないようにここを通っていけ。ここなら奴らに見つからない。ここから城まで行ける」
「わかりました。ありがとうございます。でもおじさんはどうするんですか?」
「俺は大丈夫だ。しばらく身を隠す。それにお前らがこの街を救ってくれるんだろ?なら大丈夫だ。さあ行け!」
「頑張ってきます!必ずこの街を救って見せます。おじさんもどうかご無事で」
俺らが階段を下るとおっさんは壁を戻した。
その顔には絶望の中に希望を見つけたかのような笑みが浮かんでいた。
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「おい!アントンそんなところで何やってんだ?」
「なんだお前ら?何もしてねーよ」
「じゃあ何でこんなところにいるんだ?怪しいな」
「何が怪しいんだ?」
「お前さっきのガキどもと一緒にこの路地裏に入っていかなかったか?」
「いや、ガキなんか知らないな」
「嘘ついてんじゃねーぞ、てめぇ。この目ではっきり見てたんだかな。裏切者が!」
「裏切者はどっちだか?」
「うるせぇ!こいつが次の生贄だ連れてけ!」




