二十三話
「強いったって、相手は無数にいる蟻の大軍だよ」
「大丈夫です!僕達魔法使えるので。それも二種類も!それにそこで今は倒れちゃってる彼は四種類も使えるんですよ!」
「でも四種類も使えても勝てない相手がいたってことだろ?危ないからやめときな。私は自分の魔法が人の役に立っただけで十分だよ」
「いえ、僕たちも恩人に何とかして報いたいんです。」
「そうよ!それに私たちグレートゴキブリを倒すために旅をしてるのこんなところでやられちゃうようじゃ。口だけの赤っ恥だよ」
「そこまで言うなら勝手にしな」
「じゃあその蟻たちについておばあさんが知ってる情報だけでいいので教えてください!」
「奴らの巣はアントベルグの街だよ」
「アントベルグが!?」
「僕たちがこれから行こうとしてた街ですよ。まさか蟻に占領されてるなんて」
「そうだよ。そこからここまで来て村人を攫って行ったんだ」
老女は悔しさが滲み出た表情を浮かべる。
「私が知ってるのはそれだけだよ。あの城塞都市アントベルグが陥落するくらいの相手だ。やめといた方が身のためだよ」
「ありがとうございます!それだけ分かれば十分です」
「止めても無駄かい。まあ、今日はここに泊っていきな怪我人がいるままじゃ出発できないだろ」
「すいません。お世話になります」
その晩俺は目が覚めた。
死んでない。
傷が.....
痛まない。
傷が小さくなってる?
「おお、目が覚めたかい」
誰だ!?
驚いて声の方を振り向く
椅子に座り込む背の低い老女がいた。
「あんた誰だ?」
「なんだい命の恩人に向かってその態度」
「命の恩人?どういうことだ」
「あんたのその傷。私が治療してやったんだよ」
「治療ってどうやって?」
「魔法だよ。あんたも使えるんだろ」
「ああ、だがなんでそのことを?」
怪しい
何者だ?
剣を構える。
「おいおい何してんだい!」
「何で俺が魔法を使えることを知ってるんだ」
「その子たちが教えてくれたんだよ。怖いからその剣を早くおろしてくれ」
老女は俺の後ろの方を指さす。
そこにはベッドに体重を預けながら寝込んでいるコークとチーロの姿があった。
「こいつらが.....」
緊張の糸が切れ、構えた剣をおろす。
「すまない。つい.....」
「本当だよびっくりしたー。」
「恩人に無礼な態度本当に申し訳なかった」
「いいよ、起きたら知らない場所で知らない老人が目の前にいれば驚くのは無理もない。それじゃ私も寝るから。あんたも早く休みなそんな大怪我負ってんだから」
「わかりました.....」
力を抜くと傷が痛んできた。
早く寝て傷を癒そう。




