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十九話

 「帰りは僕の魔法で一気に帰りましょう。この状態で街まで歩くのは大変ですしね」


 「おー、それは助かる。」


 「いいねー。じゃ早速出しちゃってよ」


 「任せてー」


 今までで一番でかいサイズの雲が現れた。三人でも余裕でスペースが出るくらいの大きさだ。詰めれば五人くらいは乗れるだろう。

 いつもこれくらいの大きさがいいな。


 操縦は相変わらずの荒さだが。

 10分かからずに街についた。

 ああまたこの迷路を探検するのか。


 「よし、着いた。じゃあとは歩いてギルドまでめざしましょう!」

 

 「ここからだとーどっちだ?地図がわかりにくいなー。ちょっと代わりに確認してくださいグビリコ」

 人任せかよ。まあ喧嘩されるよりはましか。


 「えーっとここからだと右の道をまっすぐだな」


 「じゃ右に行こう!」


 10分程度歩きギルドについた。


 「じゃクエスト成功をおじいさんに伝えましょう!」


 無駄にでかい戸を開けてギルドへと入る。

  

 「おお、あんたらか。どうだった。逃げてきたのか?」


 「違いますよ!クエスト、クリアしました」


 「あんたらが?証拠は?連れ去られた街の住民たちは?」

  前のめりになって爺さんが言う。

 

 「それが連れ去られた人達は.....」

 

 「そうか.....そうなのか」

 爺さんは悲しみの表情を浮かべた。


 「だがそれならばクエストクリアはどう証明するつもりだ?」


 「え、そういえば証明するものはないです。」


 「証拠はある。昨日奴はやってこなかっただろ。誘拐された者がいなかったはずだ」


 「確かにそうだな。だがお前たちが倒したっていう証拠はないだろう」


 「でも今までクエストを引き受けた人たちの中で戻ってきた人はいないんですよね。でも僕達は戻ってきました。それが証拠になりませんか?」


 「そうか、そうだよな。お前さんたちがやってくれたのかあの忌々しい蜘蛛を」

 爺さんの顔に悲哀の表情が浮かんだ。


 「そうです!クエストの報酬をください」


 「ちょっと待て。爺さんあの蜘蛛と何か因縁でもあるのか?」


 「ああ、私の娘が奴に攫われたんだ。帰ってくるのを待ってたんだが。そうか駄目か。優しくて明るい子だったんだがなー」

 爺さんの目に涙が浮かぶ。

 閑散としたギルドに冷たい静寂が訪れた。


 「そうなんですね。僕、そんな気も知らず。すいませんでした」


 「いいんだよ。ほら報酬の一万G(ゴキ)だ。あんたらは気負わなくていい。蜘蛛を退治してくれただけで、これ以上犠牲者が増えないようにしてくれただけで感謝してもしきれない」


 「そうか、つらい思いをさせてしまってすまなかったな爺さん。お前らすぐ出るぞ」

 爺さんは一人にしてやった方がいいだろう。


 「おじいさん悲しそうでしたね」


 「当たり前でしょ」


 「僕らがもっと早く来ていれば.....」


 「気にすんな。爺さんのことは爺さんの人生だ。俺らは今できることをするだけだろ。」

 

 

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