十一話
「じゃあ北東の森まで向かいましょう!」
「森に向かうのはいいんだがこの街を歩いて北東まで抜けるのは手がかかる。この街に来た時みたいにチーロの魔法で森までいけないのか?」
「使えなくはないですけど。僕の魔力が減っちゃうのでいざ戦いってなった時のために温存しておきたいんですよ」
「じゃあ森まではいかなくていい。せめて街だけは魔法で出ないか?」
「まあそれだけならいいですよ」
そう言うと。チーロは雲を出した。
あれ?さっきより小さくない?
「乗ってください。狭いですけどこれで我慢してくださいね」
「狭いんだけどー。もっとでかくできないの?」
コークが苛立たし気に言う。
「僕も魔力を温存したいんだ。街を出るくらい一瞬なんだから我慢してよ!」
「一瞬でも嫌なもんは嫌なんですー」
「文句言っても大きくしないからね。じゃ行くよ」
こいつら事あるごとに喧嘩してるな。なんで一緒に行動してるんだ?
思索している明らかにさっきよりも荒い操縦で急上昇した。
「おい、もうちょっと丁寧にやってくれよ」
「落ちないから大丈夫ですよ」
チーロがぶっきらぼうに言う。
本当にこいつらダメだ。
上空から改めて街を見ると目が疲れる。ほんと何でこんなつくりにしたんだ?
街の北東を抜けると急降下を始める。
うぉぉ!地面にぶつかる!思わず目を閉じてしまう
しかし、雲は地面の直前で急停止した。
まったく心臓に悪い運転だな。
雲から降りると草がまばらに生えているだけの荒野が広がっていた。灰色の地面に石が所々に落ちていて歩きにくそうだ。
荒野から数キロ程離れたであろう所に森がポツンと佇んでいた。
「じゃあ行きましょうか!」
「えー結構遠いじゃん。チーロ頑張って魔法使ってよ。」
「僕の魔力が持たないからダメ」
「でもーあそこまで歩いてたら私の体力がなくなっちゃうよー」
「途中で休めばいいでしょ。それにもう日も暮れ始めてるし野宿しよう。」
「え、野宿すんの?じゃあ街の宿屋で休んで明日出発したほうがいいじゃん」
「でも僕たちお金持ってないよ」
「むー現実的な問題ね。野宿はしょうがないか」
「見てよあそこ。ちょっと進んだところに木が少しだけ生えてるところがあるよ。あそこまで歩いて今日は野宿だ。」
「嫌だけど、しょうがないわね」
普段からこうやって話し合いで解決すればいいのに。
「グビリコもそれで異論はないですか?」
「ああ、俺はよくわからないからお前らの決定に従うよ」
疲れのせいか三人は無言のまま木を目指して歩き続けた。
「やっと着いたー」
「やっと着いたわね」
チーロと対照的に疲れ切った表情でコークが言う。
俺も慣れない体でこの距離を歩くのは疲れた。早く休みたい。
「じゃここでテントを張って休憩しましょう」
「あんた元気そうね作っといてくれる?」
「えー僕だって疲れてるよー。グビリコは一緒に作ってくれますよね?」
「俺も疲れた。頼んだチーロ」
「酷いな二人ともー」
チーロはぶつぶつと文句を言いながらも手際よくテントを組み立てる。
「はい完成ー、じゃ二人とも中入っちゃってー」
「ありがとう」
覇気のない声で俺とコークは言った。
「じゃあご飯でも食べますか?」
「いやいいわ、市場で食べたからお腹いっぱいだし。もう寝るわ」
「俺もそうしようと思う」
「えー二人がそうするなら僕もそうします」
「じゃあ、お休み」
三人ともすぐ眠りについた。
こうして俺の人間としての一日目が幕を閉じた。




