シティ・フェス 其の4 ~一方、手術室では~
魔弦ソウルハンガーと命がけの約束を結んだなりんは
三色団子としてフェスで新曲の披露を大成功させています。
一方 遠く離れた病院の
島辺歩が外科手術を受けている手術室では
さて。
シティ・フェス 其の4 ~一方、手術室では~
脈拍上昇、正常範囲内。安定。
執刀医は安堵と戸惑いで混乱も抱えつつ、
手術を再開した。
いける、だが、何故だ?なにがきっかけで
もちなおした!?
思えばこの患者は不可解が多い。
十年以上も発見出来なかった、
体内深くに刺さった爆発物の破片の取り残しが
何故今になって姿を撮影された?
そもそもこんなものを抱えたままで、
何故今日まで生きおおせた?
そしてまさに今この瞬間だ。
施している処置とその結果もタイミングも
何もかも嚙み合わない、
なのにまるで何者かが こちらで関知しない別の加療を
ほどこしたかのようだ。
この医師が知りえない、なりんのソウルハンガーに対する理解も
語りかけも、十代の少女の思い込みに過ぎないのかも知れない。
執刀医が究明しかねる歩の謎の容態回復も
なりんの解釈とはまるで関係のない、
ただの偶然あるいは他の別な要因による下脳なのかも
しれない。
だがそれでも、なりん達三人とその相棒である魔弦ソウルハンガーらの
演奏と歌唱は初邂逅のフェスの満場の観衆を大いに沸かせ、
それと同じタイミングで手術中の島辺歩の身には
九死に一生を得る様な奇跡の回復が起きた。
なりんはこの先も歩の生還が自分たちと魔弦の魔力のお陰だなんて
言うつもりは無いし、
それでも
「手術の成功を祈って一生けんめい歌って弾いたよ。」
とは、上機嫌で伝えることだろう。
この爽やかな奇跡を過不足なく正しく理解し、
心から讃えられる者がいるとしたら。
それは藤堂家の愛すべき不思議な兄妹くらいなものなのかも知れない。
歩の長年の不調の原因は、子供の頃に遠藤真也の自作爆弾実験に巻き込まれた際に
体内に残ってしまった爆弾の破片によるものです。
医学的な検証がつけられないので本文中には描写していませんが、
爆発物は歩の左わきの下から刺さって心臓と肺の間辺りに丁度肋骨にひっかかる形で
辛うじて留まって、どちらの臓器にもぎりぎり触れないでいる状態でした。
ちなみに遠藤真也を狂わせてしまった破片のほうは、彼の耳後ろ辺りから刺さって頭部に侵入していました。
ええ、
この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。
では!




