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「なりんの援護くん」 其の2

 場面は移って、当日のなりんたち三色団子の出番、

すでに3曲め。


 さて。 


   其の2


 しばし時がって、ここはしすたあ☆ふっどの

ステージの上。

 なりんたち三色団子は

バンド演奏にアレンジしたアイドル曲を

2曲ほど披露し、ラストの3曲目に移る。

 いつもなら、ここは唯一の持ち歌、オリジナル曲の

「ハッピィ☆エンドくん」が始まるところだが

ここでわーにゃとしおんヌが舞台袖ぶたいそでにハケる。

 ややざわつく観衆。

 ステージにひとり残ったなりんが、マイクで

喋り出す。

「ええ、皆さん。

 次のラストナンバーはいつもと趣向を変えて

夏のキャンプフェスで一度だけ披露した歌を

やってみます。

 聴いてください。」

 そのままひとり、愛用の左弾きギター・

魔弦ソウルハンガーをき始めるなりん。

 エレキに似合うように、やや速めにテンポUPした前奏。

 そのままのテンポで、歌唱に入る。


 ♪耐えてる君はいつかのぼくだ

 ♪だから、助けてあげたいと、言ってた…


 なりんのソロ曲、「なりんの援護くん」だ。


 ♪君はやさしく、あたたかく

 ♪私を助けて、ほほえんで くれたね


 この歌の歌詞には、なりんから観た援護くんとの出逢いと、

そしてこれからが歌われている。


 ♪世界が待ってる、やさしいその手を


 援護くんのやろうとしていることは、

きっとこれからの社会が、いや、今生きている

多くのヤングケアラーたちが待っている希望だ。


 ♪これから私も、君と守るよ

 ♪どこかで待ってるいつかの君、

   ふたりで…♪


 なりんは、そうするつもりだった。

 援護くんと一緒に、幼いヤングケアラーたちを

助けてゆくつもりで、そうしてマサキとるぅーに

出逢った。

 ならば。

 なんで乗らなかったのか、姉の画策かくさくに。

 ベリィをふたりの城にして、そこで

子供たちや老人たちを支えて癒して守れば

よかったのではないのか?


 曲は間奏に移る。

 いつのまにかわーにゃとしおんヌが

ステージに戻って、演奏に加わっていた。

 エモーショナルな演奏が、曲の世界観を

鮮やかに広げる。

 なりんは最後の1節のボーカルに移った。


 ♪これから私が、君を護るよ。

 ♪ひとりじゃないよ、頼ってね、

  私を…♪


 この歌詞は

 援護くんに護られていたなりんが

新たに護る者として一人前になる、

その護る対象はケアラーたちであり

そして援護くんであるという、未来への希望を

歌っている。

 実際に今、なりんが護ろうとしているのは。

 援護くんとともにった、

マサキとるぅーだ。


 なりんは潤んだ眼から涙をこぼさず、

名の通りにりんとした歌声は音程を

くずさなかった。

 ソウルハンガーの音色が凛々(りり)しく響き渡り

曲は後奏に移る。

 前奏と変わらないシンプルな旋律だが、

ドラムとベースとが加わっている。

 ハイペースのアレンジとあいまって、

 ぐっと勇ましい響きになる。

 我がままを聞いてもらっての曲変更で、

ひとりきりで一曲やりきるつもりだったのだが

こうなると心強こころづよい。

 本当に頼もしい、ありがたい仲間だ。


 キャンプフェスの出演は、動画は撮ったものの

ネットには公開されていない。

 それでもふたりはレラにでも見せてもらって

いたのか、曲は知っていた様子だ。


 いつもの、底抜けに明るく屈託くったくのない

「ハッピィ☆エンドくん」から、

この「なりんの援護くん」へのセトリ変更。

 なにかがあったことは、常連の観衆にも

カフェで新たに撮影された公開動画からの

ビジター層たちにも伝わった。


 そのうえで、誰もが言葉にならない胸の震えを

実感し、

ああ、これを感動というのか!と、

普段ふだんの生活ではなかなか得難えがたい共有体験を

獲得(獲得)した。


 うおおおおお!!と、素直な慟哭がき上がり、

三色団子を讃える拍手が響き渡り、

会場に充満する絶賛が三人を包む。

 思わぬ大好評にやや戸惑ったものの、なりんは

ソウルを抱えて深々と頭を下げた。

 しおんヌとわーにゃも合わせる。

 しばらくそうしてから頭を上げ、

「ありがとうございました、三色団子でした!」

挨拶あいさつして、三人は改めて

舞台袖にはけた。

 なりんたち三色団子が披露した楽曲「なりんの援護くん」は、

前作「なりんの援護くん」の第13話「援護くんにバラッド」にて

キャンプフェスと言う催しで「ベリィHOT」とともに披露されたものです。


 今回は「やや早めにテンポUP」され、

曲の途中からわーにゃのドラムとしおんのベースが

加わっています。


 このテンポUP、とあるアイドル(アンジュじゃないよ)の

とあるアルバム曲を聴いた際に

「あ~これ、ゴリゴリのバンド演奏テンポで聴きたいなあ、例えるなら

アジカンの君繋ぐファイブエムの前半数曲みたいな勢いと速さで」

 と歯がゆく感じた実感からのアイデア(アイデア!?)です。


 そうしたらあれ絶対エモくカッ飛ぶよなあ、

そうアレンジしたの聞きたいなあ、の思いを応用して

本連作の中の架空のバラード曲「なりんの援護くん」を、

前作ではアコギ一本でなりんのソロ歌唱だったものを

今回「バンド仕様にほぼその場で魔改造された」という物語にしてみました。


 そのアルバム曲というのは、要は(略)ファンタジア(略)なんですが(しれっ)

そのまま手付けずで充分その歌が好きという皆さんもたくさんおられましょうから、

失礼にならぬように曲名は伏せておきます。

 もちろん異論は認めます、私の感性はしがない少数意見です。


 さておき。

 この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。

 友情ってなんだ!(唐突)(青春ドラマ的なオピニオン問いかけ)

(あるいは、ギャバンの主題歌的な問いかけ。)

 では。(礼)

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