第十四話 シスターフッド 其の1
新たな仲間も加えたなりん達一行は、
フェス後夜祭のお呼ばれゲストとして
新天地に到着します。
さて。
第十四話 シスターフッド
其の1
翌日。よく晴れた日曜日。
セレナを降りたポーキュパインの一行が
またも新たな地に到達した。
広大な駐車場を備え、たくさんのテナントが
集合する大型ショッピングモールの敷地内の一角に
やや趣きを異にするテナントビルが建っている。
他の各フロアがファミリー向きの雰囲気であるのに対し、
そのビルは若者をターゲットに絞っている様子だ。
「よし、あれだ。」
こりんがスマホで確認する。
搬入口から入って警備員に通行証を受け取り
まだ開店前の古着屋などが並ぶ1Fファッションフロアを通り抜け
エレベータでB1に降りると
ほぼ目の前に両開きの扉とポップなフォントの看板があった。
『アイドルカフェ・しすたあ☆ふっど』。
『☆』が、『はっぴぃ☆えんどくん』とお揃いだ。
前日の土曜日、万事快調な音合わせの後に
一同は衣装の打ち合わせや
持参する楽器と借りられる楽器の確認などを
先方と連絡とりつつ済ませ、
またも拝借する歩のセレナにすぐ積み込めるように整理して、と
やれる準備をすべて整えておいた。
翌日曜のこの日、なりんたちポーキュ組は
ベリィに集合して穏の運転で移動し、
一方わーにゃ姫組はぺいぺいの運転で
この巨大ショッピングモールのパーキングに
現地集合で落ち合っての、現在である。
本日のメンツは新旧バンドメンバーの5人と
めいもい姉妹との計7人。
マサキは今日は来ないそうだ。
ーごめんね、マサキくん。きみが観てないことを
いいことに、あたし「ハッピィ☆エンドくん」
歌っちゃうね。
みのがしてくれて、ありがとね。―
我ながらいい気なせつなさかもだが、
それもいいじゃない。
こんなの、花も恥じらう乙女の特権よ。
なりんはそんな気分だった。
実際それも正解なのだろう。
マサキも援護くんも真反対な方向からで双方、
どのみちこの3年ほどはなりんとは一線を
越えられやしない。
ならば、なりんがこの程度の勝ち気でふるまうくらい
天とて許す。
魔とて、ほくそ笑んで許すだろう。
「じゃあ、入ろうか。」
なりんがうながし、先頭のこりんが扉脇のインターホンの
ボタンを押す。
「すみませーん、ライブバー・ベリィですー。」
「どうぞー。」
音声が答え、ロックが解除される音がした。
なりんたち一同に、新しい冒険の扉が開いた。
ええ、この第十四話以降の
いわば「援護くんの隣りに 第2部」
プロットの再整備に二転三転てこずる一方
見切り発車で始めた本編執筆が
けっこうするする進むので。
この通り、本編更新も見切り発車で再開です。
とはいえこの「其の1」は、小手調べというか手慣らしで
書いたので、省こうと思えば省ける場面描写が多いのですが。
書いてしまえば切るのも惜しいので、このまま。
悩んで始められないときは、始めてしまうと案外
実動が事前の悩みを解消することもあるようです。
もちろん、
いつもそううまくいくとはもちろん限りませんが。
この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。
では!