第十三話 小悪魔
場面は少しとんで、その日のおひらき解散後。
なりんはこっそりマサキとふたりで話した。
…さて。
第十三話 小悪魔
場面は少しとんで、その日のおひらき解散後。
なりんはこっそりマサキとふたりで話した。
「マサキくん、援護くんと私ね、正直言うと、
まだどうなるか分からない。この歌も、
私から援護くんへのアタックよ。
歩くんは私と援護くんとの組み合わせ派だから、
応援の気持ちでこの詞をくれたんだと思う。」
マサキはじっと聞いて、ちゃんと考えてから口を開いた。
「なりん。俺は、なりんの気持ちをそんちょうするよ。
だから、じゃまはしないけど、応援もできない。
明日も、この歌うたうところ観には行けない。」
「ごめんね。」
「でも、おれもう援護ンのライバルだから。」
「えっ。」
「なりんがフリーになるなら、ばあちゃんが
援護ンとくっついたっていい。それだって、
援護ンなら、ばあちゃんをまかせられるからだけど。」
なんか、文化祭の日に春菜さんもそんな
感じのこと言ってたような?
マサキくんの大切な春菜さんに援護くんが
恋をするとしても、それで私ことなりんぬ?が
フリーになるのなら、マサキくんはそちらを
選ぶのでは、といったようなこと。
でも、援護くんに眠ってる春菜さんを見せた時点では、
まだそんなこと考えてなかったよね?
あとから結局そうなった、ってところ?
「なりん、おれ、なりん相手以外には、
こんな気持ちにならない。おれ、なりんと
一緒がいい。」
どがつくど直球だ。マサキが声変わり前の
かわいい中学一年生だから、そんな生々しくは
ならないが。
こんどは、なりんがちゃんと考える番だ。
うかつに、「春菜さんにもるぅーちゃんにも、
一緒にいたいと思わないの?」とは、決して聞けない。
何故なら、それこそが春菜さんの危惧する、
藤堂家の危機だからだ。
今のままの家族を維持したい『保護者』春菜さんとしては、
マサキには自分にもるぅーこと遥香にも、
異性としての興味を持たれるわけにはいかない。
だから、春菜さんの思惑から観れば、
このマサキのなりんへの気持ちは狙い通りと言える。
さすが。『大悪魔』の自認は伊達じゃないわね、春菜さん。
なりんはよく考えて、その上でこんな強かな言葉を返した。
「マサキくん、私もマサキくんのこと好きよ、」
そこでなりんの回答は終わらない。
「援護くんと、おなじくらいに。」
ー我ながら、ひどい答えだと思う。
小悪魔かよ、わたし。
でも、これ以上ないくらいに、本音だ。
本音の魔女が自らの本音を
そのまま素直に真摯に誠実に、答えた。
「…、わかった。それでいい。」
マサキはやはり回転が早いらしい。
「でも、なりんはそれでいいのか?」
「よくないかな、やっぱ。」
そりゃそうだろうね。うん。
「てきに塩をおくりたくはないが、なりん、
分かってないぞ。」
てき?敵ってこの場合、援護くん?
「援護ンも分かってないけど、援護ンはもてるぞ。」
思いもよらない言葉が返ってきた。
「べつにるぅーだけじゃない、援護ンは
なにかのズレがなおるとか、なおらないままでもうまくかみあえば、
あっという間だからな。」
あっという間に…、
「なりんが大人になる前に、ちゃんと大人の
お似合いの恋人ができて、あっという間だ。」
なりんは驚いた。そんな可能性、考えてもみなかった自分と、
そして、それならそれでいいんじゃない?と、
わりと即座に頭によぎった、自分とに。
援護くんは、自分は生涯 恋も結婚もしないと言っていた。
自分の生き方は厳しいから、誰も巻き込みたくないと。
そんな援護くんを、あたしは放したくはなかった。
一緒にいたかった。あのやさしいひと、援護くんの隣りに。
ーあたしは、援護くんを独りぼっちにしたくなかっただけなのか?
その衝撃をなんとか避けたくて、
マサキに話しを振る。
「でも、さ。それを言ったら、マサキくんだって。
女の子たちがマサキくんのよさに気づくくらい
成長したら、もってもてになるよ、きっと。」
「おれはなりんしか見てないよ。」
その直球が刺さる前に、打ち返せるつもりのなりん。
「分かるもんですか。ねえ、もしもっと可愛い子で、
マサキくんにもっとお似合いな素敵な子と出逢えたら。
遠慮なくそちらに方向転換してね。」
あ、あたしこれ。そうだ、援護くんが
あたしに言ってたことだ。
キャンプフェスの日の、お昼のバーベキューで。
援護くんも、ほんとにあたしのことちゃんと
好きだったんだな。だからこんなぎりぎり身をかわすような、
へんに含みを持たすような言い方。
本当に欠片もその気がないのなら、
きちんとお断りすればいいだけのことだもの。
逆の立場、いや、同じ立場?になってみて、よく分かる。
援護くん、確かにあの日、あたしのこと
心から好きだったよね。そして、戸惑いながら
心から大切にしてくれていたんだよね、私のこと。
今もその思いでいてくれてるのかな、きみは。
なりんもまた戸惑いながら、マサキも援護くんも
どちらも大切にしたい自分を実感していた。
この第十三話は、この一章のみ。
次回は第十四話で、翌日の日曜日、すなわち
キャンプフェス後夜祭当日の、ゲストとして
お呼ばれしたアイドルカフェでのお話しになる予定です。
レラたちのいるお店ですね。
ただ、「予定」としているのは、ここからまた
しっかりと構成しなおして、きちんとお話を創りたくて、
そこにまだ手がかかりそうだからでして
次回の更新はまた先になったり、その後も
もう少し更新のペースがスローダウンするかもです。
なにはともあれ、制作執筆にとりかかります、
ひと休みが済み次第ね。(観たいTVもあったりして)
(TOKYOMXさんの、1979年のウルトラとライダー♪)
今のところ ここまでは、思うように書けていると思います。
今後もそういきたいものです。
この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。
では!




