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家族三景 其の2

のろけるこりんと明るく語らいつつ

揺れる気持ちの片側、援護くんへの想いにふける、

なりん。


 さて。


   其の2


「ところでよ、裕人は忙しいけど、なりんは

呼ばれないのかよ?共同研究者とかの

立場じゃないのか?」

「そこは裕人くんが気を使ってくれたみたい。

 無理に連れまわして無理させてしまったからって。」

「あいつの気のつかい方は、ズルいというか

さかしいというかさ、

先ず根回しの気配りとつきあいをたっぷりして、

それから自分の思惑おもわくを思う存分に通して、

そのあとまた最大限の気配りをしてケアっつうか。」

 別にズルくはない。むしろ極めて真っ当だが。

「おおう、もう奥サマ並みの理解の深さ。」

 と、ここはこりんの彼氏自慢に調子を合わせてやるなりん。

「つきあい自体は長いんだよ、幼なじみだからな。」

「裕人くんのその気の使い方、政治家向きじゃない?」

「本人は公務員希望らしいけどな。」

「じゃあ、お役人さんか。官僚とかって」

「ウチの高校から出るかよ。

 大学次第にしたって、市役所で御の字だし

でも県庁とか狙っちゃうか!?」

 ごきげんに明るい将来を語るこりん。

 いいカノジョだな、こやつ。てか、裕人くんも

マジ優良物件じゃん。

「こりんはなんか考えてるの?将来のこと。」

「んー、裕人は裕人だけど、あたしは特に

今んとこ、これってのは無いなあ。

 なりんは?」

「ん、あたしはねえ…、」

 援護くんが頭に浮かぶ。あの強くきびしい生き方を

しているひとと一緒に生きていくなら、

どんなスキルが最適解なのか。

 なりんはまだ、答えを出せていない。

 本当に、強さも優しさも不条理レベルの域のひとだな…、

「あ。」

 なりんは思い出した。

「なんだ?」

「あたしがお姉ちゃんに連絡とりたくない理由、

それだったわ。」

「どうゆうこと?」

「お姉ちゃんに誘導されかけてるのよ、あたしの将来。」

「あ!そういうことか!納得。いま超納得した!!」

 のんと話していると、いつの間にかなんとなく

操られてしまっている感覚がある。それはこりんも

薄々感じていたことではあった。


 穏はベリィを圭吾こと援護くんのための、

保育と介護を兼ねたケアセンターに作り変えようと画策し、

妹のなりんをそこの万能従業員に養成しようと

くわだてている。


「分かってくれるか、親友よ。」

「おう、さっきは冷血とか言ってわるかったな、

それはそれで無理のない話しだ。」

 昼食をあらかた食べ終えて両手の空いた親友同士は、

そこで互いに両手を堅く取り合った。


 そんなふたりがおそれる上級魔女、

我らが澤菜穏のんお姉さんだが。

 実際彼女はある目算もくさんに向けて、

新たな暗躍を始めているところだった。

(ベリィが望みうすなら、他にも手だてを

用意しておかなくちゃね。

 待っててね圭吾くん。あたし絶対にあなたに

居場所を用意してあげるから。)

 彼女もまた、彼女の純情で動く健気けなげな乙女であることを

なりんだって少しは分かっている。

 それが、なりんと援護くんが共に生きてゆける道の

模索であることも。

 だがそれと、そのために姉の思惑通りに利用されてやるべきかは、

また別の話であることも。


はい 物語の方向を決めていても、

物語のヒロイン・澤菜のなりんちゃんは揺れますよ。(何)


タイトルの「家族三景」とは藤堂家、高橋家、そして澤菜家。

こりんちゃんの金子家の様子は、前作で彼女こりんの台詞で

一言だけ触れましたが

この話(十話の其の2)での こりんちゃんは、

もう既に半分は高橋家の一員な気分でおります。


 のんはフェス後夜祭があるのでまもなく再登場

次回からはそちらに向けつつの第十一話です。

 そろそろ新キャラ登場も再開します。


 この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。

 では!  

 



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