魔界の森の両天秤 其の3 ~香る綻ぶ恋の花~
マサキの演説もまたも大成功で、
裕人となりんたちの研究発表講演は無事完了。
文化祭の残り時間をそれぞれに過ごします。
さて。
其の3 ~香る綻ぶ恋の花~
なりんは裕人と共に舞台袖にマサキを迎え
昨日同様マサキを歓待した。
「なりんちゃん、ありがとうございました!」
裕人がなりんに感謝を述べる。
「まだ終わってないし。教室戻るね。」
「いえ、ここからの展示の解説係は僕が引き継ぎます。
なりんちゃんも校内を観てまわってください。」
「いいの?」
「よかったら、マサキくんと一緒に。」
「え?」
「ご指名なんです。なりんちゃんとも文化祭を
一緒に周りたいそうです。」
なりんはちょっと意識してしまった。
顔赤くなってないかな?
「なりん、おつかれ!」
体育館から校舎へ向かう渡り廊下で、
こりんが声をかけてきた。
「こりん、ひとり?」
「るぅーちゃんは春菜さんと校内もう一周してみるんだってさ。」
「やっぱりマサキくんとは合流できないのね。」
「まったくさあ、誰に対して秘密にしておきたいんだかなあ。
あたしは素敵な家族だと思うぜ。」
そうだよね。なりんは相槌として
うなずいてみせた。
「あたしはコーヒー係をしに教室戻るけど。」
そういうこりんに、なりんはこう返した。
「裕人くんも教室の展示の解説に移るって。」
「そうか。」
・・・。
お互いに、沈黙の間が生じる。
「やっぱさあ、このタイミングかなあ。」
もじもじとこりんがつぶやく。
「どうだろうねえ。あたしはさ、マサキくん係だから。」
自分はその場に居合わせないよ、と告げる
なりん。
「マジか。てか、お前らもなんかくさいな。」
「くさくはない。」
「匂うんだよなあ。」
「薫ってるのはきみたちでしょ、こりん。」
話しを逸らさせないなりん。こんなのは、
乙女のプロレスだ。
「薫っちゃうか?やっぱ。」
「もう、たちこめてるよ。香しいよ。」
「そうかあ・・・。」
あらためて、はにかむこりん。
ヒューヒュー!だねえ。
そこにマサキが現れた。
「なりんぬ、裕人から聞いてくれたか?」
「うん。それじゃ行こっか。マサキくん。」
「おう!」
嬉しそうなマサキ。演説の英雄めぇ、
ご褒美に、きみの憧れのなりんお姉さんが接待しちゃうぞ!
「じゃあこりん、そういうわけだから。
しっかりね。
マサキくん、どこ行きたい?」
「なりんぬは?」
「あたしが選んでいいんだったらねえ、
体育館戻って演しもの観たい。」
「そっか。それはいいな。行こう!」
ふたりでこりんと手を振り合い、なりんとマサキは
体育館へUターンした。
こりん、裕人くん、しっかりね。
敢えて一番美味しいところには
居合わせないことにするのが、
なりんの考えるなりん流のデリカシーなのだった。
取り急ぎ、本日の日付のうちに投稿!
明日は用事があって更新お休みするかもです。
なろうのタイマー挙げ機能も使ってみたいけど、
うまく使いこなせるものやら(元来、アナログ原人。)
この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。
では!