輝け、裕人 其の2
いつになく凛々しい裕人くんと、
一方こちらは いつになく乙女な
おふたりさん?
青春が、眩しいですねえ。
さて。
其の2
「高橋くん、喫茶店やるクラスから、
コーヒーの無料はよしてくれって」
「じゃあうちのコーヒーはカップ半分以下の量にするからって
交渉してきてくれますか。」
「分かった、言ってみる。」
裕人からの指示を受け取り颯爽と教室を発つ女子の
背を見送るなりん。
なりんと話す間にも裕人の周りには
仲間の生徒や教師らが次々入れ替わり立ち替わりで
指示や判断を仰いだり手配の確認を聞いてくる。
あたしこいつ舐めてたかな。こりん、
凄いよき物件を抑えつつあるんじゃないか?
すると先程の女生徒が別の生徒を連れてきた。
「高橋、そういうことならうちのエスプレッソカップと
そっちの標準の紙コップを交換してくれ。」
見るともう箱を持ってきている。
「分かりました。じゃあこれで条件成立ですね?」
「おう。」
すごいなー。解決さくさくじゃん。
むしろ自分の用が本当に無さそうなので、
なりんは裕人の要望通りこりんの方へ向かった。
「こりん。」
金網越しに声をかける。
「なんだ?どうした。」
「このあとちょっと話せる?」
「ああ。てか今でいいぜ。すんませーん、
ちょっと抜けまーす。」
自由な立場だなあ。
「いいの?」
「平気平気。それよりなんだ、なんか用か?」
ふたりは校舎へ向けて歩きながら話し始める。
「そのさ、裕人くんがこりんと仲良くしてくれって」
「ああ?別に、けんかもしてないだろ?」
「うん。そうなんだけどさ。」
ちょっと会話が途切れる。
程なく、こりんの方から切り出した。
「ポーキュパインはさ。やっぱあたしも、
後夜祭までだな。そこで一旦決着にする。」
「なんで?あたしがソウル弾くから?」
「んー、まあなんだ、お前凄えよ。
あのしおんヌも凄いやつだけどさ、お前やっぱ
あいつレベルにすげえって。」
「そんなことないよ。」
「そう思ってるか?ほんとに。」
なりんはまた黙ってしまった。正直、初めてのはずの
しおんヌとのセッションは、胸が踊った。
「あたしはさ、てか穏さんとも
連絡とって思ったけど、やっぱあたしらは
ここまでだって、まじで」
「なんでよ。一緒にやろうよ。」
「いや、あたしはしばらく部活と裕人に集中する。」
思わぬ言葉にドキリとするなりん。
これまで照れたり裕人におおむね押されっぱなし
だったのに、心境に変化というか発展があったのか。
「部活ではさ、あたしそこそこなんだ。それに、
裕人はやるやつだよ。あたしもさすがに見直した。
だから、文化祭の発表が万が一コケても、
そん時はあたしはあいつを支えることにする。」
「そっか…。」
思わず納得の言葉を返してしまった。
「でもこりん、ベリィで練習続けてたじゃない。」
「そりゃ、後夜祭でばっちり決めたいしな。
でも、なんでもやり過ぎだ。ここは、もう
取捨選択でやる事を絞ることにする。
なりん、しおんヌと組めよ。あいつ絶対
手放しちゃだめだぞ。」
「…こりん。」
立ち止まり、こりんをみつめるなりん。
「なんだ?」
こりんも立ち止まり、なりんを見つめ返す。
「あたしたち、けんかもしてないし、親友のままだよね。」
こりんをみつめるなりんの両目が、潤んでいる。
「あたり前じゃねえか。」
即答だった。
九月のまだまだ暑い日差しの中、なりんが
こりんに抱きつく。
「よかったあ。」
「うわ暑い離せ」
「つれないことゆうなよお、親友だろお」
「あたしはアップしてんだ暑いったら暑いんだよ離せ」
「離さなーい」
校庭の生徒たちは、目にとめたり気にもとめなかったり
様々だ。
こんな乙女な女子いちゃいちゃは、なりんこりんに限らず
学校中どこでも四六時中日常茶飯事のことだ。
「ねえ、こりん。」
「なんだよ」
「いつかまた一緒に、ポーキュパインやってくれる?」
「ああ、気が向いたらな。先ずは後夜祭を、
ばっちり決めようぜ。」
「…分かった。」
「じゃああたしは部活に戻るぞ、まじで離せ。」
「うん。」
そこでなりんはようやくこりんを解放し、
ふたりはハイタッチでコートと校舎へとに
それぞれ向かった。
たぶん こりん は、ビジュアルイメージのモデルである
アンジュルムの皆さんの中で、いわゆる元ネタのかた
(この場合は橋迫鈴さん)と
いちばんキャラが重ならない登場人物なのではないか
と、作者の私も思うのですが。
こりんちゃんもいいこですが、橋迫さんは更にいいこですし。
仮に、アンジュの皆さんが拙作を読んでくれたらどう感じるのかと思うと
特に橋迫さんはどう感じるのか、ちょいちょい心配になる展開もあるのですが
(あとのんちゃんのマロさんね。作者の私としては
穏はかなりカッコいい、お気にキャラなんですけど。)
(マロさーん!ナカGさんのスナックマロT、めっちゃ素敵でーす!)(←※ファンコール)
今回のお話まで読んでくださったら 橋迫さん納得してくださるかな。
この物語が、いつかあなたの眼にもとまりますように。
ではまた!




