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目覚めよ、女神 其の3

濃厚な一日も もうすぐ終わり、

ベリィに帰ってきた3人。


ひとつアポイントメントが決まります。

さて。


   其の3


 ベリィに到着して、泊まり込みのあいだに

持ち込んだまま溜まっていた私物の残りを

それぞれに片付け

今日電車で持って帰れるぶんだけをまとめる

三人。

「後夜祭に向けてのリハや練習にもまた来るから、

残りはその都度運べばいいね」で

ベリ子さん達にも了解はとってある。

 帰りに駅前で何か食べていくかと相談していると

 なりんのスマホが鳴った。表示を見て通話に応じる。

「はい。マサキくん?」

「なりんぬ、ばあちゃんは無事だ。」

 報告してくれるのか。

「よかったね、おばあさ…ま、どんなご様子?」

 家族ではない自分が藤堂女史をどう呼んだものか、

あの若い姿を思えばさすがに違和感はぬぐえない。

「かろうだったので、今夜ひと晩様子をみて、

明日元気なら明日にだって退院していいそうだ。」

「そっか。そんなに元気ならひと安心だね。」

「そこでだ。」

「うん。」

「もうきっと病院で会うこともないし、なりんぬ達は

マサたちの家を知らないままだから、マサは

そうるを自分でなりんぬに届けたい。」

「マサキくんひとりで?」

「こうなればるぅーはばあちゃんに見てもらえて、マサが付いてるより安心だ。

 だから、中学生のマサがひとりで遠出することにした。」

 なりんは少し考えた。

 理屈は通ってるな。うん。

「でもマサキくん、ソウルを自分で弾いて

あげたいんじゃないの?

 もしそうなら、もう私に預けなくても

いいんじゃないかな。」

「聞いてくれ、なりんぬ。」

 なりんのこの返しはマサキには想定済みだったらしい。

 間髪入れずに説得が返ってきた。

「なりんぬがいうのももっともだが、

そうるはやはりなりんぬに預ける。

 ばあちゃんひとりに負担をかけ過ぎたマサの、

これはけじめだ。」

 自分を信頼している年下の真剣な声なので

なりんは年長の責任として、黙って耳を傾ける。

「おれは今後はばあちゃんと手分けして、

交代でるぅーを守ることにする。」

「交代なら、当番じゃない時間に好きなこと

すればいいのに。

 本当に私が預かっちゃっていいの?」

「なりんぬは大魔王のそっきんの魔女だから

マサよりてきにんだ。」

 真剣に言ってるのかな?これは。

「でもそんなになりんが自信が無いなら

マサも心もとなくなってきたから、一度そうるを

持って、マサの前で弾いてみせてくれないか?

 マサもそれ見て決めるから。」

 なるほど。

 なりんはまた考えてみた。魔弦のひと喰いも

本当にありそうで怖いが、実は正直、

「左弾きギター」というものに興味があるのも

事実だ。

「分かった。どこで落ち合う?ギター弾くなら

カラオケに持ち込みとか?」

「なりんがそうるを置いておくと言った店が

あっただろう。シマうまたちの。」

「ベリィ?ここ、病院からもそこそこ遠いわよ。」

「安心しろ。マサは中学生だ。どうってことはない。」

 誇らしげに宣言するマサキ少年。

「…じゃあ、いつ来る?」

「明日はばあちゃんと家に帰って色々やって、

明後日もばあちゃんの復活の調子を見るから

その先だ。」

「もう夏休み明けちゃうじゃん。そしたら

学校始まってから最初の日曜でどう?」

「分かった。」

 なりん、ここでスマホを遠のけその場のふたりに

報告する。

「ふたりとも。あたし、次の日曜にここで

マサキくんと会うことになった。」

「あらデート?」

「違うし。ふたりはどうする?」

「デートでないなら同席するわ。」

「呪いのギターか…どうしようかな…」

 こりんは本気で怖がるというか、引いている。

「どっちにしろソウルはその先ベリィに置くことになってるわよ。」

「こりん、来てよ。ベリィHOT教えて。」

「ベースはやらないってば。」

「違うの。マサキくんがあたしがソウル弾くとこ

見て確かめたいって言ってるの。」

「その場で覚えるのか?うーん、なりんなら

やれそうではあるな…」

 少し考えるこりん。

「よしわかった。親友のよしみだ、生きるも散るも一緒だぜ!」

「ありがとう、こりん。なるべく誰も

散らないで済むようにするから。」

 てか、それはもう本当にね。ごめんだよね。

 スマホの通話に戻るなりん。

「マサキくん、それじゃ日曜ね、行き方わかる?」

「検索したらベリィ出てきたから、大丈夫だ。」

 ふたりは時間なども決めて、通話を切った。

「マサキってなかなかやるよな。裕人よりも

しっかりしてんじゃね?」

 こりんは、ソウルハンガーには引いてるが、

マサキのことは買ってる(認めてる)ようだ。

「べつに裕人くんがしっかりしてないとも

思わないけど。」

「まあな。つい引き合いに出しちまった。」

 それから3人はベリィを慎重に戸締りし、

 今度こそ駅前のファミレスへと向かった。   

第三話「目覚めよ、女神」も あと一章の予定。

予定は未定。どうなるやら。なるべくシュッと

フィニッシュ決めて、さくさく第4話やその先へ

つなげてゆく所存です。


ではまた。

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