命の詩
水の中でやすらぎを感じられていたあの時。
暗黒の闇とは違う、安心できる暗い場所から
光が差し込んで来たあの時。
全ての形像が遥かに大きく見え、空気というものが肌で味わう感覚を覚えたあの時。
眼に映る世界が現実である、現実に自分は存在しているとおぼろげに感じ始めたあの時。
時折、お湯の中が安心する感覚を覚えていたあの時。
眼に映る埃がふわふわと遠い世界へ向かうのを観ていたあの時。
テレビの中に人がいると錯覚したあの時。
自分の姿、形とは違う生き物がお話をしているのを認識し始めたあの時。
モノクロの写真に恐怖を抱き、涙が止まらなくなったあの時。
テレビという空間に音があり、人が動き、心を揺さぶれる感覚をはじめて覚えたあの時。