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精霊王から花冠を頭に乗せられた時、ブワッといくつもの記憶が脳内を過った。


 これは…私の前世の記憶?


まずい、何を考えているんだろう…あれ、でも私はまだ7才のはずで…?


(精霊王はなぜこの花冠を私に…?)


 考えなきゃいけないことをたくさんある。

 お祖父様と叔父様が精霊王と何やら真剣なお話をしているのを横目に私は笑顔のまま固まっていた。


 私の名は、加藤椎奈かとうしいな

 歳は25歳で職業は会社員として働いていた会社を辞めて、フリーランスのシナリオライターで彼氏は別れたばかりでいなかったはず、趣味はラノベを読む漁ること。

 夢は自分で書いた脚本で異世界転生ものをアニメ化させること。


 家族とは疎遠だったけど仲は悪くなかったはず、都会で一人くらいをしていて犬を飼っていた…


今思い出せるのは自分のことはこのくらいかしら…?

 いやいや、え?いつ死んだの私…まだ書きかけのシナリオもあったのに…。

家で飼ってたあの子はどうなったかな…私が死んだってなったらうちの家族が面倒は見てくれるしそこは安心なんだけど。ママもパパも弟達も悲しんでるよね…親より先に逝くなんて本当とことん親不孝者だなぁ…私ってば。

 生命保険には十分加入してたし年齢の割に稼いでたしそれなりの金額は家族に残せてるはず、遺書も書いてた。一人暮らしだしいつ万が一のことがあってもいいようにその辺りの準備はちゃんとしてたし心配ないと思う、けど。


 まさか…異性界転生するとは…!


 うっ…どうしよう…完全に不謹慎だけど…


 (う、うれしい…っ!!!夢だったの!!!異性界転生!!!!)


「すぅーーーーーーー」


 落ち着け落ち着け落ち着け

 顔に出すな私は7歳、私は7歳!

精神統一しようと目を閉じて、思わ自分の頬を両手で挟む。



 フニッ



 (????)



 フニフニッッ


 (これ…私のほっぺ…?)



 スリスリ


(モチモチ…)



 モミモミ


 (スベスベ…)


 フニフニ


 (タマゴハダ…)



 やだ…っ!!!なにこの肌の綺麗さ!!!!

 そして、私ってばかなりの美少女じゃない?!


 (わーーーー…こんないい条件で転生…?騙されてる?実はかなりの悪役で処刑待ったなし令嬢とか…?)


 いや私は、元貧乏伯爵家の令嬢だったはず。

 5歳の魔力測定で魔力無しと判定されて、祖父母の元に預けられて…?


 (冷遇されるからって追い出されたのよね?なのに、私ってばめちゃくちゃ愛されてない?祖父母も叔父も使用人達もすごい甘やかしてくれるんだけど…?)


 え?…えー、とわたくしは、

 元伯爵令嬢のニーナ・ラナ・ガードナー

 髪はホワイトブロンド(光にあたると少しだけ桃色っぽくも見える珍しい色)

 瞳はピンク(色は薄めだけど透き通るほどのピンクってなんか漫画の美少女そのものって感じね)

 吊り目でもなく、垂れ目でもない綺麗な二重に大きな瞳

 歳は今年で7歳

 背は同じ7歳からしたら少し高い方かしら?

 5歳の頃、祖父母の公爵領へと預けられた(といっても実質捨てられたようなものね)

 祖父母は私のことが大好き

 叔父様は現公爵様で、魔道具作りが趣味

 預けられた時から必ず傍にいてくれるのは専属侍女のメリー

 歳は確か12歳、だったはず。

 綺麗なプラチナブロンド

 瞳はヘーゼルで…とってもお人形様みたいで可愛くて美人さんでまだ幼いのに頑張り屋さんで大好きだわ。


お祖母様は

ライラ・レラ・ローレル

髪色は真っ黒で瞳はグリーン

身長は小さいけれど、とってもパワフル

今でも社交界で有名でお祖母様の元に行儀見習いに来たいっていう有力貴族の娘達はかなり多い。

もう隠居している体にからお断りしているみたいだけど…

クッキー作りが上手くて、私に優しく色々教えてくれるとっても素敵な大人の女の人。

頭も良くて一緒にお勉強するのはとっても楽しいの。


 お祖父様は

フラン・カリス・ローレル

 髪色はお祖母様とお揃いの黒で瞳はスカイブルー

 身体が大きくてクマさんみたいなの

 国王軍の隊長だったけど、戦争で片目を失明しているから

 今はお祖母様と一緒に隠居状態

 私が来るまでは、今まで鍛錬に費やしていた時間をどうしたらいいのか分からなくてボーッとしている時間が増えていたんだとか…。

私が預けられると同時に公爵邸に戻り、今では毎日のように無理のない範囲で鍛錬していたり、私と遊んでくれる。

 たまに戦争でどう勝利したか、とかを話してくれるけど前世でも戦争の経験がない私はそのお話が少し苦手だった。


叔父様は

 ライナス・ルイ・ローレル

髪色はシルバーアッシュといったところかしら

瞳の色は青みがかったシルバー

 現公爵家当主様で、奥さんを早くに亡くしてる。

 元々病弱だった奥様は結婚を拒否していたけど

 叔父様が奥様のこと大好きすぎて、諦めきれなかったって言ってた。子供はいないけど、後継のことは心配してないって最近言ってるみたい。

 後妻になろうと必死な女性に追いかけ回されるから社交界からは離れがちらしい。

 奥様一筋な叔父様が私は大好き。

 何より魔道具を生み出す天才なの。

 今、屋敷にあるランプ、コンロ、お風呂も現代日本に比べても劣らないくらい進化してる。

 ランプは魔力石を利用して、スイッチ一つで点灯するし、コンロは大きなお屋敷だと3口コンロ。これも魔力石を利用しているんだとか。何より私がありがたいって前世を思い出して思うのはお風呂ね。今までは使用人が数名掛りでお湯を沸かしてバケツで移動させて蛇口から出るお水で温度を調整…って感じだったんだけど、蛇口からお湯が出るようになって気軽にお風呂に入れるようになった。

 ありがてぇ…叔父様天才…


 いやーーー恵まれてるな?うん。

 これで悪役になる運命なんだとしたら甘やかされすぎて調子乗りすぎちゃったとかそんな感じ…?

 それはやだなーーー私は平和がいいの。

 やりたいことはやって、好きな人と結婚して、子供産んで、まったりとしたスローライフを送りたい。

その為にも…やらなきゃいけないことはたくさんある。


 まずは、平民の生活の質をもう少し良くしたい。

 この国では平民も魔力はある、教えてもらえるのは教会に行くか孤児院に行くか、もしくは裕福は家だと魔法学校に行けるんだっけ。


  でもそれだけじゃだめ。みんなが当たり前に学校に行けるようになってほしい。自分のやりたいことのためにも。

 ただ、そこまでのことは私がやることではない。


 としたら…まずは雇用先を増やすことから、かしら。


 ふふふ、ここで前世を思い出したのも何かの縁と思うことにするわ。


 叔父様なら協力してくれるだろうし、もう少し年齢を重ねたら行動に移してみようかな。


 (って、アレ?私魔力ないはずよね??)


 じゃあこの身体に流れるものはいったい…?



 試してみるか…


(ファイアーボール!)


 空に向かって心の中で何となく出てきたことを唱えてみると次の瞬間──

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