45
誤字報告ありがとうございます!
見逃していたりするので助かります~~!!
『…ついに目覚めましたね僕たちの愛し子が』
『ようやく、だな』
『水のヤツはすでに会ったらしいわよ?』
『やだ、ずるいわ!私も愛し子と会いたいのに~!』
『早く俺も姫さんに会いたいな~!』
『ああ、そうだな。ずっと、ずっと…待ってたんだ。早く会いたいな』
『いやはや、違う世界で産まれた時はどうなることかと思ったが、無事に巡り会えそうで良かった』
『ただねぇ…神々も余計なことをしてくれたものだよ、本当に』
『でも、これでようやく姫に会えるんだもの。これで良かったのよ』
『うん、そうだね。僕の大切な子にまた会える。これ以上ないくらい嬉しくてたまらないよ』
――――ここは約千年前、神々以外の世界と関わりを絶ち、歴史に残ることも残すことも拒み、人々の記憶から消えた精霊の住まう地。
現代の人間は知らない。知るはずもない。だって、知っている人間は全て消したから。
故にこれまで地図にも載らず、人間にも他の種族でさえも認識できないこの場所は、精霊のみが住まう地として密かに現存し続けている。この地を知るのは、それこそ天上の神々のみである。
そんな秘密の地にて、六つの属性を司る最上位精霊達とその精霊達の頂点に立つ精霊王が本来の姿で顕現し、数百年ぶりに集結していた。
その場所で彼らは、唯一の姫が目覚めたことに歓喜し、語らう。
過去、この土地を巡って起きた人間同士の争いやら違う種族同士の争いやらで甚大な被害を受けた地にて、今日まで隠れるようにして暮らしていた彼らは、再び世界との関わりを持とうとしていた。
これまで何度も、何度も、醜い争いによってこの地の自然が破壊され、己の力を増幅するためだけに精霊を乱獲し、隷属させ、当たり前のように酷使されてきた忌々しい記憶が消えないはずなのに。
結果、何人、何十、何百万もの精霊の命が星に還えることになってしまった。
かつて、一生懸命に生きる人間を愛し、そんな人間達に力を貸し、共存していたはずの精霊達は何度も人間に裏切られ絶望し、それでも完全に見限ることは出来ずに手を貸すのではなく見守ることに決め、隠れ住むようにして何とか共存していたけれど強欲で、傲慢で、貪欲で、我儘な人間や他の種族は変わらなかった、彼らの心の叫びは、絶望は伝わらなかった。最終的には完全に関わりを絶ってしまうきっかけになったあの日の事件を忘れることなどできないだろう。
耐えられるはずがなかったのだ、愛したはずの人間の、他の種族の、醜い姿をこれ以上見ていられなかった。だから、彼らは目を閉じた。何も見なくて済むように。
唯一の姫が、彼らの愛し子が再び人間界に生まれ変わるまで。
彼らは待っていた、彼らの唯一が、再びこの世界に産まれてくれることを。
彼女ならば、この世界に蔓延る闇を明るく照らすことができる。精霊たちの希望の星であり光である。六つの属性の加護を受ける、この世界唯一の愛し子。
いつどこで生まれ変わろうとも精霊に愛され、神々に愛され、いくつもの加護を持ち産まれる運命を持つ一人の少女。
彼女の運命は如何に――




