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「そうね、今はうまく言葉にできないのだけど。あなたを見つけることができたから、かしら。彼女のそばにいるとね、普段の自分が本当に何も考えていないことも、何もしていないわたくしが『王女』として民の前に立つのが恥ずかしくなることが多いの。ああ、わたくしはなんて情けないのかしらって。何もできないのに地位だけが高くてみんなから尊ばれてしまう。本当なら、自分のできる範囲で領民のことを考えて行動する彼女がそうならなければいけないのに、なんでって。考えさせられることが多いの。勇気が出なくてこれまで何もできなかった。自分が考えていることがおかしいのかもしれないって思うこともあった。それでも、今日、あなたを見つけられた。生きようと懸命に自分のできることをして命を繋いでいたあなたを。あなたがああやって木に登って身を隠していなければ瘴気にあてられてどうしようもなかったかもしれない、魔物に見つかって食べられてしまっていたかもしれない。なのに、あなたはわたくし達が来るまで生き延びた。奇跡だと思った。こんな奇跡を目の当たりにしてしまっては、もう何もできないって嘆いているだけじゃいられないと思ったの」


「レイラ様…」


 「ふふ、ラナにも初めて言うわよね。でも私だってあなたと一緒に成長してきたのよ?こう思っても不思議じゃないわ。今まであなただけに頑張らせてごめんなさい。そして、この国を代表としてお礼を言うわ。今からわたくしに何ができるか分からないけど努力するわ、あなたに負けないくらい。わたくしだってこの国ことも、民のことも、愛しているの。だって、私はこの国の王女なんだもの。一緒に頑張らせてくれる…?」


言葉にできなかった。自分の領地だけでもって考えて養女になってから、いろいろやってきたけど限界はあったの。いつかはこの国ごと変わらないとどうしようもないこともあって、私一人でできることじゃなかったから。いくらレッド様やリュス様、レイラ様のような王族と仲が良いからって都合良く頼ることはできない。それに彼らは彼らで、苦労していることも分かっているもの。少しずつだけど、変わろうとしていることも。だから、これは私が勝手にやっていたことで、誰かに強制することではないと思っている。そう思っていたこともあって、余計に手助けなんて求められなかった。

 

「レイラ様…そんな…謝らないで。私が勝手にやっていたことよ…!それにあなたはあなたで苦しんでいたのでしょう…!私、私はそれに気付くこともできなくて…!」


「ふふ、やっぱり最高に優しいわね。わたくしはね、そんなラナが大好きなの。だからいつも思っていたわ。何かわたくしでも力になれることがないかしらって。何もないならせめて、ってあなたが献上するものを率先して貴族達に勧めていたのだけどそれだけしかできない自分に腹が立っていたの。こういうのってわたくし達王族が率先して考えるべきことなのでは?って。あら、ふふ。見て、ラナ寝ているわ」


「え、?あ、ライル…!疲れてしまっているわよね…少し休ませましょうか。リュス様達はまだ来ないのかしら…?」


 腕の中でいつの間にか眠ってしまったライルを抱えて、簡易ベットに寝かせて一息つくと、テントの入口から声を掛けられた。

 ようやくリュス様とカミーユ様が来たみたい。


「お通しして」


 入室を許可して、結界を緩めると何やらニコニコしたリュス様とカミーユ様がテントに入ってきた。なんで?意味が分からなくて思わずレイラ様の方をチラリとみるが彼女も分かっていないようでこちらを見て首を傾げている。


「…なぜそんなににこやかにしていらっしゃるのかしら…?」


「いやあ、本当にラナといると良いことばかりだなぁって思ってさ。君たち、遮音結界切れてたの分かってなかったでしょ。少し前に俺らついてたんだけど、二人の会話を聞いて邪魔しちゃ悪いと思ってね」


 え…と思い、遮音結界の存在を確かめると言われていた通り遮音結界だけ張られていない状態だった。私は聞かれて困ることはないけれど…と思いまたレイラ様の方に視線を向けると顔を赤くして俯いている。あー、兄に聞かれたことが恥ずかしいのね…。きっと護衛の方たちも聞いていたわよね…。


「…ここにいる人達に良心があるのであればここでのことは他言無用よ。リュス様も!からかってはダメですからね?」


「もちろんさ。からかうなんてとんでもない。むしろラナ、お前には感謝しているくらいさ。レイの諦め癖を矯正してくれてありがとう。例え、その意思がなくとも、ね。これでも俺たちからしたら自慢の妹なんだ、自分を卑下している姿は見ていられなくてな…。改めて、ありがとう」


「お礼を言われるようなことした覚えはないわ?レイラ様が自分で乗り越えたのよ」


「はは、そうか。では、現状のことをどうにかしようか。そこに寝ている子供が例の…?」

 

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