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※アーサー視点です ②



 すぐにでも護衛を開始してほしいとのことだったこともあり、父さんと相談の上、さっそく翌日からは俺が護衛につくことになった。

 

 朝それを伝えようと中等部に向かうと第一王女とローレル嬢はすでに大注目だった。

 周りの会話を聞けば、前日の魔法試合はローレル嬢が秒で勝利したらしい。しかも三人に防御結界を張りそこに四属性の魔法を容赦なく打ち込んであの過激な侯爵令嬢も取り巻きも成すすべなく敗北したというじゃないか。いやあ、本当に面白い。


 もっと詳しく聞きたいなんて思ながら廊下の隅から様子を伺っていると、将来有望な次期女公爵に顔を売りたい男達が列になす勢いで集まり始めた。護衛をしないといけないのもあるがなぜが群がる男達に良い気持ちにならず、俺は二人の元に足を進めた。


 割ってはいるようにして、彼女達に声を掛けると集まっていた男達は蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。まあ俺、一応は上級生だし、公爵家だし?そうなるよね。なんて思っているとローレル嬢は俺の登場を不思議に思ったのか驚いて目を大きく見開いてきょとんとしている。

 はは、そのきょとんとした表情も可愛い。


護衛のことを話しているときも、ずっと横でじっと見つめられたままで、俺なんかしたかな?なんて思ってたけど嫌な視線ではなかったように思う。

 第一王女はそんなローレル嬢と俺を見て何を思ったのかのニヤニヤとしだしたし、自分の護衛は別にもいるから彼女中心で、とあっさり二人から了承を得て始まった護衛生活。

 任務もあるから俺がずっとつくわけではないけれど、交代の騎士も俺も彼女達の護衛の日は楽しみの一つになった。


 数回護衛についた騎士からの報告を日々受けるのだが、彼女達の護衛につく騎士からは役得だと言わんばかりに良い報告しか聞かない。本来であれば、護衛されることになれている令嬢がわざわざ護衛にまで事細かな気遣いはしようとはしない。少なくとも他の令嬢はそうだった。

 基本的には、常に二人体制になるようにしてることもあり、ずっと立ってるのは疲れるだろうから、と一人ずつ交代でお茶の席に同席させてくれたり、好みの菓子を聞いてきたかと思えば護衛の好みに合わせた菓子を用意していたり。普段の学院生活で、護衛がしやすいような場所を選んでくれているかのような行先の選択も無意識なのだろうがかなり助かっている。

 俺は図書室の窓際で夕日に照らされながら、本を読むローレル嬢をこっそり眺めることが楽しみの一つになった。

 

 困ったことに日を追うごとに、俺の彼女への関心は深まるばかりだ。

 勉学に励む姿も、美味しそうに食べる姿も、夜更かしして寝不足で少し元気のない姿も、友人たちと笑い合う姿も。少しだけ鈍感なのか、男子生徒が一生懸命しているアプローチにも気が付かなかったりしてあっさりデートの誘いを断ってしまうようなところも好ましいだ。腹は立つが。


 護衛をするようになってから自然と会話をすることも増え、普段通り一人称を『俺』に戻していいと言うので戻してみたり、先輩なのだからニーナと呼んでくれて構わないというから、喜んでニーナと呼ぶようにしてみたり。


 それなりに親しくなったころ、夏季休暇で第二王子と第一王女を連れて領地に帰ると話す彼女にネロと俺は便乗させてもらうことになった。


 俺は護衛なんて名目があるが、ネロは完全にニーナを観察対象としている節があるのでこいつが暴走しないように見張る必要もできてしまったが、まあいい。


 どうせならこの休み中に、もっと彼女のことが知りたい。


 そこからの夏季休暇は本当に楽しかった。

 彼女が例の予言を受けた人物であることもそうだが、今後一緒にいる時間が長くなるだろうからって精霊のことを教えてくれたり、ピクニック先で彼女が作ったサンドイッチを食べられたことも、その他にもいくつか店を経営していること、今後店を増やしていこうと思っているということも知れた。


 一緒に領内に出かけた先で見ることのできた彼女のデザインしたドレスは、どれも洗練されていて、着た本人の魅力を最大限引き出すであろう品物ばかりだったように思う。俺が手渡した俺の色のドレスを着て少し照れながらも「どうですか?」なんて聞かれて思わず拳を握りしめた。似合わないはずがない。なんだ、そのいじらしさは。やめてくれ、これ以上俺の胸をときめかせないでくれ。


 まだ幼い彼女が自領の将来のことを考えて作った店のことや平民向けの学校のことは学校生活では秘密にしていると言って聞かせてくれたときは嬉しさで天にも昇る気持ちだったよ、本当に。

 この夏季休暇中にどれだけ学院で見れない彼女が見れただろう、色々なことに関わっている彼女はすごく輝いて見えた。もちろん庭園を裸足で駆けて愛犬と戯れる彼女も輝いている。その光景を見ていた人間すべての視線を釘付けにしていたのを彼女は知らないのだろう。


 二人で散歩をしたいと何度か誘おうとしたが、結局最後までそれは叶わなかった。

 何せ彼女の契約精霊に邪魔されるか、王子・王女殿下方に邪魔されたり、公爵にべったりで俺の方がほったらかされたり、他の男よりもリードできたように思ったのにそうでないことがもどかしい。


 どうすれば、ニーナにもっと俺を知ってもらえるだろうか。

 ゆっくりでいい、少しでも彼女に意識してもらえるよう尽力したい。


 そんな思いを抱えたまま、俺の楽しい夏季休暇は終わりを告げることになるがそれでいい。きっと今はまだ、進むべき時ではないのかもしれない。

 

 明日から一週間ほど、要請を受けて隣国と山を挟んで隣り合っている辺境伯が管理する領地の村へと遠征することになっている。魔物が大量発生したとの知らせは珍しくはないが、国境を守る辺境伯からの要請とあっては遅れをとるわけにもいかない。夏季休暇はまだ少し残っているが、寮へと戻った二人を護衛することのできない。その為、俺以外の護衛メンバーが三人体制で護衛につくように指示を出しているから問題はないだろう。


 ここのところ、魔物の発生が増えているように思うが、何事もなく討伐して、早々に戻る。

 そう決意した俺は、終わりたくない夏季休暇の思い出に浸りながら、深い眠りにつくのだった。


 


 

 

さて、この恋は実るのでしょうか。

頑張ってもらいたいですね。


ニーナの恋愛経験は前世である程度あるのでもだもだじれったい感じってよりは、ヒロインがどう片付か、いつ片付くか、によって変わってくるのでしょうかね。作者にも分かりません。



そして初めての作品に評価をくださった方々、ブクマしてくれている方々、ありがとうございます。

楽しく書いてますが、とても励みになります!


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