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本日は、アーサー様、リュス様、レイラ様とローレル領の市場に行きます。
ネロ様は研究所に招かれているみたいなので、別行動です。
「さて、これから市場に行きますが見たいものとかありますか?」
「ラナに任せる」
「俺もニーナに任せるよ」
「私はラナが今度開くドレスショップが見たいわ。商品はできているのでしょう?」
そうね。じゃあまずは市場を歩き回って食べ歩きしながらドレスショップに向かいましょうか。
ドレスショップの商品のデザインは基本的にはデザイナーにお願いしてるのだけど、たまに私もこういうのは作れそう?って感じでアイデアを出している。ある程度、商品の数が揃ったら王妃様に献上するのだけど、気に入ってもらえるかしら。
「あ、そうだ。レイラ様とリュス様とレッド様にも個別でデザインした衣装があるの。今日受け取ってしまいましょうか。」
「えー、俺は?」
「え、あー……じゃあそうね。せっかくだしアーサー様にも何かプレゼントしますね」
「やったー」
まさかのアーサー様も欲しがっているけれど、枚数が余分に作られているといいのだけど。
足りなければ男性用の何か他の物をプレゼントすることにしますか。
めちゃくちゃ喜んでるけどそんなに欲しいのかしら?まだ現物見てもないのに。
「それにしてもニーナは本当に多彩だね?まさか魔道具に続いてドレスショップもカフェも作るなんて本当にすごいね。尊敬するよ」
「あ、ありがとうございます。でも全部私が欲しくてやっていることですので…」
「でも、裏では民の仕事が増えたりし良いことだらけじゃないか。それこそ貴族の在り方として正しいように思うけどね、俺は」
「ふふ、そうですか?そういってもらえると嬉しいですわ」
尊敬って――!
そう素直に褒められると照れるじゃないの。でも、民の生活が今以上に整うのはとっても良いことだと思うの。みんな幸せになれる。そうじゃない人もいるのだろうけど、まずは私の手の届く範囲で助力できればそれでいいの。私は神様でも何でもないもの。皆を救うことができなくても、やれることはあるはずだわ。
「ラナ、そういえば前に言ってた平民の学校ってどうなってるの?」
「ああ、それに関しては今学校になる建物を作っているところよ。教員探しは孤児院のシスターにお願いしているの。きっといい人材を見つけてくれるだろうからね」
「そうなんだ。その平民の学校に関して父上、陛下も注目しててね。開校したら視察に兄上を寄越すって言ってたよ。いいかい?」
「まあ。もちろんですわ。でも、王都に平民の学校は難しいのではなくて?」
「それなんだよ。何かいい案ある?」
そう、ね――無駄にプライドの高い貴族達の納得のいく提案となるとそこそこちゃんと考えないといけないですわね。
そもそも、なぜ平民の学校がなかったのかしら?
識字率が向上すれば、その分領民が自分で考えて行動したり、商品を考えたり、発明だってできちゃうかもしれない。 自然と領地のお金が回るようになると私は思うのだけど。
目先のことだけを考えていてはいつか限界が来るもの。長い目で見てどうか。そうね、いわゆるこれは先行投資。貴族だからこそ、お金に余裕があるからこそできることね。でも人間って単純だから、領主が自分達のためにこんなにやってくれてる、お金も使ってくれてるって目に見えるだけでも相当感謝すると思うのよね。だって、誰だって自分の生まれ育った場所が綺麗で住みやすくて、尚且つ豊かな方がいいじゃない?
そうなれば自然と自分も領主のために何かしたい、還元できるものはないか等々の思考ができるようになる。一人ひとりに”考える”余裕も時間もできるわね。
今までは幼い子にも仕事をしてもらわないといけなかった生活に少し余裕ができるだけで、子供の未来を考えることができるようにもなるわ。好きなことをやらせてあげたい、あなたの未来は楽しいことがいっぱいあるのよって。もちろん、家が何かしらの専門職だった場合は継いでほしいって思うのも普通だわ。でも、それはそれ。子供が継ぎたいなら継げばいいけど、そうじゃないなら他のことで生きていけるような選択肢が増えるだけよ。
それに親も嫌々継がれるよりはいいと思うの。それにいくら子供でも同じ人間ではないのだから、誰もが親と同じようにできるとは限らない。失敗するかもしれないし、親の代よりも繁盛するかもしれない。やってみなければ分からないわよね?ただ、やっぱり自分で考えて、変えていける力も知識もあれば、どうかしら?そうね、例えば失敗しても、それを糧にして方法を考えれるようになるし繁盛したらしたで更にいい方向に持っていくこともできるようになる。
だから私は、まずは親の世代に仕事を増やして余裕を作ろうと思った。そうすれば子供達を学校に行かせる余裕ができるうようになるし。お金の勘定もできるようになるし、字も読めることで知識がつく。
子供の可能性って無限大だから、学校に行くことで視野が広がって何かを生み出してくれるかもしれない。貴族学院には魔法の授業だってあるけれど、魔法だって急に発現しても使えなければ意味はないわ。だから、私達は”学ぶ”のでしょう?
同じ人間なのに、お金がないから、余裕がないからって諦めてしまって夢も希望もない状態では、良いものなんて永遠と生れてこない。
「最終的には、領地も潤う方向にいくはずよ。識字率が向上することでやれることが増えれば治安だってよくなるかもしれないわ?私はそう思うから学校を開校しようと思っているのだけど。そう考える貴族が多くはないわよね……」
「いやいやいや、それだよ。いま言ってたことを貴族達にも伝えよう。分かってはいても実際気付かないことだよそれ。特に貴族は盲点だろうね」
「そうね、自分でできることなんて限られているもの。私は私にできることで、領民が幸せになってくれたらいいと思うわ。せっかく生きているのにお先真っ暗なんて、誰だって嫌なはずだもの」




